第131話 光明

文字数 5,661文字

虚空(こくうつ)き、衆生盡(しゅじょうつ)き、涅槃盡(ねはんつ)きなば、我が願いも()きなん。

宇宙が尽きるまで、悟りを求めるものが尽きるまで、生きとし生ける者が全て輪廻転生から解脱するまで私の願いは尽きることが無い。

空が暗くなり始めると天野の里の人たちによってぽっ、ぽっと灯明が点されその夜、高野山の頂には数多の光が集った。


天長九年八月二十二日(832年4月26日)

空海は高野山で初めての万燈万華会(まんどうまんげえ)を行った。

万燈会とは衆生の懺悔・滅罪のために仏・菩薩に一万の燈明を供養する法会であり過去には東大寺や薬師寺でも行われた盛大な催しである。

参詣道から頂の寺周辺を照らす一万基の灯明と、芳香を発する一万の献花。そして小さな仏たちが集った金剛界、胎蔵界の両部曼荼羅の前で天竺の言葉そのままの声で唱和される真言の中、都の使者から山の麓に住む庶民まで身分関係なく参詣した人たちは、

仏たちの住まう一切の苦がない理想郷である仏国土とはこのようなところかもしれない…とこの時ばかりは日常を忘れて羽化登仙の境に浸った。

休憩のために廊下に出た空海は脇息にもたれてそこから見える燈明の列と、夜の山を照らす夥しい明かりに子供のようにはしゃぐ参詣客の笑顔を眺めながら、

本当は遅々として建築が進まず、自分が生きている内は見ることが出来ないであろう金剛峰寺(こんごうぶじ)の完成を祈願するために開いた万燈会なのであるが、このように多くの人々が喜んでくれているのなら、開催しただけでも甲斐があるというもの…

と物思いに耽っていたところで

「お前は自分の力で出来ることは全てやりきったじゃないか。人事を尽くして天命を待つ。故国での(ことわざ)ぞ」

とはっきりした明るい声が自分のすぐ左側から聞こえたので

「では貴方は唐のお方なのですか?」

と振り向くとそこには上着から袴に至るまで真っ白な唐装を身に纏い、長い髪を垂らした年の頃二十代くらいの涼しい目元をした若者が笑顔でこちらを見ている。

「さては李誦(りしょう)さまですな」
「当たりだ」

順宗上皇帝の御霊(みたまは)うふふ、と悪戯っぽく笑って廊下の手すりに腰かけながら上体をひねって燈明の一基一基を見つめ、

「故国の宮中でもこのような催し事は度々あったが、一人一人の祈りをこうやって形にした光景は美しいな…我、日ノ本に興味を持ち魂となりてお前に付いていき、二十五年翡翠の数珠に入って常にお前の傍に居たが、今宵やっと解った。

この国は人々の清らかな祈りで成り立っていたのだな。やっぱり羨ましいよ」

「こうしてわしに初めてお姿を見せたということは、もうお別れなのですね」

如何にも、と唐王朝十三代皇帝順宗こと李誦は白絹の衣の袖をひらり、と翻して立ち上がり、

「実に面白き人生だったぞ、遍照金剛空海阿闍梨こと佐伯の真魚よ、さらばだ!」

と言うとはははははは!と快活な笑い声を上げながら李誦の御霊は白い光の球となって空に昇って行った。

満天の星が瞬く夜空を見上げる空海は一度きりの謁見の折に賜った翡翠の数珠を改めて握り締めてみて

翡翠ってこんなに冷たい石だったのか。
と初めて知ったのだった。

秋になると空海は一日のほとんどを禅定し、目を閉じて座っている間は俗世の喧騒もこれまでの忙しすぎた人生もすべて忘れて心安らかに過ごすことが出来た。

しかし、秘書役の真済はじめ弟子たちは、師の食事が一日に六回に分けて薄い粥を啜るだけ。あれで御身が保てまするのか?と一日の務めが終わると寝床で皆顔を寄せあい、師の体調を気遣う会話を繰り返していた。

