第139話 絶筆

文字数 4,506文字

その日のことを思い返せば

何かが起こるような不自然な空気があちこちに感じられたのだ。

明け方

市中の見回りを終えた検非違使の武官、賀茂志留辺(かものしるべ)は詰所に戻り報告を終えると「ご苦労、記録は代わりにやっておくから帰って休め」と先輩の武官に言われ、寄宿している阿保親王邸に戻ると今起きたばかりといった体で半裸に単衣を巻きつけた業平と廊下で出くわした。

「お前がこんなに早く帰ってくるなんて珍しいな」

「はい、記録を代行してくれるのも初めての事で何か我を早く帰したがっているような」

と何か引っ掛かる。という風に首を傾げる志留辺に、

「今日は喪に服す父上をお守りしろ、という事ではないか?今からしっかり仮眠を取れ」

という主の言葉に従い、自室に寝転んですぐに深い眠りに落ちた。


日の出

我が殿がつつがなく本日の大役果たせますように。

と昇ったばかりの朝日に向かって手を合わせる貴婦人は嵯峨帝の皇女、源潔姫(みなもとのきよいひめ)。彼女は幼い頃源姓を下賜され、十九の時藤原良房に嫁いだ、皇族から初めて臣下の妻になった女性である。

結婚してから一女の明子(あきらけいこ)(後の文徳帝女御、清和帝を生む)をもうけ、夫も自分を大切にしてくれる。今の暮らしに不満は無い筈なのだが。

「姫様に釣り合う男になってみせます」と夫が口にする度その過ぎた向上心が無理しなくていいのに、とも怖いとも思う。

祈っている間に不意に数珠の糸が切れて辺りに散らばる珠を見ながら、

「まあ、縁起の悪いこと…」

と不安を覚える潔姫だった。

早朝

ここ何年も病で床に付き、薬師からも「この夏を越せぬかと」と言われていた父、逸勢が身支度をして「人生一番の大恩人である上皇さまの葬儀に参列せずしてどうする」
と無理に出立してしまった。

途中でお倒れにならなければいいのだけれど…心配する娘の逸子は妙な胸騒ぎを覚えた。

承和九年七月十七日(842年8月26日)

嵯峨上皇の葬儀は遺言通り行われて長い一日が終わり日が暮れた頃、

夫を弔った皇太后橘嘉智子は連日の疲れが溜まり早めに床に付き、主が寝入ったのを確認した明鏡は、

離宮の周りの空気が変わった!

と長年の宮女の勘で気づいた。

「申します、謀反の疑いで伴健岑(とものこわみね)どの橘逸勢どの捕縛されたという事です」

と報告する貴命も困惑を隠せない。

「それはどういう事なのです?」

貴命が警護の武官から伝え聞いた話によると、

春宮付きの武官である帯刀舎人、伴健岑と橘逸勢が春宮恒貞親王を東国にさせる計画が露見し、二人とも捕縛されて厳しく詮議中とのこと。

「東国に脱出?謀反?逸勢さまがそんな事画策するだなんてありえない!」

「私もそう思います」

うなずいた貴命は「ですが、武官たちは『我々は太后さまと女御さまがたをお守りするように以外仰せつかっておりませんので』と言うだけで」

「そうでしょうね、彼の者らは本当に何も知らされていないのですから。貴命さま…昔の事ですがこの空気、伊予親王様の変事の時とよく似ていませんか?」

そう、あれは三十五年前謀反の疑いをかけられ伊予親王が身罷られた時もこのように誰にも何も知らせず、機を伺っていきなり標的を捕まえて事を起こし、邪魔な者全てを粛清する…

一部の力を持った者たちによる一方的な暴虐。

それをよりにもよって嵯峨上皇御葬儀の日に事を起こすだなんて!


