第129話 心の中の明王

文字数 5,330文字

弘仁六年(815年)夏、陸奥国。

晴れた青空のもと身の丈五尺越えの少年がもろ肌脱いで四股を踏み、

「さあさあ八卦よい!我との素舞(すまい)に勝ったら豊作だぞ!」

と田植えの手伝いを終えたばかりの子供たちに向かってがばっ、と両腕を広げて見せた。

古来より相撲は素舞と呼ばれ神に礼し、邪を祓い、鬼を追う舞踏であり四股とは足で大地を踏みつけて地下の邪気を祓う呪術である。

少年は蝦夷の民が田植え作業を終えて水で体を洗って休んでいる前で見えない神と押し合う奇妙な振り付けの舞を披露して見せてこの年の豊作を祈願しているのだ。

その様子を見ていた子供たちが面白がって五人いっぺんにわっ!と少年の胸に飛び込み、「よーし、絶対倒してみせるぞ!」と力任せに押すが相手は全然びくともしない。

「ほらどうしたどうした!?お前たちはたった千五百の精鋭で一万の朝廷軍を追い払った戦士たちの子孫なのだろう?」

そう挑発されて子供らは腹の底から瞬発的に湧いた悔しさで俄然本気を出し、地に足をめり込ませて少年を押しまくった末、相手は仰向けに倒れた。

「勝負あり、今年は豊作だあー!」

素舞にわざと負けて蝦夷の俘囚の子らを両腕に抱え、地面に仰向けのままわははははは!と高笑いするのはこの年十三才の小野篁。

彼は父岑守の赴任先である陸奥に来て早々貴族男子の嗜みである文物を素読する暮らしに倦んで隙を見ては官舎を抜け出し、地元の蝦夷の子供たちと共に山野を駆け巡るほぼ野生児の日々を満喫していた。

木漏れ日がぎらぎらと渓流を照らす盛夏のある日、篁は山の小川に釣り糸を垂らしているが、(うお)が釣れず「暇だな、もう帰ろうか…」と連れの蝦夷の少年でことし十二才の吉美候部刈麻呂(きみこべのかりまろ)にこぼした。

刈麻呂の祖父はかつてアテルイの配下で巣伏の戦いで朝廷軍を追い払った一人でもある老練の戦士だった。

今は里長である彼が篁を一目見るなり
「あなたはどこかアテルイ様に似ている」
と大層気に入り騎馬術と射的の師匠を買って出、篁の体格に合う巨馬(後の愛馬、青葉)まで探してくれたり、と何かと世話を焼いてくれる。

「春夏の山は採集が主で獲物は少のうございますからね」
 
と言ったすぐ後で刈麻呂は「そういえば二つ先の山はなぜかここ数年立ち入り禁止となって誰も入りません。獲物がうようよいると思われますが…行ってみます?」と急な思い付きで篁を誘った。

「面白そうだな」
国司の息子と里長の孫はにいっと悪童の笑みを浮かべた。

刈麻呂の案内で入った山の中腹で泉を見つけた篁は帽子を取って頭をざんぶ!と水面に突っ込んで予想以上に魚が泳いでいるのを確認すると顔を上げて犬のように頭をぶんぶん振って水滴を弾き、

「これなら魚籃(びく)一杯の魚が釣れる!」
と喜色満面に叫んだ。

二人が泉に釣り糸を垂らして互いに三匹ずつ釣り上げて笑い合ってる時、

「おまえら、ここが殺生禁止の聖地と知ってのことか?」

と頭上から怒気を孕んだ低い声がした。人の気配なんて無かったのに!

驚いて篁が振り向いた瞬間、何かに足元が引っ掛かり地面に突っ伏すその視界で確かに、一人の僧の姿を認めた…


それから十ニ年後の天長四年(827年)。


はははははは…!
と淳和帝は御椅子の上でさも愉快そうにお笑いになられた。

それは徳一和尚東国からの一時帰京の挨拶に参内謁見の場にちょうど護衛役の弾正少忠として控えていたのが小野篁だったので、

「そういえば篁、お前の東国時代の恩人は徳一和尚だと以前申していたが二人はどのように知り合ったのだ?」

とお尋ねになったところ、

「拙僧の庵の結界に子供を連れ込み、密猟をしている悪い大人がいると思って振り返りざま足を掛けて転ばせて懲らしめました。

まさかこのように図体の大きな子供がいて、しかも密猟をした悪我鬼が国司どののご子息とは思いもよりませなんだ」

と徳一が包み隠さず答えたのでその場で聞いていた官吏や宮女たちが皆口元を押さえてふふ、くく…と笑い声を漏らす中、篁は表情一つ変えなかった。

「なんか、御前で恥をかかせてしまったようで済まぬな」

帝の御前を辞し、目的地まで行く牛車の中で徳一が謝ると篁はだって本当のことですから、と気にもしていない様子。

「あの時和尚が
『お母上を心配させず毎晩宿舎に帰れ。暇を持て余したらいつでも庵に来て手伝いをするがよい』
と叱りながらも居場所を与えて下さったから父多忙で構ってもらえず、寂しかった私は行いを改めることが出来ました。感謝しかありません。

