第43話 紅い雨

文字数 5,256文字

「一つの網の目では鳥をとることができないように、一つ、二つの宗派では、普く人々を救うことはできない。
という最澄の言葉はもっともだ。従って仏教の宗派は多ければ多いほど良い」と

一時病から持ち直した桓武帝は
延暦25年(806年1月26日)最澄に天台宗開宗の勅許を下した。

こうして天台宗は華厳宗、律宗、法相宗、三論宗、倶舎宗(くしゃしゅう)成実宗(じょうじつしゅう)からなる南都六宗に準ずる新たな国家公認の宗派となったのである。

「よくぞここまで努力してきたな…最澄。早う比叡の山に帰って弟子たちを安堵させてやるがよい」

「まことにありがたき幸せ…」

と感謝を述べる最澄は溢れる思いで声を詰まらせながら帝の御前を辞した。

その様子を見届けると桓武帝はぐったりと御椅子の背にもたれ、深く目を閉じて息を付くと、
尚侍明信と宮女の藤原平子(ふじわらのひらこ)を呼び出し、彼女たちの手を借りて椅子から立ち上がって冠と朝服を脱がせてもらい、寝所へと移動して床に躰を横たえた。

水で絞った布で化粧を落としてもらうとその下には、すっかり黒ずんだ顔が現れた。

最澄、もう私の為に無理して祈る必要は無いのだ。私は祈祷を受ける資格の無い大罪人なのだから。

「最澄の祈祷のお蔭で徐々に体が良くなった」と無理をして起き上がり出して三か月。もう体力も気力も限界を越えていた。

「明信」
「はい」
「朕はこれで最澄を救ってやれたのだろうか…?」と掠れた声で言う帝の耳元に
「勿論でございますとも!」と明信が囁きかけた時はもう帝は疲労からくる眠りに落ちていた。

その日から桓武帝は枕から頭も上がらぬようになった。

もう長くはないだろう。
と自覚した桓武帝は意識が清明な時は臣下を枕元に呼び寄せて朝議の内容を聞いて可能な裁断をし、今後の政の方針や自分の死後の妃や子供たちの処遇やどこの領地与えるなどの「遺言」を書きつけさせた。

話し疲れると意識が遠のくままに眠り、その間に早良親王を始めとする死に追いやった皇族貴族たちが夢に出てきて自分を苦しめた。

早良親王、井上内親王(いがみないしんのう)他戸親王(おさべしんのう)、そして、早良の子を宿したまま刺客の槍にかかった大伴娘(おおとものいらつめ)
その者たちは襲いかかって責めたてる事はなく、ただ穴の開いたような目で自分を見下ろしているだけ。その無言の圧力が一層桓武帝を戦慄させた。
あれは舅の藤原百川に強要されてやったことだが、最初の殺人、継母井上内親王を絞殺した時のことを桓武帝は思いだした。

あの酔っ払いのろくでなしの夫(光仁帝)が命じたのであろう?我も息子もここで殺すがよい。さあやれ、藤原の飼い犬山部王っ!

犬と呼ばれて私は激昂して継母の首に手を掛け、締め上げていた。絶命するまでの間、継母は目を見開いてじっと私の顔を見ていた。やがて黒目の中の瞳が異様に大きくなり、あっけなく継母は死んだ。

人は死ぬと目の中に暗黒を宿す。

なら自分を取り囲んでいるのは本当に死人なのだろう。

「もうすぐ地獄に堕ちてやる故、安心するがいい」と話しかけるとその者たちは消え、目覚めた時には脂汗で衣を濡らしている自分を床の中で発見するのである。

時折、幸せな夢を見ることもあった。

春の陽射しがきらきら降り注ぐ中、自分は赤子を抱き締めて、頬ずりしている。
賀美能(かみの)、賀美能…ああ、これは夢で私は赤子だった神野をあやしているのだ。
傍らでは皇后の乙牟漏(おとむろ)がにこにこしながら自分たち親子を見守ってくれている。
乙牟漏。お前は式家の姫でありながらいつも慎ましく、美しく心優しい后だった。

思えばこの頃が人生で一番幸せなひと時であっただろうか。

死んだ早良の代わりに立太子した安殿が癇気の病を発病し、今更廃太子には出来ない。どうしたものか…と絶望的な気持ちになっていた頃、乙牟漏が神野を身ごもったのだ。

生まれたのが皇子だったのでこの子は心身ともに健やかな天皇に育てよう!と自分は意気込んでいた。

「賀美能、漢学は父が教える故心配するな…文道、管弦は誰に教えさせようかのう?…そうだ!武術の師は坂上田村麻呂を付けよう。
それでいいよな?乙牟漏」

とまだ生まれて半年の赤ん坊の将来を語っていた私に向かって乙牟漏はふつっと笑顔を消して、こう言ったのだ。

「賀美能さまを可愛がって下さるのは嬉しいのですが…たまには安殿さまに会って下さいませんか?」

三年後にお前は病で逝ってしまった。

乙牟漏、あの時お前の言う通りにしておけば、安殿との仲をこじらせることは無かったかもしれない。

私がお前との間に生まれた安殿から眼を背け続けたのは神野が生まれて情が移ってしまったというのもある。

顔はお前に似ているが、人一倍酷薄なところや、憎んだ相手に報復しなければ気がすまない性分など、中身は私ゆずりで欠点しか見えない安殿の存在が…恐ろしかったのだ。

いくら臣下がしっかりしていても安殿が即位したらこの国はどうなってしまうのか?

