第134話 円仁の旅・使命

文字数 5,709文字

…の名は…きね…

と沈みそうな意識の中で耳元で誰かが囁き、途端に自分が浸かっている湯の首元から白衣を伝って赤い液体が滴り落ち、それが浴槽全体に広がっている。

これはまさか、血?

うあ、あああああ…!と両手をばたつかせる師僧の肩を強く揺さぶり、

「まったく…湯に浸かりながら居眠りするのはやめて下さい、って何度も言ってるでしょ!」

と弟子の惟暁(ゆいぎょう)がきつく叱ってくれたので円仁は悪夢から引き上げられた。

開成五年(840年)、初夏。

文殊菩薩の聖地として名高い大陸の霊山、五台山(山西省五台県)に到着した天台僧円仁は赤山法華院(山東省石島)からこの地まで五十八日間で三百二十三里(約1270キロメートル)を踏破した旅の疲れを霊境寺の浴室院で癒していた。

五台山の僧たちを束ねる長老の志遠から「遠い国からよく来ださった、好きなだけここに滞在して納得のゆくまで学ばれるといい」と温かく迎えられ、身も心も湯に委ねている時になんと不吉な夢だ。

ん、んんー…と何かを振り払うように頭を揺らし、浴槽のへりに腰かけた円仁、
この年四十六才。

彼の立場は日ノ本からの遣唐使節の留学僧。

と聞こえはいいが、実際は唐国じゅうに広がり出した仏教弾圧の煽りを受け、大陸に漂着早々希望していた天台山への入山を断わられ、強制送還の憂き目に遭うところを在唐新羅船団の頭目、張宝高のはからいで唐国内何処でも通行できる許可証(もちろん偽造)を発行してもらい、

「とにかく真言宗にあって天台宗に足りないものを持ち帰るまでは帰らぬ」

と気のすむまで唐滞在を決め込んだ、いわゆる不法滞在者である。

それにしてもさっきの不気味な夢は一体?

と首をひねっていたところ、円仁たちより先に浴槽に浸かっていた老僧二人が師弟の会話を聞いて顔を見合わせ、そのうちの一人が湯の中にじり寄って来た。

「…もし、そこのお二人。倭国からいらした高僧とはあなた方か?」

と老僧が発したのがほぼ完璧に近い故国の言葉。

ここまで滑らかな日ノ本の言葉の響きを発するとは。彼は何者なのか?

表向きは新羅僧と素性をを偽っている二人はこの老僧にどう答えたものか、と一瞬迷ったが…

「天台山がだめならぜひ五台山へ向かわれてくださいませ。迫害から逃れた都の高僧たちの避難場所で出身国問わず僧たちは手厚く保護される筈です」

と進言してくれた若い天台僧、名は敬文(きょうもん)

実は敬文、二十六年前寺の童子だった頃天台山に来ていた最澄の世話係だったのだ。

最澄の弟子、円仁が入唐早々突き返されそうだという窮状を兄弟子から聞いた彼はいても立ってもいられず天台山を降り、わざわざ揚州まで円仁に会いに来て「留学の手助けなら助力を惜しみません」と何度も文を出して天台山に掛け合ったが彼の努力は叶わなかった。