晴れた日に急に降りかかる大粒の雹のように、変事は突然訪れる。

それは長年の安定の中に暮らしていた人びとを巻き込み、彼らの生活や人生そのものを回復不能なまでに破壊し、そしらぬ顔で去っていくのだ。

願わくば太后さまのお耳には何情報もお入れしたくない。

夫君を亡くされた二日後に従兄弟が捕縛だなんてこの仕打ちはあんまりだ。

そう思いながら今は深く眠る嘉智子の白い寝顔を見守る事しか出来ない明鏡たちであった。

さらに疑義の中に伴健岑、阿保親王に脱出計画を持ちかけ親王これを拒否。仔細を書いた密書を皇太后橘嘉智子に送り、嘉智子、この密書を信任していた藤原良房に見せてこれを大事と判断した良房、直ぐに仁明帝に報告し健岑と逸勢捕縛の勅を出した。

と事の仔細を読み上げた詮議役の参議左大弁、正躬王と右大弁、和気真綱によって、

「申せ!春宮さまを唆し、東国へ逃亡させる企てを起こしたのはそなたか!?阿保親王さまを加担させようとしたのもそなたか!?」

と詰問され、

罪状の仔細にさらに阿保親王と橘の太后さまの名前が加わっている事に…

これは全て謀られた。と健岑は思い、

「そのような事は知りませぬ」と抗弁すると杖で背中を叩かれた。

全く身に覚えのない事で糾弾され暴力を受ける健岑は
側に居るはずのもう一人の人物が居ないのを不審に思い、

「我は逸勢どのと謀った覚えはないし、阿保親王さまのお邸にも行った事もない。ここで共に詮議を受ける筈の逸勢どのは一体どこにおられるのか!?」

と縄打たれた体を揺すって問うと、

「…別室で同じく詮議を受けていなさる」

真綱はつとめて冷静に答えようするが、その声から微かに呻き声が漏れる。

それだけで、普段正義感が強く道理に合わない事を許さない右大弁どのが詮議自体を躊躇っている事に気付いた。

なれど、今の自分はここで抗う事しか出来ない。
「逸勢どのにお会いして潔白を晴らしたい」

と尚も言うと

「くどい」

ともう一人の詮議役、正躬王が骨に響かぬよう太腿を叩いた。


昔、人生で最も緊張した一日を送る貴人が気兼ねなく籠もろうと邸の中の特に奥まった一室に腰を落ち着け、自ら灯火に火を灯した時…

いま最も厳重に探させている人物が部屋の隅に畏っている事に仁明帝は驚きで全身を強張らせた。

「逸勢、どうしてここに?」

「何十年も通っている我はこのお部屋への目立たぬ経路も何処に誰が配置されているかも熟知しております…いけませんなあ正良さま、離れの警備を手薄にしては」

帝、ではなく諱の正良と呼ばれて物心ついたからどの親戚よりも自分を可愛がってくれた逸勢に対して僅かながらに躊躇いの気持ちが浮かんだ。が、

既に決めた事、出した勅なのだ。


「我が身は潔白、と直訴に来たのか?」

いえいえ、と帽子から白髪を覗かせて好々爺の顔した逸勢は、

「長く生きていると政変の臭いには敏感になりましてねえ。上皇様が身罷られたら必ず事が起こる。と本当は皆思ってましたよ。しかしまさかお父上を埋葬なさった直後に行うとは…

皇家はとうとう藤原と心中するお覚悟をなさったのですねえ」

青白い顔でぼそぼそと喋り、時折咳をする逸勢の目と気迫に押されながらも仁明帝は震える手で杯に酒を注ぎ「飲め」と相手に渡した。

微笑みながら優雅な仕草で杯を受け取り、逸勢は中身を飲み干し、

「これはこれは馳走になりました」と言って杯を返した。

「…そこまで勘付いていたなら何故今まで何もしなかった?」

「事の発端が発端ならどう足掻いても無駄。ならば最期にひとつだけお願いに上がったまでのこと」

「申してみよ」

「お母上である橘の太后さまに累が及ぶような真似だけはなにとぞ」

逸勢の自分のためでも家族のためでもないあまりにも無欲な最後の願いに仁明帝はいたく驚き、窮地にありながら既に覚悟を決めてしまっている相手に感銘すら覚えた。

「…当然だ。で、それだけか?」

「は、この逸勢安堵致しました。ありがたきしあわせ」

仁明帝は最後に自分が生まれる前から尽くしてくれた従兄弟伯父に一瞬済まなそうな眼差しを送った、が、すぐに表情を消して

「さらばだ逸勢」

と別離の言葉を贈った。

「は、正良さまもどうかお健やかに」

一礼した逸勢は音も立てずに戸を開けて廊下に滑り出て気配を感じて振り返り、壁を背に立ち止まった処で物陰から滑るように走り出て来た人影が前のめりにどん!と自分の上体にぶつかった。