「中納言、内麻呂をこれへ」

桓武帝の枕元に呼ばれた藤原内麻呂は「次代の安殿はお前と葛野麻呂で補佐してやってくれ。それと」

と帝が告げた遺言を耳元で聞くと、内麻呂はあまりの内容に眉を顰め「それでよいのですか?」と聞き返した。

「よい、やれ」

と言い切った桓武帝の眼光にはこのお方本来の冷徹さが宿っていた。と後で思い返して内麻呂は実の親子ながらなんと非情な、と最初は思ったが、

結局、帝と春宮さまは人格のどうしようもない所でよく似た親子なのだな。

と思い至った時…天智系の血統、恐ろしや。と総毛立ったのであった。

神野親王が父帝の病床へ呼び出されたのは、寒さも緩み、梅も桃も散って桜が蕾を膨らませる春の日の昼下がり事だった。

ちょうど3つになったばかりの異母妹、伊都内親王(いづないしんのう)の遊び相手をしていた神野は伊都の母、平子に「頼む」と妹と毬を託し、身支度を整えると表情を硬くして場を後にした。

部屋に残された平子は
あのね、おかあさま、おにいさまがあそんでくださったのですよ。
とお喋りしたくてたまらない年ごろの娘を膝に抱いてええ、そうね。良かったわね…と生返事をしていたがやがてせり上がって来る気持ちをこらえきれず、どにうしても涙が出てきてしまう。

実はこの藤原平子、尚侍明信の子である藤原乙叡(ふじわらのたかとし)の娘で15になる前に桓武帝の後宮に入った、明信の孫娘なのである。

ほんとうは解っていました。
帝が私を妻にとお求めになられたのは、祖母の明信の代わりなのだと。

父の命令のままに後宮に入り、祖父ほども年の離れた帝にお仕えしている間、何も感じないように考えないようにしていました。それが後宮で苦しまずに生きるための女の智恵なのだ、と祖母の明信に言い聞かされてきたから。

なれど、帝の御子を身籠り、伊都さまが産まれて帝が嬉しそうお抱きになられた時、あの御方を子の父として、我が夫として愛おしく思う気持ちが沸き上がって来たのです。

もうすぐ夫が逝ってしまう。そう考えただけで!

「平子さま…」と抱きしめて慰めてくれたのは、隣室で泣き声を聞きつけた橘嘉智子であった。

「お優しいのね、嘉智子さん」と平子は呟き、嘉智子の肩に顔を埋めてしばらく泣いた。母と嘉智子が抱き合って泣いている姿を幼い皇女はふしぎな目で眺めている…

「来たか、神野」と枕の上で桓武帝は邪気の無い微笑みを浮かべた。看病に付き添っていた明信に目配せして下がらせ、

呼んだ父も、呼ばれた息子も

きっとこれが最後だ。と心の中で解りきっていながらなかなか会話に踏み切れなかった。焦れて話し始めたのは父親のほうだった。

「昔、ある貴族が私に言った。邪魔なものは全て廃し、その屍を踏んで歩くのが王道というものなのだ、と」

そう、私の傍で弟の他戸を絞殺した藤原百川(ふじわらのももかわ)が平然と言い放った言葉だ。

「即位してから25年、最初の蝦夷征討では多くの兵を死なせ、腐りきった仏教勢力とのしがらみを断つために二度も都を変え、疫病と洪水で多くの民を死なせた…
私は治世は失政だらけ。ずっと思って来たのだ。
私は屍ばかり作ってその上もちゃんと歩けていない愚かな王で、天皇として相応しい人間ではなかったのだ、と」

「いいえ!」と目に涙を溜めながら息子は父の言葉を遮った。

「父上にしか出来ない決断をなさったからこそ今この都は平安京と呼ばれているのです!次の征討で蝦夷は降伏し、東国への途を開きました。
そして国家鎮護の為の新しい宗派、天台宗を最澄に作らせた。過去の天皇でここまで果敢な改革を出来た方はおりませぬ…周りが何と言おうと父上は私にとっては偉大な帝であり、お優しい父上です」