その彼が次の手段に、と自らの名でしたためた五台山への紹介状を円仁に渡してくれたのだ。

「罰はお山に帰ったら受けます。短い間だったけれどこうして最澄和尚のことを語り合えて本当に楽しかった…」

と送り出してくれた敬文のきれいな笑顔を思い出してここはひとつ、相手に心を開いてみることにした。


「お察しの通り我が名は円仁、倭国天台宗の僧で彼は弟子の惟暁」

故国の言葉で師弟が自己紹介すると探るような眼をしていた老僧たちは途端ににかっと口元を緩めた、

「拙僧は談勝(だんしょう)、連れの名は志明(しめい)。ともに長安の西安寺の僧で倭国からの留学僧のお世話をさせていただいた者です。ようこそ五台山へ」

と浴槽から立ち上がった二人は師弟に向けて揃って合掌したので円仁たちも慌てて合掌を返した。

「…まあここで長話して湯当たりするのも何ですし、一旦上がりませんか?」

と志明が先ほど円仁がうたた寝していた吐口(取水口)の辺りをちら、と見てから談勝ほどではないが滑らかな日ノ本の言葉で自坊に誘った。

四半時後
志明の部屋から明るい笑い声が溢れ出しそれはそれは避難生活で疲れていた僧たちを何度か立ち止まらせた。

久しぶりに日の本の僧に会えた談勝と志明はつい実年齢(志明は六十五、談勝は七十だという)を忘れて心は二十五年前に戻り、過去お世話した留学僧との思い出話に花を咲かせた。

「いちいち永忠和尚に捕まって二十年間話相手をさせられていたせいで経文(きょうもん)より先に日ノ本の言葉の方を習得してしまったよ!」

と談勝は剃髪に手を当ててはっはっは!と笑い、

「その次の遣唐使の霊仙と空海にはよくたかられたもんだ。あいつら屋台の前で物欲しそうな顔してこっち見るんだぜ!奢ってやらない訳にはいかないではないか。
後で知ったがあいつら談勝どのにもたかってたんだ。してやられたよ!」

と志明が手を叩いてわざと悔しそうな顔をした後で笑いを収めると急に鼻の先が触れそうな距離まで円仁に顔を近づけ、

「二人ともしたたか者だったが学習能力は素晴らしかった。たった三月(みつき)で梵語を修めた空海が恵果阿闍梨に迎えられて青龍寺の門をくぐったとき俺たち本当に凄いもの見ているんだ、と誇らしかったものだぜ」

とあの時の感動を思い出してほう、と息を吐いた。

「で、ではあなた方が空海和尚を青龍寺にお連れした談勝さまと志明さま(空海の書き付けに二人の名あり)なのですね!?」

と興奮気味に惟暁が問うと「如何にも」と老僧二人は胸をそびやかした。

「空海が私らよりも先に逝ったのは意外だったな。厚かましいから百まで生きると思ってたのに」と談勝が寂しそうに呟くと、

「阿闍梨は人の一生の十倍、いや百倍の密度と熱量でお働きになりました…我が師最澄とは色々ありましたが私なりに尊敬申し上げております」

と目を伏せて言う円仁と、師に目配せをする惟暁。肝心なことを聞きたいが言い出せない二人の様子を談勝は察し、

「お二人が一番知りたいのは霊仙三蔵法師(りょうせんさんぞうほうし)の消息ですな?」

と話を切り出すと志明は両のこぶしをぎゅっと固めて黙り、立ち上がって背中を向けた。

「霊仙さまが逝かれたのは八年前の事です。この事実を告げるのはとても辛いのですが…あなた方にはすべてお話しなければなりません」


あなたがちょうどうたた寝していらした位置、湯口の横で…霊仙さまは血を吐いて事切れていました。発見したのは志明です。

浴槽が真っ赤になる程の大量の吐血と据えた臭い。転がっていた杯の底に残る粉末は毒薬でした。

僧の最高位である三蔵法師の横死だなんてあってはならない事が起こってしまった。

責任を感じた五台山の僧たちは僧、童子、厨の料理人から使いの下男まで全て聞き込み調査しましたが…

解ったのは三月前長安の禮泉寺(れいせんじ)から来た。と言って入山した玄行(げんぎょう)という若い僧が山から消えていたこと。
法師と一緒に浴室に入ったのはその玄行だったこと。

まで調査してお役人に報告したのですが…玄行なんて僧侶は禮泉寺には居ないし、そもそも三月前長安から僧が出た記録も無い。という都からの返事。

結局、帰国出来ず絶望した法師の自殺ということで事件は片付けられました。

「ここまで話せば解ると思いますが…おそらく玄行は偽僧侶で朝廷が放った刺客。そうです、もし三蔵法師に帰国されて秘法が漏れるのを恐れた朝廷は、霊仙法師ごと秘密を葬り去ったのです」

