第115話 シリン都に行く

文字数 4,540文字

遥か昔、大陸の西方ペルシアの地でひとりの草原の民が苦難に満ちた人生の中で、

所詮人は、この世での戦いから逃れられないのだ。
という答えを得た。

拝火教ことゾロアスター教は紀元前千年以上前にザラシュストゥラ・スピターマことゾロアスターが伝えた今のところこの世で一番古い善悪二元論の教えと云われる。

この世におけるありとあらゆる現象は全て善き神スプンタ・マンユと悪しき神アンラ・マンユの永遠の戦いがもたらすものである。

とシリンは幼い頃から胡人で拝火教のマギ(司祭)である祖父にそう言い聞かされて育って来た。

古代の胡の神々の戦いが我々現世に生きる人間にもたらすものは、例えば

誕生、豊穣、平和など喜びが多い時代には善神が優位に立っていて

死、飢饉、戦乱など苦しみが多い時代には悪神が優位なのだ。

我々人間も自分の中の善と悪が常に戦い続けており神々の世界と私達は決して無関係ではない。

というの拝火教独特の教えを祖父は誇りにしていた。

では高野山の頂で暮らしていた頃、

両親が雷に打たれて死んだり、
お山の恵みである丹が掘り尽くされて麓の秦一族と仲違いしその後間もなくお祖父様が亡くなられたり、
許嫁であるムラート兄様が婚儀直前に山を降りて逃げてしまわれたのは悪神の優位の時代だったのだろう。

そう思っていないと両親を奪った落雷に常に怯え、長く厳しい冬を繰り返す高野山の頂ではとても生きていけなかったのだから。

そんなシリンこと丹生志厘媛(にうのしりんひめ)に転機が訪れたのは十七歳の夏。

お山によそ者が近づいている!

と番犬たちの動きから察知したシリンは結界近くの木に登り里に入ろうとする四人の男を素早く観察した。
先頭の男が笛を吹いて威嚇する番犬を鎮めたのでそれが兄のムラートだと気付いて嬉しかったが、それ以上にシリンの目を惹き付けたのは…

ムラート兄様が連れてきた僧を警護している彫りの深い顔立ちの、シリンと同じ年頃の若者だった。

許嫁ムラートの帰還と十年前にこの里に来て約一年を過ごして去った私度僧の真魚さんが今をときめく空海阿闍梨として出世して帰って来た!と沸き立つ里の人びとをよそにシリンは木の上でずっとソハヤというその若者の顔を見続けていた。

が、不意に向こうから「ねえ、そこの娘さん」と声をかけられたのでシリンはどぎまぎしたが、ああ、この人最初から私の気配に気付いていたんだ。

シリンは仕方なく木から飛び降り、「あんた、名は?」と自分の方からソハヤに声をかけた。

「俺の名はソハヤ、あんたこそ名乗れよ」
「私の名はシリン。丹生志厘媛(にうのしりんひめ)ともいうわ」

実はこの時代、男女が名乗り合うことは求婚と承諾の証である。

という事を知らなかった山育ちのシリンは後で、
「シリン媛は自分から殿方に声を掛けて求婚したの?なんて積極的な…」
と麓の秦一族の娘たちから呆れられ、その時は耳朶まで赤くなった。

でも結果的に今シリンはエミシの若者ソハヤと結ばれ、三人の子に恵まれお山の麓の天野の里で幸せに暮らしているのだから。

きっと空海阿闍梨がお山にソハヤを連れてきた時から善神の勝利スプンタ・マンユの時代が始まったのかもしれない。

と思ってシリンは今の幸福を噛み締めて日々暮らしている。


(…おい(わらわ)、お前名はなんと言う?)