それに…恒世親王さま身罷られて以来帝が初めてお笑いになられた。帝が笑って下さるならこの篁、何度でも恥をかきます」

どの氏族の家に生まれたかで将来の出世がだいたい決まってしまい、能力のある官吏たちが足を引っ張り合う表面は華やかだが実は陰湿で剣呑な貴族社会に揉まれても変わらぬ篁の真っ直ぐさを徳一は嬉しく思い、「そうか…」と深く頷いた。

篁が御車を急がせて着いた先は西寺の北院。そこには徳一が無理に一時帰京してまで会いたかった人物が床に伏していた。

「よぉー、随分元気そうやないかい」
顔だけこちらに向けで徳一を見た勤操は筺枕の上で旧知の友に笑みを浮かべた。

血色が薄くなって随分痩せてはいるがその笑顔を見た徳一は彼のもとに駆け寄り「勤操はん…」と涙声で大僧都勤操の手を握った。

よせよせ、湿っぽいのは!と勤操はわざと顔をしかめてみせる。

「大僧都権限でこの空海に文を送らせお前を呼び出してしもた。どや?しばらく側にいてくれるか?」

「帝より滞在の許可を得ましたゆえ心置きなく」

徳一が答えるとさよか、と軽く目を閉じ勤操は眠りに落ちた。

昨年大僧都に任ぜられた勤操は川原寺別当に加え西寺別当を兼任し、まだ建築途中の西寺の完成に向けて張り切っていたが七十越えた体が現界を迎えたのかひと月前から床について起き上がれなくなった。


「勤操どのの具合はどうなんや?空海」

実は空海、東寺五重塔建設のために都に帰京し、木材を調達するための費用が足りないので親王家や貴族家に勧進(寺社建築のための募金活動)して回る忙しい日々の中、勤操の看病を買って出たのだ。

「もうご寿命で今年の秋を迎えるのも難しいかと思われます…」

彼にしては珍しく俯いて首を振る空海に徳一は、

「我は出来る限り傍に居て最期まで大僧都どのにお仕えしたい。交替しよう、お前は休め。国家鎮護の僧にいま倒れられては困る」

と言って空海を東寺に帰した。

そして、

芽吹いた木々の芽が固くなる春の終わりから、庭の草木を存分に湿らせる梅雨にかけて徳一と空海は交替で勤操の看病に当たり、時折目を覚ましては饒舌に昔語りをする勤操の話し相手をしながらゆっくりと確実に日々は過ぎていった。

ある時

「身の回りの世話なら西寺の僧がいるっちゅうんに二人とも、そないにわしの事が好きか?」

と勤操が冗談めかして聞くと徳一と空海は真面目ぶった顔で、

「はい、あの日高雄山寺で頭突き食らわされた鼻の痛みが疼くほど」
と徳一が鼻をつまみ、

「わしも山岳修行の初めに滝壺に蹴落とされた(せな)が痛うて痛うて」と空海がわざとらしく背中をさすってみせた。

「…三十年も昔の事を。その言い草、まるでわしが乱暴者の破戒坊主みたいやないかい」

と勤操がぼやくと声を揃えた二人に

「それ以外に勤操さまの正体をどう言うたらええんです?」

と言われてぐうの音も出なかった。

眠るときいつも残念そうに目を瞑る勤操に徳一は、このお方は世を去る前にひと目会いたい「誰か」を待っていらっしゃる。
と気づいた。

代理で文を送った筈の空海に聞いても彼のことだ、決して口を割らぬであろう。

意中のその方が来ずともせめて我らで勤操さまを送って差し上げよう。と徳一は心に決めていた。

濃い青色に染まった紫陽花にさあさあと雨が降るお昼前、一人の比丘尼が西寺の北書院を訪れた。

「せっかくお文を頂いたのに用事に取り紛れて遅れてしまいました」

と年の頃は六十過ぎのその比丘尼の顔に徳一は見覚えがあった。

「あなた様は…」

「その節はお世話になりました、徳一和尚」

清蓮尼(せいれんに)は徳一に深く目礼してからお待ちしておりましたぞ、ささ、と空海に促されて病人の枕辺に座り、彼女の顔を確認した勤操ははっきりと目を見開いた。

「庵のほうは大丈夫でっか?」
「はい、大僧都どのの支援のおかげで女子どもたち健やかに過ごしております」

さよか、とそこで会話を終わらせようとした勤操だが空海の強い目つきに促され、

「…あの事をまだ恨んでおりますか?」
と清蓮に聞いた。

あの事とは二十年以上前、貴族家の妻だった彼女が公衆の面前で義理の甥の藤原仲成に辱められた事件である。
それが原因で彼女は帰る場所を無くし勤操の元に身を寄せ尼となった。