ひそひそ話をする弟子たちに向かって「夜も更けますので灯明の火を消してよろしゅうございますか?」と声をかけるのは寺男として空海に仕える麓の天野の民、賀茂騒速(かものそはや)

そ、そうだな、油が勿体ないのでもう寝るか…と明日の勤行も早いし。とお喋りをやめて床で目を閉じる弟子たちを尻目に灯火を消して回る騒速だが実は、空海がひた隠しにしている秘密を知っていた。

それは万燈会の数日後の夕方、空海に言われた通りに薄い粥を作っていくつかの水菓子(果物)を添えるとほ、と空海は目を見開いて、

「わしの病に気付いていたか」と言い、
「真魚さんとはもう二十年以上の付き合いだからそれぐらい解りますよ」と騒速は返した。

「もそっとこっちに」

おもむろに白衣の前をはだけた空海は騒速の手を取って自分の胃の腑の辺りを触らせた。小石みたく固いしこりがこりっと指先に触れる。

「解るか…?このしこりが胃の腑の入り口に出来て少しずつ大きくなってきている。
無理に食おうとするとしこりに引っかかって吐き戻し、やがては衰弱して死ぬ。父、善通(よしみち)もこの病で逝った」

あれは満濃池の工事のため讃岐の実家に里帰りしていた時、病に伏していた父の鳩尾のあたりに大きなしこりを確かめた空海は涙が出そうになった。

「父上の病は胃の腑にしこり(腫瘍)が出来た物食えぬの病にございます。粥ではなく重湯と柔らかく潰した水菓子などで滋養なさって下さいませ」

とつとめて冷静に診断結果を告げると父は痩せて落ちくぼんだ眼でこちらを見て…

「じきに我は死ぬのだろう?隠さなくともよいぞ真魚」

と食を取ろうとしては吐き戻し衰弱しきったお体にしては明瞭な言葉でそういうと真魚、おいで真魚と病床から両手を上げて空海を抱き寄せ、童の頃そうしてほめてくれたように息子の頭を撫で撫でした。

「えらいぞ真魚、またひとつ詩文を覚えたな。えらいぞ…」

もう父の意識は息子が子供だった頃へと還っているのだろう。やっぱり堪えきれず空海は父の腕の中で泣き、その夜、父善通は安らかに逝った。

「子の栄達のために大学寮に行かせて下さり、退学して私度僧になったわしに唐留学の費用まで与えて下さった。
その父と同じ病で逝けるなら本望だ。が…弟子たちが心配するのでこの事は真済のほかには秘密にしてほしい」

臓腑に出来た病なんて不治じゃないか。何もできない自分が悔しい。騒速は「はい」とだけ返事をし、それからの食事の世話を一手に引き受けるようになった。

用事で麓の天野の里の我が家に戻った時、騒速は妻シリンに

「しばらく寂しい思いさせるけどさ、俺、これからしばらく真魚さんにつきっきりになるから」

と宣言するとシリンは仕方ないわねえ…と察していたように諦めたようにため息をついてから、

「すでに決めたことなんでしょう?こうなったらとことん最後までお仕えするのよ!」

と背中を叩いて送り出してくれた。

翌年天長十年二月二十八日(833年3月22日)

皇太子正良親王、淳和帝の譲位を受けて即位。
第五十四代仁明帝となった。

次代の皇太子には甥の恒貞親王が選ばれた。

が、恒貞の立太子に関して淳和上皇は確かに恒貞は我が姪で仁明帝の姉でもある正子が産んだ皇子であり、皇統を継ぐには申し分の無い子だが…

有力貴族の後ろ盾の無い恒貞が皇太子になる事に上皇は強い懸念を覚え、

「後継ならお前の子の道康親王でもよいのではないか?」

と提案したが、

「なれど、両親とも皇族である恒貞のほうが血筋も皇統の跡継ぎとしても相応しいかと」

と仁明帝にやんわりとした笑顔で却下された。

また、逃げようとしても逃げられなかった…

仕方がないね、と淳和上皇が渋々認めた恒貞親王立太子が後に

承和の変

という皇位継承問題から起こった政変に繋がり、懸念が的中するのは上皇崩御後の事である。

空海はこの年甥の真然に高野山と真言宗を託し、長年の弟子の実慧に若い甥の後見を任せた。

残り少ない余命を自覚しながらもこの世でやるべきことを一つ一つ、着実に遂行していった。

翌年の承和元年十二月二十九日(835年1月31日)

