第105話 祝宴

文字数 4,885文字

弘仁二年秋、

空海から依頼された密教法具の制作を全て終え、褒美を荷車に積んで胡人の鋳造師田辺一族と手伝いの秦一族が奈良から引き揚げようとしていたその時である。

「この中に田辺牟良人(たなべのむらと)どのはおられるかっ」

と年の頃30半ばの色白で痩せた男が金髪に青い目の男たちを見回しながら声を張り上げた。

白い直垂姿(ひたたれすがた)からして彼は職人なのだろう。「それは私のことですが何か」と牟良人が進み出ると男はいきなり彼の両肩を掴み、

「俺の名は椿井双(つばいのならぶ)。田辺牟良人どのよ、あなたの細工の繊細さに俺は惚れた。このまま奈良で仏師として仕えてみないか?」

という興福寺の仏師、椿井双直々の勧誘を受けたのだ。

俺が仏師に?
いきなりなんて事言うんだ、と最初牟良人は戸惑ったが兄の波瑠玖や仲間の胡人までもが、

椿井双だって!?おい、あのお方が椿井双だよ…思っていたよりずっとお若い方じゃないか。まさかご本人に会えるだなんて!

と職人なら知らぬ者の無いこの国一番の仏師を尊敬と感動の目で見ているではないか!

牟良人の背後から進み出た波瑠玖(はるく)が「私は牟良人の兄ですが…仏師という直接国に仕えるお役目我が愚弟に務まりましょうや?」

と真剣な顔で尋ねると双は自信たっぷりに「この天下に双ぶ者無き椿井双が三年で一人前にしてみせます」と不敵に笑って宣言した。

牟良人抜きに波瑠玖と双は顔寄せ合い、急に声をひそめた。

「…して、食封(じきふ)(給料)は如何ほど?」
「そうですね、国に仕える仕事ですから一年でこれぐらい支給されます」
「なんと!」

故郷での稼ぎより遥かに高い食封と待遇の良さに断る理由が無かった。
二人の職人は暗黙の了解で頷き合い、波瑠玖は弟の肩を強く叩いて、

「立派な仏師になるんだぞ」
と笑顔で言ってその場で牟良人を双に弟子入りさせて奈良に置いて行ってしまった。

それから二年後、興福寺。

兄の波瑠玖からの急ぎの文を開き、その内容に驚いた牟良人はすぐ師匠の双に、

「妹の婚儀に参加するため七日ほどお(いとま)をいただきたいのですが」

と伺いを立てると、
「それはめでたい!七日と云わず半月程休みをやるから帰って家族を喜ばせてやれ」

と休みの許可を取り、故郷の高野山までなるだけ急ぎで馬を走らせ、家族が住まう高野山の麓の天野の里に着いたのは…

賀茂騒速(かものそはや)とシリンが名乗りを交わして六日後の夕方であった。

妹の部屋に入るなり「兄さま、遅い!」
とむくれた妹に綿の詰まった絹の枕を投げつけられ、ちょうど顔面に当たった。

「だってここから報せが届くまで三日、支度して奈良からここまで三日かかるんだよ」

しかし六日も初夜を待たされているシリンの我慢は限界だったろう、当然だ。

牟良人は烏帽子を取り、汗と砂ぼこりにまみれた金髪の頭を掻いた。

しかし手紙の内容には驚いた。この国の人が普段やってる名乗り合って閨を共にすれば結婚が成立する妻問婚じゃなくて、

「まさか正式な拝火教(ゾロアスター教)の結婚式をするだなんてなあ…ソハヤが拝火教徒になってくれる事も秦一族も参加するって事も未だに信じられない」

「その秦一族が是非見たい、って言い出したのよ」

「何だって!?」

声を上げると頭がくらくらする。ほとんど休みなしでここまで来たんだものな。ひとまずは、寝よう。

「とにかく、結婚おめでとうシリン」
「ありがとう兄さま」

拝火教徒のしきたりに従って婚約していた時期もあった兄妹は、

ああこれでやっと普通の兄妹に戻れる…

という安堵の思いで見つめ合った。そして兄の部屋で荷をほどいて絨毯の上で横になると、
ええっ、お師匠と兄弟子の皆さんからこんなにお祝いを?