そう声をかけられた童がふと顔を上げると長い髪を垂らした背の高い男の影が彼を見下ろしている。

「シルベ、賀茂の志留辺(しるべ)

と何の曇りもない青い目で童ははっきりとそう答えた。

(シルベか…いい名だ。エミシの言葉で風、という意味だそうだな)

「うん!お(とう)もそう言ってたよ。お父のお父から貰った名前だって…あれ?」

童が再び顔を上げると

(ソハヤの息子シルベよ、(いにしえ)の神の導きのもと健やかに育てよ…)

とだけ声を残して影は消えていた。

初夏の光のもと青々とした木々に風が渡り、小さな葉っぱが童シルベの足元で舞い落ちた。

おーい、シルベ、シルベーと父が自分を呼ぶ声で弘仁十年初夏、この年五才になる賀茂騒速の次男、志留辺は我に返った。

「何?天狗に出会っただと?」

と息子の言葉に騒速は素っ頓狂な声を上げた。

草庵の炉では火に掛けられた鍋の中で牛の乳で煮た山菜や大豆がぐつぐつ煮えて室内に乳の甘い香りが充満している。

その匂いに空海はじめ食糧を受け取りに頂から降りてきた密教の僧侶たちはごくり、と喉を鳴らす。

「まだまだですよ、(さい)が煮えるまでしばしお待ちください」

肉食をしない僧侶たちにせめて精が付くようにと搾りたての牛の乳に野菜を入れて煮た(あつもの)(奈良に伝わる飛鳥鍋)を作った騒速の「はい、もう召し上がってよろしいですよ」という合図で空海、智泉、泰範は合掌してすぐに器に具をよそい、熱ちっ、あちちっ!と言いながらも乳鍋に食らいつく。

帝から重用されている空海阿闍梨とその弟子たちだけど、
美味い食い物は高僧をただの人間に戻しちまうよなあ。と無心で鍋の具を食らい熱い乳を啜る四人を前に思う騒速であった。

「で、あんたはんが見た天狗ってのはどんな顔かたちをしていたんかな?」

腹を満たして人心地ついた空海が志留辺の話に興味を持って聞いてみると志留辺はんーと、んーとね、と先程会った天狗の容貌を思いだそうとする。

「お(せい)が高くて髪が長くて白い衣を着ていて…」

ああそうだ、と空海が脇に置いている杖を見て「このような印が天狗さんの杖にもあったよ」と杖の焼き印の羽団扇を指差して言う志留辺の言葉に思わず顔を見合わせたのは父騒速と空海だった。

「騒速、そのお方はもしかしたら」
そうかもしれない、と騒速はうなずいて

「杖の印の羽団扇は葛城と熊野の修験者たちがお山を行き来する許可証代わりなんだ」

元修験者である騒速は息子が語る天狗の特徴に、

まさかお頭、あなたか?

八つの頃孤児になった騒速を引き取って育ててくれた修験者の長、タツミの濃い鼻梁を空海と騒速は脳裏に思い浮かべた。が、その感情は嬉しさや懐かしさというよりも…

タツミさまが何故高野にまで来て元弟子である我々ではなく幼い志留辺にだけ声を掛けて去ってしまわれたのか。

空海の唐留学のことや第一弟子の智泉との出会い等先に起こることを必ず言い当ててこられたタツミさまは、

まさしく(げき)(男のシャーマン)の能力を持つお方だった。

お頭は俺の子に何か託宣をなさったのか?

夏の涼しい山風が草庵に流れ込んで僧侶たちが寛ぐ中、騒速と空海だけが浮かない顔をしていた…

その夜、焚き火を囲む秦、丹生、田辺の三氏族の前で在家向けの説法をする空海の姿があった。

「そもそもわしら密教僧は、人の愚かさの身口意である三業を、
仏の知恵の身口意である三密に変えるために修行を行います。
三密とは身口意(しんくい)
身とはやっていること。
口とは日頃口にしていること。
意とは常に思っていることであり、我々僧侶も在家も自分が普段、何を思い、何を口にし、
どのような行動をしているのか、
常に心を落ち着け正しく捉え見ていくことが重要なのです」

真魚さんの語る真言密教の教義は自分たち拝火教徒が守る三つの徳、

善き考え(善思)、善き言葉(善語)、善き行動(善行)

と良く似ている、
それもそのはず真魚さんは昨年亡くなった大叔父クリシュよりアヴェスター(教義)を伝えられ、祈りの火まで授けられた、

この国で初めてのマギなのだから。

ということは百年前にこの国に来た胡人の血を引く拝火教徒たちだけの秘密であった。

故に天野の里で細々と教えを守る数少なくなった拝火教徒たちは空海の言葉には耳を傾け、彼の灯す火に手を合わせて祈る事を受け容れた。

「財産も家も血も残すことが出来ない、と悟ったら形を変えて思想を残せばよいではないか。ザラワシュの教えが形を変えて子孫たちに伝わる」

高齢と病で衰弱しながらも空海にアヴェスターの最後の一説を伝え切ったクリシュは最後に千年以上も前の先祖から伝わる祈りの火の火種を空海に手渡してから、
「満足だ」
と言い遺して息を引き取った。

