第53話 比叡山夜話

文字数 4,600文字

梅雨入り前の一時的な酷暑は貴賤なく都の人びとをうだらせているが、
ここ比叡山寺の外は生い茂った樹々の間を抜けて冷涼な風が吹き渡り、そっと戸を開けて師僧の庵から出た青年僧の火照った肌を冷ましてくれる。

ああ、なんと気持ちの良い夜よ…都ではやれ新帝即位で騒がしいがそんなことは最澄さまのお耳に入れたくもない。

比叡山こそ、いいや最澄さまのお傍こそが私の拠り所であるよ。

と青年僧、泰範(たいはん)はやおら衣服を脱いで上半身裸になり、水桶に(きれ)を浸して絞り己が体の汗を拭い始めた。顔から剃髪の頭、首筋から胸元へと巾を滑らせる。曇り空からちらちら覗く月光の下で滑らかに動く彼の白い裸体をさっきから見つめている者がいた。

「そんなに私の行水が珍しいですか?」
と泰範は振り返りもせずに背後の人物に声を掛けた。

「見惚れていたのだよ」
となんのてらいもなく円澄が腕を組みながら言った。

泰範は上半身をひねりゆっくり振り返った。巾を肩に掛け、程よく引き締まった泰範の裸身を見て思わず「…美しい」と呟いた。

「それは、どういったお気持ちで?」
と据えた目つきで自分を見つめる泰範の整いすぎた(かんばせ)をしばし見つめてから円澄は、

「美しいものを美しいと思って何か悪い?」と悪戯っぽく笑った。

「お前と最澄さまの事を陰で色々言っている者もいるが、私は咎めない。僧侶の集まりではよくある『たしなみ』だし、邪淫とは女人とのことだし」

「それは仏罰ではないとおっしゃるのですね…あなたもでしたか円澄さま」

さあね、と円澄は肩をすくめて
「私は空にかかる虹も、麓に広がる湖も、雨露を受けて輝く青々とした葉も同様に美しいと思っている男さ」と答えをはぐらかしてから
「このような問答をしている場合じゃないんだ、穏やかではない事態が起こってね」と急に厳しい顔つきになった。

「何があったんですか?」

「山を降りて奈良に帰ると言い出す僧が出てきた。最澄さま自ら説得して止めていただかないと」

「また、ですか?」

と泰範は簡単に宗旨替えする僧なんて本当の道心なぞ無い、そんな奴は去らせればよいのに。と嫌味を込めた声で言った。

桓武帝が病で崩御なされたのは最澄の付け焼き刃の加持祈祷が効かなかったからだ。

という貴族たちの悪意ある流言が比叡山にまで届いて、山を降りて奈良の寺に帰る弟子が出てきたのは年明けてから。

最澄はじめ円澄や義真も説得に当たって思いとどまる弟子もいるのだが、やはり去る者全てを引き留められる訳ではないのだ。

「せっかく国家公認の宗派になってこれから、という時に次々と弟子に逃げられては宗派として成り立たない。すぐ最澄さまを起こしてくれないか?私は弟子を引き留めているから」

とそそくさと円澄が立ち去ると泰範は衣を着て庵に入り、全裸に白衣を掛けて眠る最澄を起こして急いで身支度をさせて最澄の後について説得の場へ向かった。

本堂の奥には常に油を注いで絶やさずにいる灯火がゆらめき、最澄自ら彫った本尊の薬師如来像と、すでに小脇に荷物を抱えて出て行こうとする3人の若い僧と、
「…どうしても考え直してはくれないのか?」と説得に掛かる円澄と義真を背後から照らしている。

「山を下りて戻ったところで奈良の寺院がお前たちに良くしてくれると思うか?お前らが嫌気を差して出て行った場所じゃないか!」
と義真が向かって右側の僧の袖を引き寄せる。

僧は義真に
「それでもこれから廃れていく比叡山よりはましさ。俺達を食わせてくれる」
と薄く笑って答えた。

何をう!と義真は気色ばんだがそれをとどめた円澄が天候の話でもするかのような気楽な口調で
「それを保証してくれる僧侶がいらっしゃるのかな?例えば、興福寺の徳一和尚(とくいつおしょう)とか」と円澄が事の核心を衝くと僧は不貞腐れて黙り込んだ。「やっぱりね」と円澄は口元に穏やかな笑みを浮かべて、