と義姉の寿々香(すずか)が包みを開いて驚いている声を聞きながら卒倒する勢いで眠った。

翌朝、宴のためにこしらえた(あげはり)(テント)の中で待っていた秦真比人(はたのまひと)は、子供の頃より親しくしていた牟良人が入って来ると、

「やっと来たか、お前の帰りを今か今かと待っていたんだぞ」

といつもの仏頂面をほころばせて彼を抱き寄せた。

「それより真比人さん、あんたら秦氏は日頃から拝火教徒のことを
『兄や妹父や娘母と息子で平気で結婚するなんて気持ち悪い』
っ言ってたくせにどういう心境の変化?」

そうなのだ、牟良人は麓の秦一族に近視婚への忌避感を植え付けられて許嫁のシリンとの婚儀直前に山を降りて逃げ出したのである。

「近視婚は嫌だが別に拝火教は嫌ってはいないよ」
真比人の口から意外な答えが返ってきた。

「お前から聞かされた教義は仏教や産土神の教えと似たようなもんだと思う。
そりゃ昔は丹の取り分でいがみ合ってたけど…一緒に暮らさないと解らないこともあるもんだな、お前ら拝火教徒は他のどの氏族よりも大人しくて礼儀正しいじゃないか」

それにな、と兄の波瑠玖が話に入ってきた。

「この二年で秦氏と胡人が三組結婚した。
…好き合った男女の事は仕方ないが、生まれた子供は拝火教徒にはなれない。このままでは拝火教徒がいなくなってしまう事態を俺は憂慮した」

七日前の夕方、名乗りを交わして抱き合うソハヤとシリンを覗き見ていた波瑠玖は喜びのまま、
「今宵こそシリンの婚儀だあーっ!」と叫んだ直後に「憂慮する事態」に気付き、
「ちょっと待ったあー!」と口づけしようとする二人の間に強引に割って入った。

「ソハヤ…お前仏教や産土神を信じてるか?」
と青い目に最大限の不安を浮かべて妹の許嫁に尋ねてみた、

「俺はエミシの俘囚の子だから元より神も仏も何の教えも信じてない」
とソハヤがあっけらかんと言うので「…じゃあお前、拝火教徒になってくれるか?」
と聞くと「いいよ」と快諾してくれたではないか。

「ならば正式な婚儀になるのでムラートも呼ばねばならないし準備が色々ある」

それまで初夜はお預け。ソハヤとシリンは引き離されて暮らしている。

とまで聞かされ…なんとむごいことを。

と牟良人は思ったが今日の儀式さえ滞りなく行えれば二人は晴れて夫婦だ。

「お役人が任期交替で不在な今こそ異国風の婚儀と宴を行う好機ではないか!」

と真比人が普段細い目をかっと見開いて童のように夢中になって喋るので、牟良人は、

ああ、秦の人達は働いて租税を納めて生きるだけの暮らしに倦んで華やかな西国の宴を楽しみにしている。
つまりは里の皆が娯楽に飢えているのだな。と納得した…

お昼過ぎ、高野山中腹の開けたところ草を刈り取って正方形に石を敷き詰めただけの秘密の祭殿で婚礼は行われた。

先祖代々燃やし続けて来た「神聖なる火」の火種を金属の壺に入れて祭殿の中央で火を起こすのは胡人の長老、来留須(くるす)(クリシュ)。

その格好は首元から足元まで全身をゆったりと覆う白衣と頭には白い帽子という拝火教の祭祀、マギの正装。

そしてシリンの兄、波瑠玖と牟良人、波瑠玖の妻、寿々香をはじめとする胡人たちが拝火教の最大吉数である7人揃い、長老と同じ格好で儀式を見守る。

聖火の前に並んで立ったソハヤとシリンは長老の、
「賀茂騒速と丹生志厘媛(にうのしりんひめ)。あなた方は病め時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、妻として愛し、敬い、
慈しむ事を誓うか?」
という問いかけに「誓います」とはっきりと答えた。
「では指輪の交換を」と波瑠玖が二人の指に合わせて作った銀の指輪を差し出し、ソハヤとシリンは相手の指輪を取って互いの左手薬指にはめてあげる。

シリンの作り物のような細く華奢な指に指輪をはめる時にソハヤは目頭が熱くなり、俺はこの瞬間を一生忘れないぞ!とシリンの左手薬指の指輪をしっかり目に焼き付けた。

長老が胡語で祝福の言葉を述べて厳粛な結婚式は終了した。

高野山の日没は早い。一行はすぐさま白衣を取って麓の天野の里へ戻った。

ちょうど日が沈む頃に夫婦の御披露目の宴が始まり、秋の草花で作った花輪を首に掛けたソハヤと曾祖母の代から伝わる全身に唐草模様の刺繍をあしらった白い花嫁衣装を纏ったシリンが並んで座ると宴が一気に盛り上がり、