自分の死後も人々が幸福であるためには、国の安定が必要と考え、国家安寧のための祈祷会が必要だと思っていた空海は後七日御修法(ごしちにちみしほ)の修法を朝廷に上奏した。

当時、宮中では正月の一日から七日までは神式による祈祷、八日から十四日までは仏式による祈祷が行われる慣しとなっていたが空海は、これらとは別に密教による祈祷を八日から十四日まで行いたいと上奏し、十日後にこれを許された。

翌承和二年正月八日(835年2月9日)

宮中真言院にて初めての後七日御修法ご執り行われ、
空海は七条の田相部に十数種の色糸で叢雲模様が織られた犍陀穀糸袈裟(けんだこくしけさ)を身に纏い、真言八祖がうけ伝えてきた五鈷杵、念珠などをもって道場に臨み、護摩を焚いて天皇の無病息災と国家安寧を祈った。


これにより、空海の密教は神式、仏式と並ぶひとつのかたちとして国家に認められたことになる。

空海は仁明帝に謁見し、修法の終わりを報告すると

「七日間かけての祈祷、よくぞ最後までやり遂げてくれた。空海阿闍梨」と
この年二十四才の若き新帝より心からの感謝の言葉を賜った。

(おほきみ)黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)がよくお似合いでしたよ」

色白で細身で帝王にしては柔弱、と臣下たちから囁かれていたのを知っている仁明帝は公衆の面前で自分の容姿を褒められ、
「うむ、そうか!」

と子供の頃から自分を可愛がってくれた老僧に向かって両頬に血色を浮かべて喜んだ。

それにしても、行と称して空海は自ら食事を制限し、かなり衰弱したとの噂だったがこうして見ると確かに痩せてはいるが、それが却って俗世から離れた清らかさを増したような…