「徳一和尚なら喜んで天台宗から弟子の引き抜きを行うだろうさ。
なんたって最澄さまの長年の論敵で、最澄さまを前世からの仇敵みたく思ってらっしゃるからねえ。
でもね、徳一和尚も真面目過ぎて奈良では『けっこう』浮いた存在で、悪く言えば孤立しがちなお方なんだよ。引き抜いた弟子全てを食わせる力があるようには私には思えないがねえ」

左右二人の僧はそこでぐっと唇を引き結んで黙り、真ん中の一人は平伏したまま顔を上げようともしない。

「どうかこの山に入った時の理想を思い出して、残ってもらえないだろうか?」

と最澄が進み出て僧たちに歩み寄ろうとした時である。「理想ですって?」と芯から侮蔑したような笑い声が真ん中の僧から漏れた。
「あんたの理想とやらは今の世では…無意味なんだよ!」と立ち上がり、前のめりに最澄に突進する手に小刀(さすが)が光る。

迂闊(うかつ)

と円澄と義真が気づいた時はもう遅かった。

どう、と音を立てて最澄が真後ろに倒れ、温かい液体が顔にかかる。最澄は顔だけ上げて見た光景が(うつつ)だとは思えなかった。
危険を察知して前に出、自分を突き飛ばした泰範の太腿に小刀が突き刺さっていて…刺客の僧の胸が背後から太刀で貫かれている。刺客は口から血を噴いてすでに絶命していた。

「間一髪でしたな」
刺客を一突きで仕留めた和気広世が刺客の骸ごしに最澄に向かって笑顔をひらめかせた。

「広世どの!」
太刀を引っこ抜いてびゅっ!と振り払った血がご本尊に、後に「不滅の法灯」と呼ばれる灯火にも振りかかったので「ちょっと広世さま!」と激痛を一瞬忘れて泰範が広世の行状を咎めた。

「聖域の本堂を血で汚して済まないが、ただちにあなたの治療に取り掛かることで許せ」と広世は逃げ出そうとした僧たちまで使って傷を負った泰範を隣室まで担いで運ばせ、両手両足を押さえさせてさらに口に布を噛ませ、傷の上下をきつく布で縛った。

「抜くぞ」

と広世の合図で僧たちは強く泰範を押さえた。小刀が引き抜かれると激痛で泰範は身をのけ反らせる。傷口から出る血が下に垂れるのを見て「どうやら血の道は傷つけていないようだな」と安堵し、すぐに血止めの膏薬と清潔な布と、針と糸を持ってくるよう義真に命じた。

「今から傷口を縫うからもうしばらく痛いぞ」と広世が泰範の傷口を縫合している間、暴れる愛弟子の手を握りしめて最澄は「済まない、済まない…」と泣いて詫び続けた。

「後はこの膏薬と煎じ薬を処方通りに。さすがは比叡山寺ですな…唐渡りの貴重な薬草も揃っている。いずれ高熱が出るだろうから水で濡らした布で体を冷やすこと。それを乗り切れば泰範は、助かる」

と治療を終え、最澄自ら淹れた茶で一服してから広世がそう宣言すると最澄は「何とお礼申し上げればよいか…」と自分と弟子両方の命を救ってくれた広世に深く頭を垂れ、そして

「刺客の顔を見ましたが、あれは玉泉(ぎょくせん)ではなかった。
ずっとを顔伏せていたので義真も円澄も、山を下りようとした二人の弟子もあれを玉泉だと思い込んでいたのです…恐ろしい事だ。
広世さま、一体何が起こっているのです?私を殺して一体何の得が」
と怒涛のように押し寄せる不安を一気にまくしたてた。

「宮中の奥に仕えていると、いいことも悪い事も見たり聞いたりいてしまうものだ」

茶碗を置いた広世は夜明け前の深い闇を見つめるような目で最澄を見つめ、

「とある高貴な御方が憎悪していた先帝の政策そのものをひっくり返そうとなさっている。
蝦夷征伐と新都造営で疲れ切った民を休ませる政策、それはいい。
だが、一旦切り離した奈良の仏教勢力を全て都に呼ぶとか、再び奈良に再遷都するのは現実的に無理だ。
その御方はこう考えなすった。