拝火教徒たちが高野山の頂から降りて十年。麓の秦一族と胡人の田辺一族の男女がもう十五組結婚してその血は混じり合い、

両親とも拝火教徒でなければ拝火教徒にはなれない。

異教徒(ここでは仏教徒)と結婚した娘は拝火教徒ではなくなる。

という厳然とした決まりのため当然拝火教徒は減って行き、

今ではシリンの兄の波瑠玖(はるく)(ファルーク)、奈良で仏師をやっている次男の牟良人(むらと)(ムラート)、そしてシリンとの結婚を機に拝火教徒になってくれた夫の騒速だけになってしまった。

幸い三兄妹はそれぞれ結婚して子供たちに恵まれている。
波瑠玖兄様の六人の子と晩婚ながら昨年胡人の娘と結婚なさった牟良人兄様に生まれてくるであろう子、

そして、
夫ソハヤとの間に生まれた今年六歳の長男、甲斐(カイ)、五歳の次男、志留辺(しるべ)そして来年の正月に三歳になる長女、実奈(ミナ)たち子孫が成長してナオジョテ(ゾロアスター教の洗礼)を受ければ次代に教えは受け継がれるのだから。

高野山の頂を真言密教の僧侶たちに明け渡して麓に降りても周囲を山々に囲まれた天野の里でシリンは蕨手刀を鍬に持ち替え農作業に従事する夫騒速と仲睦まじく暮らして子供たちを育て、ゆるやかに流れる時の中で教えを守りながらここで生きていくのだろう…

と信じて疑わなかった。

あの時、懐かしい客人の形をしたつむじ風がやって来た弘仁十年の秋の初めまでは。

朝廷の武官、巨勢清野(こせのきよの)が三年ぶりに白い犬を連れて天野の里を訪れた。

報せを受けて頂から降りてきた空海に清野は帝からの勅書を広げ、

「空海阿闍梨には都に帰還し、期限付きで帝のお側に仕えていただきます」

との勅命を伝えた。

そして次に「また、護衛の従者として賀茂騒速を付け、都で鷹戸(たかかいべ)(鷹匠)として仕えてもらう…これは帝の御意志による勅命である」

ソハヤの家で生まれて清野に育てられて立派な猟犬になった阿久仁の横で勅書を読み上げた清野は役目を果たした途端、一年どころか十ヶ月で都に呼び戻す命を下した嵯峨帝に代わって空海に済まなそうな顔をしてから、騒速に向かって

「いちおう任期は三年。単身で都に来るも妻子を連れて来るも構わないから」

と言うので慌てて騒速は家に駆け込み中で醍醐(チーズ)を作っていたシリンに向かって
「疾く子供たちを集めて荷物をまとめるぞ、都へ出発だ!」

といつになく焦って声を張り上げた。

翌朝、騒速一家は荷車一台に荷をまとめて旅姿の空海と泰範と共に天野の里から旅立った。

平安京、と呼ばれる都とは一体どんな所かしら?
珠を敷いたように美しい所なのだろうか。とシリンは末娘を抱いて夫の後ろについて歩きながらも内側の興奮が無意識に体に出たのだろう、

シリンが強く抱きすぎたため娘が腕の中で身をよじって、

「お(かあ)、痛いよ」

と声を上げた。


因みにゾロアスター教ではこの宇宙の始まりから終わりまでの期間は1万2000年を3000年ずつ4つに区切り、
「(霊的+物質的)創造(ブンダヒシュン)」
「混合(グメーズィシュン)」
「分離(ウィザーリシュン)」の3期に分けられ、

シリンが生きたこの時代から現在に至るまで「混合の時代」と言われている。

こうして夫騒速に都行きの勅命が下された時から、

隔絶された故郷で育ったアーリア系ペルシア人の子孫シリン媛と黒髪に青い目の子供た
ちの混合の時代に相応しい激動の人生が始まるのである。






































































ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み