そう言い終えて、はあ…と重いため息を吐く談勝と霊仙三蔵の悲痛な最期に言葉をなくして項垂れる円仁の間にあるのは、随分年季の入った山葡萄の蔓で編んだ背負い櫃と十数冊の経典。

「故国より参られてずっと手離さなかった霊仙さまの遺品です。どうぞお受け取り下さい」

震える手で合掌して櫃を受け取ったその時、浴室で見た血まみれの夢が鮮明に脳裏に浮かんだ。

あれは霊仙さまが今際の際に見た光景。霊仙さまの御霊が故国から来た私に真実を伝えたがっているのだ!

こうして櫃に手を触れてみるとああ…視える。霊仙さまの声が聞こえる。


長安脱出後も談勝と志明は昼夜交替で我が身を守ってくれた。

あの時は志明と一緒に入浴する筈だった。
直前に志明が腹を下して厠に籠り、修業の場であった禮泉寺から来た僧から「一緒に湯浴みしませんか?」とつい誘われて行ってしまった油断。

浴槽に浸かった途端に起こった強烈な胃の差し込みに耐えられず「薬ならここにありますよ」と差し出された杯を受け取り、薬を服してしまった時も…刺客は眉一つ動かさなかった。

迂闊だった。我々は直前の食事に既に一服盛られていたのだ。

「長年のご功績のためあまり苦しませずに逝かせよ。との命ですので」と言い残して刺客が去り、
胃の腑から流れる血に浸りながら私の意識は温かい湯の中に沈んで行った…

…が名は…きね…

まだ一つ拾っていない声がある!霊仙さま、あなたは私に何をお伝えしたいのですか?

「霊仙さまを守れなかった、と志明は未だ自分を責め続けています。庭に降りたようです」

行って慰めの言葉でも掛けてやってください、と言う談勝に促されて櫃を持ったまま庭に出ると、庭園の木にもたれかかる志明をすぐに見つけることが出来た。

寡黙で気丈な志明がこの時は己が拳を木の幹に打ち付けて嗚咽を漏らしている。

彼の背後の地面に円仁が形見の櫃を置いて蓋を開けると、中から出て来たものは愛用の文箱と帳面。そして以外にも梵語の守り札にくるまれた細長い包みだった。

丁寧に真言を唱えて円仁が包みを開くと中から現れたのは古来豪族が持つ青銅の宝刀。

添え書きの木片に記された…

息長日来根

という名前で円仁は全てのことが腑に落ちた。

私の名は、息長日来根(おきながのひきね)

夢の中の声は確かにそう言った。あの時霊仙さまは私に(まこと)の名前を伝えたかったのだ。

「そうですね、貴方を殺した国の名で呼ばれ続けるのはもう嫌ですよね。一緒に日ノ本に帰りましょう。日来根さま…長安の方角はどちらです?」

問われるままに志明が向こうだ、と指差した方角に向かった円仁は遺品の銅剣を右手に構えて何かの呪文を唱えていた。

悔しい、悔しい、悔しい…
領土が広いからか?兵力があるからか?大国なら何をしても良いというのか?

奪われ尽くしても抵抗出来ぬ惨めさを、せめて思い知るがいい。

ああ、入ってくる…藤原清河どの、安倍仲麻呂どの、石川道益どのの帰国かなわず大陸で命尽きた無念が。

往復の途上で海中に没した水夫たちの恨みが。

そして有史以前から大陸の暴逆に踏み(にじ)られてきた民たちの怨嗟が日来根さまのかける古来の修法に吸い寄せられ、剣は(まじない)いの力でどんどん重くなっていく。


円仁は銅剣をまるで矛投げの構えのように精一杯肩の後ろに引きつけて力を溜め、剣に溜まった力が最大限になったのを確かめると、

救急如律令(きゅうきゅうにょにつりょう)!」
(急ぎ急ぎこの(しゅ)を実行したまへ)
と叫ぶと同時に渾身の力で剣に込められた「何か」を都に向かって放り投げた。

炎を纏った巨大な鉾が円仁の手から放たれた!