『簡単じゃないか、新都の仏教天台宗を興したこしゃくな僧を一人消せば解決する』と」

「私の暗殺命令を出したのは…帝だと?」

そうだ。と広世はひとつうなずいてから、

「帝は頭が切れる御方だが、それがあの方の欠点でもある。
自分を優秀だと自負している者は周りの意見を聞かないからな。
そして、思い付いた悪事をたやすく実行する。
最澄、お前はなぜか帝に深く憎悪されている。今から三年はこの山から出るな。これは忠告だ。お前は今絶対に死んではならん男だ」

「山籠りには慣れておりますゆえ何年でも」
と最澄が覚悟した目付きをすると、

「いいぞ、その眼だ。初めて会った時なんと活きた眼をしている僧侶なのだ!と思ったのだよ。念のために武力に長けた者を警護に付けてもかまわぬか?」

「それは有り難いのですが、広世さまが私を警護していると知られてはまずいのでは?」

なに大丈夫、と広世はうふふと笑い、
「警護の者は出家した元武官だ。杖一本で10人は倒せる僧侶二人がお前を守る」

なるほど、それなら見張りの者には僧侶が新しく入山したぐらいにしか見えない。

「こっちもこっちで朝廷を騙しにかかると思ったら何だか楽しくなってきたよ、最澄。やっぱり私の本質は医者ではなく、貴族だ。それも父ゆずりの謀が好きな性分…」

うふ、うふふっ、と肩を揺すって笑う広世の笑顔はお父上の清麻呂さまにそっくりだ。と最澄は思った。

「さあて、今夜の最後の仕上げにお前の血の付いた帽子(もうす)と円澄を貸していただけますか?」
と、何か策を思いついた時にぺしっ!と両の手のひらを叩く癖も父上そっくりだ、と広世は今更ながらに気づいたのだった。

麓近くの茂みに転がっている骸の顔を見て帽子を目深に被った僧侶が「玉泉!」と絞るような声を上げた。

「この玉泉とやらが逃げようとした僧侶か?最澄」
と従者を連れた広世が詰問すると
「そうです」と僧侶はうなだれて合掌した。

「刺客は夜に紛れてこっそり山を下りて逃げようとした玉泉と出くわし、これを好機と玉泉を絞殺して僧衣を着て玉泉になりすましてたやすく比叡山寺に入ったのだ」
と広世は玉泉の骸を強く蹴った。

「死者になんてことをするのです!」
と僧侶に咎められた広世ははあ?と呆れ切った声を上げた。

「従者がこの骸を見つけてお前の危険を察知して山を駆けて上がり、危うく刺客に刺されそうになったお前を助けてやったのに…」

言いながら広世の声はどんどん怒気を帯びて来る。

「だ、黙れ黙れ!本堂を血で汚しおって、この人殺しの外道っ、とっととこの山から出て行きなさい!」

「言われなくても出てやるよ。命の恩人を無下にするこの頑固者の僧侶と後ろ盾を失った比叡山にさんざん金を出して支援してやったのは誰だと思ってるんだ!?」

「なんと露骨な物言いだ…疾く出て行け」

ふん、と鼻を鳴らして威張って出て行く広世と最澄の物別れの瞬間を見届けた密偵は

「最澄は仕損じましたが、目の前で刺客を斬り殺したことを咎められて和気広世さま最澄に激怒し、物別れ致しました」

その報告を聞いた平城帝は「そうか、ならいい」と鷹揚にうなずいて密偵を下がらせた。

和気氏の支援を失った天台宗などもう放っておいても空中分解するであろう。

「気が変わった…山に籠っている間はお前を生かしておいてやるよ」
と独り言を言って白い碁石をもてあそぶ平城帝は、こうして最澄の帽子を被って変装した円澄と広世が打った芝居にまんまと騙される形となった。

碁というものは面白い。
相手の陣地を囲んでいると思いきやいつの間にか陣中に深く入り込まれていたりする、白と黒との騙し合い。

比叡山の頂あたりでやっと帽子を脱いだ円澄は、麓の琵琶湖を見下ろしながら、

さんざん金を出して支援してやった。
ってお言葉、広世さまそれ本音でっしゃろ?と含み笑いしながら夜明けを迎えた。

叡山に、白々とした朝が来る。




































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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