めでたい、やれめでたや!ソハヤよくやった!シリン、おめでとう!と宴席のあちこちから掛け声が上がった。

客全員に山葡萄酒入りの杯やキャバーブ(肉の串焼き)、木の実と干し果物を粉と合わせて麦の粉焼いた菓子など、この国の素材で工夫して拵えた胡の料理がふるまわれた。

秦一族の男は濃い味付けの肉にかぶりつき、女子供は菓子をかじって「何これ?あ、まーい!」と始めての食感に目を輝かせる。

やがて、酒で盛り上がった胡人の男達は両手を蝶の羽根のように広げながら旋回する舞い、クチャを踊り始め秦一族も彼らの踊りを真似して万葉の昔、男と女が逢い引きする際に交わし合った子供には解らぬ際どい内容の相問歌を声張り上げて歌い出す。

中央の焚き火を巡って氏族も性別も大人も子供も関係なく手を取り合って踊り歌う宴も(たけなわ)

松明の灯りに照らされたシリンの顔は化粧をしているせいか同い年の自分よりも大人びて見える。

象牙色の肌に睫毛まで金色のシリンの女神のような美しさにソハヤは見とれた。

宴の最後、花婿の家に花嫁が入る儀式では神聖な火の色である赤い敷き布団の上にシリンが座り、その両端を兄の波瑠玖と牟良人が掴んで持ち上げる。

そして布団に乗った花嫁を小さな焚き火の上で三度回転させた時、

washamusi、washamusi!
(ワッシャームス、ワッシャームス!)

と胡人の村人たち全員の大気を震わせる程の掛け声が上がった。

秦の人たちは呆気に取られて「あの掛け声は何なんだ?」と聞くと隣に居た顎髭の長老、来留須が答えた。

「あれはわしらの先祖が大陸の西と東の境目(ウイグル)にいた頃からの掛け声(ソグド人の方言、サカ語)だ。皆で重い荷物を運ぶ時やこうして祭りで盛り上がると自然と口をついて出てくる」

「して、その意味は?」

と聞かれた来留須は満点の星が輝く夜空を見上げてから、

「意味なんて考えたこともないよ」と肩をすくめて笑った。

布団から降りた花嫁が花婿の家の敷居にまで敷かれた赤い布を踏んで歩き、新居に入って入口が閉じられた。

ワッシャームス!!!

歌と拍手と口笛で新婚夫婦を祝い宴の最後に花嫁が踏んだ赤い布を参加者が両側から力任せに引っ張り、びりびりに破きながら、

「ワッシャームス、ワッシャームス!」

と胡人が叫ぶとそれを真似て秦一族も、

「わーっしょい、わーっしょい!」と奪い合うようにして布を裂き、結婚式最後の儀式を羽目を外して楽しんだ。

もう渡来人だの倭人だの、仏教徒だの拝火教徒だの儀式の意味だの、どうでもいい。

祭りはめでたくて楽しければ、それでいいのだ…!
「そーれ、わーっしょい!わっしょい!」

赤い端切れと糸屑が飛び散る中、秦真比人は何かを吹っ切った。


ワッシャームス!ワッシャームス!
わーっしょい、わーっしょい!

外での歓声をよそにソハヤは寝室の赤い布団の上に座ってうつむくシリンに「もっと顔を見せて」と声をかけるとシリンは頭に掛けていた白い更紗を取って顔を上げた。

腰まで届くうねりのある金髪に晴れた空のような青い瞳。室内の灯火のわずかな光の中で彼女全体が輝いて見える。

ああ…この眼だ。初めて会った時から俺はこの、何の翳りもないこの眼の青さに惹かれてしまったのだ。

新しく夫婦になった二人は小鳥がついばむような口づけを何度か交わすと7日ぶりの再会に焦れて互いの婚礼衣装を脱がせ、折り重なって床の上に倒れた。

真夜中の里では赤い糸屑にまみれた里の人たちが子供、女たち、男たちの順に騒ぎ疲れて家の中で眠りこけている。

(あげはり)の絨毯に並んで寝そべるのは二つの部族の長の波瑠玖と真比人。二人とも宴の勢いに任せて互いの衣服まで裂き合ってしまい、酔いが醒めると上半身裸だという事に気付いて何だか気まずそうに沈黙している…

「な、なんか羽目を外し過ぎてしまったようで済まない…」

先に口を開いたのは真比人の方で、

「お祝いで謝る事はない」
金色の胸毛をさらして息を付く波瑠玖はきっぱりと言い切った。

「こうやって時々羽目をはずさないと人生やってらんないよ!って」

ここで感極まって「うぅシリン、幸せにな~…」と泣き出す波瑠玖に

「泣くの遅すぎないか?」と真比人は返した。

全ては後の聖地、高野山の麓の里で行われた夢のような宴の一夜であった。










































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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