いつの間にか一人前のことを言えるようになったもんだな。神野。

お前は近い内に実の兄と争う事になるかもしれない、と心配していたが、どうやらお前は大丈夫のようだ。

「よう言うてくれた、神野。近う」

と父親は息子の顔を自分の口元に近づけ「父の遺言だと思って聞けよ」と前置きしてから

「私みたいな王には決してなるな」と決然とした口調で告げた。

そ、それはどういう事ですか?と困惑している息子に対し、

「神野、お前には生まれつき周りの気持ちを明るくさせる性質を持っている。父もお前の存在には助けられた。これからはその性質を存分に生かせよ…」

そこで父親は重そうに瞼を閉じ、明信を呼びつけると「行くが良い」と言ったきり眠ってしまった。

それが、神野親王と父桓武天皇の最後の会話だった。


臨終の際に桓武帝が最後に傍に呼んだ人物が息せき切って比叡の山のから下りてきた。
天台宗開祖、最澄は病床の桓武帝の手を握ると主から意外な言葉を掛けられた。

「不幸にして済まなかった」

それは、最澄一人を後押しして新都の仏教政策を強引に進め、結果、奈良の僧侶たちの憎悪が最澄に向けられた事に対してか。

奈良仏教派の皇太子安殿が即位すれば最澄が苦境に立たされる今後を憂いてか。

しかし、そんなことはもうどうでもいいのだ。最大限の感謝を込めて最澄は優しい声で言った。

「最澄が今ここにあるのは全てあなたのお蔭です…帝、最後にお言葉はありますか?」

すでに周りには皇太子安殿親王をはじめその妃朝原内親王、神野親王、伊予親王、大伴親王など主だった皇族たち。

若い頃のむごい粛清の時代を共に生き延びてきた従兄弟で右大臣の神王(みわおう)、最愛の女人で長年仕えてくれた尚侍明信がそれぞれの感情を押し殺しながら佇んでいるのに…

「この畜生っ!」

と皇太子安殿が臨終間近の父に罵りの言葉を浴びせ始めたのである。

「あんたは俺を見ようとも育てようともせずにただ東宮で飼い殺しにしてきただけじゃないか!!
それなのに自分のしくじりを何もかも俺に押しつけて死んで行こうとするなんて…
この卑怯者の暴君、流した血の分だけもっと苦しめ!」

「この期に及んで見苦しいですわ。場をわきまえて下さい」

ぴしゃり、と頬を打つような口調で朝原内親王が夫を諫めると不思議と安殿は大人しくなった。

はは…初めて父に本音をぶつけられたのが臨終の場とはな。と桓武帝は胸中で笑い、自分の情の無さのせいで不幸になった息子を心底哀れんだ。

次第に視界がかすみ、意識が遠のいてくる。それでも桓武帝は最澄の手を握り返し、朗々とした声で

「負けるな」

とだけ告げるとそのまま働き続けた人が疲れて休むように深く目を閉じ最後の一息を付くとようやく訪れた永い眠りについた。

しばらくしてお脈が触れなくなったことを最澄が右大臣の神王に告げると神王はその場に居る者全員を見渡してから

全身を細かく震わせて哀しみ抑え、「帝、ご崩御…」と簡素に告げた。

延暦25年3月17日(806年4月9日)桓武帝、崩御。享年70。

この瞬間、天皇になった安殿が先程の錯乱が無かったかのような落ち着きぶりで父の御尊骸を見下ろし、

死んだか。
という気持ちだけで何の感慨も湧かなかったのを当然に思うと、

(もがり)(天皇の葬儀)の準備いたせ」と素っ気なく天皇として初めての命令を周りの者たちに下した。


神野は外に出て、間もなく沈んで行こうとする太陽をぼんやり眺めていた。空じゅうが真紅に近い夕陽に照らされ、急に降って来た春の雨さえも光に染まって紅く見える。

これは、天さえも父の死を惜しんで血涙を流しているのだろうか?

と思いながら神野は紅い雨に打たれるままに父の遺言を思い出した。

私みたいな王にはなるな、か…では私はどのような王になるべきなのか?

と胸に浮かぶ問いの答えがなかなか思い付かずにいた。その時不意に

春宮(ひつぎのみこ)さま、どうぞ…」と雨除けの衣を差し出す者がいた。神野はその青年に鷹狩の時2、3度随行してもらった事があるので顔は見知っていた。

「名は?」

(とう)の冬嗣」とその青年は名乗った。

「私は神野。そうか、私はもう春宮なのか」

神野が(きぬ)(かづ)いて間もなく雨は止んだ。「通り雨でしたね」と冬嗣が笑いかけた時神野は魂奪われたように沈む夕陽に見入って、

そうだ、私はどのような王になるべきかではなく…

この国に真の平安をもたらす天皇になる。

と閃いた答えを決意に変えて神野は「行こう、冬嗣」と冬嗣を従えて父の殯で慌ただしくなっている宮中に戻って行った。

これが将来の嵯峨帝と生涯の忠臣、藤原冬嗣との出会いであった。
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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

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