そう思った瞬間、目の前の老僧がこの世にとどまっている時間はあと僅かなのだ、と仁明帝は思い知らされた。

「父嵯峨帝の代からよく朝廷に仕えてくれたな…ありがとう空海。後のことは心配せず好きに過ごすがよい」

「感謝と労りのお言葉、実に痛み入ります」

と恐縮してた空海は、病がちだがご聡明で心優しい今上帝ならこの先大丈夫だろう。と最後に一礼して御前を辞し、

これが空海にとって最後の天皇謁見となった。

その七日後、真言宗の国家公認の僧侶の養成枠である年分度者(ねんぶんどしゃ)三人が設置され、先の後七日御修法とあわせて空海は真言宗の基盤をほぼ完成させた。

その報せを聞いた空海は都ですべきことは全部やりきったな…と雪の積もる東寺の庭先に向けてしばらくぼうっと視線を泳がせてから、

「高野山に帰るぞ」

と宣言しその日のうちに都を出立した。

高野山に戻った空海の病は進行し、遂には肝臓まで侵すようになった。

天野の里長で腕利きの鋳造師でもある田辺波瑠玖(たなべのはるく)は衣の下の皮膚に浮き出たただれを見るなり、

「…これは鋳造、主に仏像を制作する職人が罹る丹の中毒だ。鉱物の毒は長年蓄積されて徐々に体を蝕む」

と診断した。

義兄上(あにうえ)、真魚さんはもう」

と声をすぼめる騒速に向かって波瑠久は、

「俺は根っからの拝火教徒で仏教を軽く見ていたけど俺は初めて仏の力を信じる。真魚さんの命がここまで保っただけでも奇跡なんだ」

と痛み止めの膏薬を塗布されて眠る空海に向かって初めて合掌した。

今まで仏を拝む事を拒否していた義兄上をここまで変えてしまった真魚さん、あなたという御方は…

騒速も義兄と並んで合掌した。

それから二月(ふたつき)の間病は進行していながらも意識の方は極めて明瞭で、調子が良い時は座禅して過ごし、

弟子たちへの訓告を遺言として真済に筆記させ、時には講堂に赴き弟子たちに直接講義する様はとても重病人とは思えなかった。

だが山頂での寒さも緩くなってきたある日の深夜、病床で急に目を覚ました空海は弟子たちの力を借りて講堂に集めた弟子たちの前で結跏趺坐し、

「もし、怫のおしえが本当であるなら」

と前置きすると

「わしはこれから釈迦王子を真似て兜率天へのぼり、弥勒菩薩の御前に参るであろう。

兜率天にのぼってわしは雲の間から地上をのぞき、あんたはんらのあり方を見ている。そして、五十六億七千万年後、わしは必ず弥勒菩薩とともに下生する。

私の死に様いまよーく見ておけよ。その時、よく勤めている者は天の救いをうけるであろう。不信の者は不幸になるであろう。それからこれを確かめに行ってくる」

と朗々とした声で言い切るとふっと糸が切れたように
こころもち顔を左前方に落とし、深く目を閉ざしたきり黙ってしまう。

師の側に控えていた真済がたまりかねて「師僧よ、次の講義はいつですか?」と尋ねると、

「一眠りしたら、またな」

と空海はそうはっきり言ってから小さく笑い、小春日和の縁側で居眠りするようにそのまま永い眠りについた。

承和二年三月二十一日(835年4月22日)午前四時。

空海入定。享年六十二。

講堂に居た弟子たち寺の使用人全て師僧に合掌し、その中で真如こと高岳親王は激しく肩を震わせて泣いた。


真魚さん、あんたの最期この(まなこ)でしかと見届けたよ。俺は麓に下りて里のみんなにに語り継ぐよ。
と講堂の隅に居た騒速は心で空海の体に語りかけた。

空海の訃報を受けた嵯峨上皇はまるで体から臓腑をまるごともぎ取られてしまったように意気消沈し、籠もっている自室に最愛の妻橘嘉智子を呼び寄せ、

「生きたままこの世の終わりを迎えてしまった気がする」

と心の内の絶望をそのまま吐露した。

「上皇さま…」

「若かった私は変わり者の僧空海の噂に心捕らえられ、彼の者の作った戯曲に心躍り、初めての謁見で口をきわめた諫言をされて心を入れ替えた。人生で楽しい思い出のほとんどに…空海がいるのだよ…」

と涙をこぼす夫の手を取った嘉智子は、

「空海阿闍梨はまるで上皇さまの心を照らしてくれた日輪のよう、ほら、ご覧下さい」

と言って立ち上がり、閉じきった戸を自ら開いた。

季節は春、庭園の桜吹雪が風に乗って舞い込み、室内は光に満ちた。

数日部屋に籠もっていた上皇は空の頂に輝く日輪から光を受けて今ひとたび咲き誇る花々に惹かれ自ら庭に降りた。

こうして日の光を浴びていると解る…

お前はそこにいるのだね?空海。

上皇の問いかけに呼応するかのように桜の花びらがひらり、と手のひらの上に降りた。


皆さん。

私のことを思い出して寂しくなっても、そんなお嘆きにならないで下さい。

あなたの人生のいまの日々の暮らしの何処かで立ち止まって、

雨上がりの虹。水面を渡る風。
道端に咲く野の花の美しさ。
冬の夜に体を温める焚火。
夜道を煌煌と照らす月。

その他ありとあらゆるものから人生の光を見つけた時─

私は、ここにいます。


エピソード「二つの日輪・嵯峨天皇と空海」終






















































































































































































ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み