と思って志明は身を竦めたが一瞬後顔を上げるとそこは夕陽で朱色に染まる庭。その中央には何事もなかったかのように銅剣をしまう円仁がいるだけ。

「奪ったものを貪って当たり前だと思っている不遜で傲慢な大陸根性に小国なりの意趣返しをしたまで。私も一応密教僧ですので」

と微笑みながら志明の唇に指を当てて口止めをする円仁に志明は、

もしかしたらこいつは空海より怖い男かもしれない。

と脂汗を浮かべてうなずくしかなかった。


空海阿闍梨

あなたが五年前突然比叡山にいらして講堂に並び立つ天台僧たちの顔を見回し、私と目が会った瞬間…

「あんたはんが最澄さまの秘蔵っ子円仁やろ?」

と初対面で名と立場まで当てられたのには驚きました。さらにその場で次の遣唐留学生に私を指名して座主の円澄さまに強引に許可させ、別室に二人きりになるとあなたは御年六十ながら強い力で私の両肩を抱き寄せ、

「今の天台宗に足りないもの。何処へ行って何を学ぶべきか、何を持ち帰るべきかをこれから全て教えて進ぜる。なあに、今から言う三つのものを唐土から持ち帰ればいいだけ」

国一番の高僧にそう乞われても不穏な噂しか聞かない唐に行くのは正直言って嫌でした。

けれど「あんたの唐での働きでこの国の密教体系が完成するんや、頼む!」と額づかれてまで頼まれてしまったんだから仕方ないじゃありませんか…

「はっきり言って私は船に乗るのも外海を渡るのも怖い臆病者。様々な難事に見舞われて本来の目的を忘れてしまうかもしれませんよ」

と持ち帰るべき三つのもの覚えた私が生意気にも反駁するとあなたは振り向きざま不敵な笑みを浮かべてこうおっしゃいましたね。

「もう駄目だ。と思った時は『何故か、うまくいく』と口にすればよい。これはどんな真言よりも効くで」

翌年にあなたは逝ってしまい、最初で最後のこの邂逅で私の人生は大きく変えられてしまいましたよ。

何故か、上手くいく。

もう何千回唱えたか解らないこの言葉、果たして効いているのかいないのか?と首をかしげる位入唐以来散々な目に遭ってきた円仁だったがこの言葉のせいで周りからは豪胆で面白い僧侶と思われ、もう駄目だ!と思った時には何故か誰かが救いの手を差し伸べてくれて命も荷物も獲られずにいる。

やはり効いているのだ、と思うしかない円仁であった。

法華経と密教の整合性に関する未解決の問題など「未決三十条」の解答を得、日本にまだ伝来していなかった五台山所蔵の仏典三十七巻を書写。と五台山でやるべきことの全てを終えた円仁は老師志遠と談勝、志明ら空海知己の僧たちに見送られ、長安へ向けて出立した。

まずは持ち帰るべき三つのものの一つ、三蔵法師霊仙の消息を確かめること。

「生きていればご本人を、残念ながら死しておられたなら御名と御霊を遺品の櫃に封じて持ち帰るのだ」

という阿闍梨のご遺言果たしましたぞ…

あと二つは当然、長安青龍寺での両部灌頂と金剛界曼荼羅。その二つを手に入れて初めて天台宗は宗派として完全となるのだ。

この先の行程二百八十里(約1100キロメートル)と知っても確固とした目的があれば活力が湧いてくる。

もう誰も最澄さまのように密教で苦しませたくないし、この先の弟子に絶対苦労はかけない。

そう決意した円仁は「焦らず確実に行きましょう惟暁、大丈夫、何故か上手くいく」

と黒々とした太い眉を広げて笑うと朝陽を受けて輝く凌雲の中、円仁は弟子と共に歩き出した。



次回「円仁の旅・後、迫害」につづく
















































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

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