鳩尾から腰にかけて細身の刀身が逸勢の体を貫き、切先が背後の柱に突き刺さる。

「震えてるな…人を刺すのは初めてか?」

帽子ごと自分の胸に頭を押し付ける相手の両顎を掴んで持ち上げるとそこにはう、う…と呻きながら中納言、藤原良房のかちかちと歯を鳴らして怯える顔があった。

飾太刀の豪奢な金銀の鞘を抜いて自分を刺した相手に対して逸勢は、「藤の冬嗣の息子よ」と哀れみを込めた目で語りかける。

「藤家から三代続いて皇后を出せずに焦ったか?
それとも逆らえない相手に唆されたか?
まあ今更どうでもいい。たかが中納言でしかないお前に朝廷の軍を動かせる訳がない。それが出来るのは」

「黙れ!」

良房が刀身をねじり上げると傷口からさらに血が迸り出て滴り落ち足元の床を濡らす。

「そうだ、上手いぞ!ただ刺すだけでは確実に殺せない」

苦悶ひとつ見せず恨み言すら言わず自分を刺した相手を褒めるこいつは一体何なのだ⁉︎

血を吐きながら笑う逸勢が良房にはただただ不気味でならなかった。

「全てを掴もうとする藤原よ。お前らこれから何をしようが我が身は預かり知らぬ、が…

政変で血を流すのは我の死で最後にしろ。解ったか?」

ああ、
自分は彼の者が望むことを全て叶えてしまっていたのだ。

と良房は逸勢がここに来た真意をこの時やっと理解した。

どうせ冤罪を訴えても無駄なら

縄打たれて拷問されて流罪にされる惨めな目に遭うよりも、

いま、ここで死ぬこと。

を望んでわざと行動を起こしたのだと。

「承知した」
逸勢の目を見ながら良房が答え、逸勢が小さく笑いながら頷くのを確認すると相手が苦しまないように逆手に持った柄を躊躇いもなく自分の頭上に向けて刀身を斜めに引き抜いた。

そして幼き頃より書と楽の手ほどきをしてくれた恩師にして稀代の才人に向けて敬意を込めた目礼をすると血で濡れた佩剣を布にくるみ、その場から立ち去った。

どくどくと流れ出す血で腰から下を濡らして立っていた逸勢は膝を折ってその場に座り込み上体ごと廊下に倒れ込む。

不思議だな、これだけの傷なのに想像していた程の痛み苦しみではない。

そして、足元を濡らす黒みを帯びた赤い液体の溜まりに小さな光が宿るのを見た時、

これだ!

と思ってそこに己が右手を浸してから人差し指を筆に見立てて渾身の力で最後の落書をしたためた。

は、はは、やった…何万もの字を書いてきたこの人生の終わりでやっと私の書が完成したぞ!

点が星となり、払いが風となり、線が雷とも龍ともなる誰にも真似できない私だけの書風。

真っ先にあのひとの元に行って見せてあげたい。

けれども、

困らせてしまうことを書いてしまったかなあ…

ほとんどの体の感覚が無くなり顔を突っ伏した逸勢は瞼の裏にひとかけらの光を見た。

それはある冬の朝、叔父の邸宅で垣間見た光景。自室から珍しく廊下出たひとりの美しい少女が見つめた先の朝の光を集めた雪解けの雫。

思えば生まれて初めて人生に光をくれたのはあなただった。

願わくばあなたがこれ以上悲しまないように。   

「嘉智子…」


橘逸勢死去、享年六十。

自ら流した血溜まりの中、最も美しい思い出の中で生を終えた。


しばらくして見回りの内舎人が逸勢の骸を見つけて悲鳴を上げ、駆けつけた他の舎人と外見張りの武官、そして現場をあらためた仁明帝自身までもが、


彼が書き遺した三文字の落書に無限の自由と美しさを覚え、しばらく動くことすら出来なかった…


彼が手向けた血濡れの散華、それは

無咎死

咎無くて死す。

絶筆。











































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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