「最初の頃は我が身に起こった不幸を嘆き恨んでおりました。けれど、尼になって庵での務めにいそしんでいる内に、もう…」

彼女を襲い、人生を壊した仲成も報いを受けて処刑された。

勤操の庵に助けをもとめに来た望まず子を身籠った女人と赤子の世話を任され、苦しむ女人たちを救うという役目を与えられた。

人の世の(なま)の有り様と本当に救うべき人たちの存在は貴族のままでは一生知ることが無かったであろう。

「大僧都どのには新しい人生を与えられて感謝しております」

清蓮尼こと多治比志岐子は感謝の涙を浮かべて横たわる勤操に向けて深く、深く、合掌した。

元々美しい彼女の合掌姿をを前にあの、その…と口ごもった勤操はええい!と意を決し、

「志岐子はん」

と彼女を本名で呼んだ。驚いて目をぱちぱちさせる彼女を真摯な顔つきで見上げ、

「この老僧、いつしか貴女のことを好いてしまっていた。出家の身にあるまじき懸想であるが…」

と生きている内にこれだけは伝えたかった告白をした。言ってしまってから慌てて目を背ける勤操の様子は七十老というよりまるで童のようだった。

志岐子はしばらく黙ってうつむいていたが意を決して顔を上げて勤操の手を取り、

「実はわたくしもあなた様をお慕い申し上げておりました」

と勤操の手を自分の両手で包み込んだ。ゆっくり顔を戻した勤操と志岐子は視線が交差した。

庭の紫陽花から雨の雫がこぼれ、葉の上に蝸牛が這うその(とき)が永遠に止まったかのように思われた。

やがて勤操は「ありがとさん」と看病してくれた徳一と空海に礼を述べ、

「これでもう残りは無うなった。今が一番倖せや…」

とこれ以上ないといった笑顔で志岐子の手を握ったまま深く目を瞑った。

きっと疲れて眠ってしまったのだろう。周りはそう思い、勤操を休ませようと握った手を志岐子が下ろそうとした時、彼が息をしていない事に気付いた。

「阿闍梨、あの…」「え、勤操はん?」空海が頸と手首に触れて脈が触れない事を確かめようやく師僧の肉体の停止を確認した。

天長四年五月八日(827年6月25日)、大僧都勤操遷化。享年七十三。

南都六宗の一つ、三論宗を代表する講師であり舌鉾鋭い論客でありながらも新しい宗派を立ち上げた最澄と空海と親しく交流を持ち、両者から灌頂を受けた教義の壁など気にしない驕らない人柄であった。

今際の際で大僧都どのが尼僧に恋の告白をしたことはお互い黙っていような。

と徳一と空海は約束し、葬儀の帰りに小野篁に呼び止められ、彼の舅藤原三守の九条の別邸で故人の昔語りを始めた。


「勤操和尚とは議論が過ぎると拳で語り合うこともあったが、それ以外は本当に優しいお方だった。幼い頃寺に入れられ、悪夢で目覚めた我をなだめて寝かしつけてくれた…」

「わしを私度僧にして山岳修行の厳しさをこの身に叩き込んでくれたのが勤操はんでした。戒明和尚の庵であの方に出会っていなかったらわしは人生の道を間違えていたかもしれません」

邸の改装が進んで学舎づくりになっていく邸内で車座になって在りし日の勤操の思い出を語る老僧二人に篁は、

「お二人の話を聞いてますと勤操和尚はまるで明王みたいなお方ですね」

明王、それは密教の教えで現世と仏界の狭間に居て現世で悪事をしないようわざと恐ろしい形相で戒め衆生を導く存在。

「明王、かぁ…言い得て妙だが勤操はんは我々にとってまさにそうだったな」

「私にとって明王は徳一和尚ですけどね。出会い頭に和尚に転ばされた私は怖くて怖くて泣き出してしまったんですから!」

そうだったな!と老僧と若い官吏が笑い合った時には雨は止み、曇り空の間からちらちらと日の光が覗いて見えた。

絵師に作らせた御影の中の勤操を確認した空海は「うん、そっくりや」と言ってから壁に掛け、眺めているうちに、

喧嘩好きの子供みたいに荒っぽくて、口が悪くて強引で、その癖めちゃめちゃ優しくて、最期に好きなおなごはんに想いを打ち明けて手を握り合って死ぬなんて…

「勤操はん、あんた最高やないかい」

と眼からぼろぼろ涙が流れるに任せてひとしきり空海は泣き、落ち着いてか気を取り直して画賛の漢詩を書き始めた。

「…(かじと)る師無きときは深きに越すこと(あた)わず…」


人生の中で苦しくて苦しくて過ちを犯しそうな時、思い止まることが出来た者は過去に自分をいち人間として認め、真剣に叱ってくれた尊敬できる大人の記憶がそうさせたのかもしれない。

誰か一人でもいい。心の中に人の姿をした明王がいればどんな苦境にあっても、

人は人として生きていける。































































































































































































































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

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