第117話 一隅を照らす

文字数 5,189文字

何、だ?これは…

肌や衣を撫でる程よく冷たい水の流れ。こぽこぽ…と底の方から湧き立つ泡の数々。

どうやら自分は水の中を漂っているらしいが息は苦しくない。

それにしても見上げた水面(みなも)から降り注ぐ光のなんと優しい事だろう。

それにしても、と辺りを見回して不思議に思うのはここは湖の中だろうが生き物の気配が一つもしないのだ。

生き物の居ない湖なんて死んだ水たまりと同じではないか。

そう思った瞬間、目の前に現れたのは小さな小さな緑色の藻で水に溶けた大気を体内で交換して漂っているだけの存在だった。

次に現れたのは海老に似た小さな生き物。自分の意思で動くその海老もどきはいきなり藻を喰らって次に現れた小さな魚に喰われた。

さらに小さな魚は大きな魚に喰われ、大きな魚の群れは水面から放り込まれた網に捉えられて残らず攫われた。

次に見えたのは魚を捉えた漁師の男が獲物を串に刺して火で炙り、うまそうに喰らっている様。

しかし、漁師も年を取り卒中の発作を起こして事切れた。
山中でのことなので誰にも見つけられず野の獣に骸を喰われやがて白い骨になって雨に打たれ、その骨さえも長い年月をかけて土と同化していき、骸を養分にした土から苗木が生えてやがて青々しい木々となる。

そうか!これは現世(うつしよ)での生命の流れ。前世、現世、来世を魂が巡るという佛の教えは実は、

過去、現在、未来という名で現世で起こることだったのか!

それが真実なら私が生涯かけて伝えてきた全ての衆生は救われるべき、という天台一乗の教えは…

案ずるでない、最澄こと三津首広野(みつのおびとのひろの)よ。

絶望して水の中で頭を抱える自分に威厳はあるがとても優しい声が水面の光から降り掛かった。

人は過酷続きの人生の中で神も仏も教えも棄てて心が(けだもの)に落ち、やりたい放題に犯して殺して現世に地獄を作りたがる生き物。

だが…仏の幻に縋りひとときだけでも現世から目を逸らすことで理性を取り戻し生き方を改める事も出来る。

最澄よ、お前の教えは今の時勢には新しすぎて全ての衆生に届くまでには幾百年(いくもももとせ)もかかるのだ。

心弱った後世の衆生がお前の教えに縋る時が必ず来る。

「だから、現世での結果を追い求めて苦しむのは、もう止しなさい」

そう母の声で言われて最澄ははっと目を覚ました。
幼い自分を国分寺に売り、国から送られる仕送りを貪り堕落した両親のためを思って最澄が仕送りを止めると死ぬまで息子を罵り続けたという母が、

「あんな優しく語りかける筈が無いではないか…」

涙とともに胸からせり上がって来るものをこらえきれず最澄は天蓋に覆われた床の中で二つ三つ空咳をした。

懐紙で口を拭うと必ず血が付いている。ここ数日で喀血の量が格段に増えた。 

最大の支援者で親友であった和気広世どのを看取ったあの時、(がい)(肺結核)に感染したのだろう。ご子息の真菅どのが

(がい)は死病ですっ!最澄和尚の御身に何かありましたら」
と止めるのも聞かずに 
 
「人は貴賤なくきちんと看取らなければその魂は救われない」

と感染防止のための帷帳の中に入って広世どのを看取ったのだから。

別にその行いには悔いは無い。もし、わが人生に悔いがあるとしたら…


「いい加減ご寛恕なさいませ、(おほきみ)

と笏を掲げて奏上するのは昨年正月に右大臣に昇った藤原冬嗣。

天台宗独自の戒檀を認可する事は先々帝桓武帝のご遺言であり、

最澄和尚の容態があと幾日も保たず最澄の後継者円澄からの「我が師が存命の内に願いを叶えて差し上げたい」という文が矢の催促のように届く今だからこそ認可を与える機会だ。

と冬嗣も焦っているのだが我が主嵯峨帝は…

「だが断る」
の頑固な一点張り。

「最澄の朝廷への貢献も右大臣の気持ちも朕は解っているつもりだ。が、彼の者はやってはならない事をした」

「鑑真和上が定めた具足戒を破棄した事ですか?」

「違う」

「弟子泰範を使って密教の秘法を盗もうとした事ですか?」

「それもある。朕が一番許せないのは納得して決別したつもりの空海を論で以て攻撃した事である。
解るだろう右大臣、
先程から並べた最澄の行状…最早、(ひじり)とは思えぬ」

と嵯峨帝はそこで言葉を切ってしまわれ最澄の話題には触れさせようとはなさらなかった。

帝は本気で怒っていらっしゃる。
いつもは活気に満ちて饒舌な帝がこうなってしまわれてはもう無理だ。

小さく溜息をついた冬嗣は諦めて帝の御前を辞し、さてどんな言い訳の文を円澄に書こうか。と思いを巡らせた…


天蓋の外で泣き声がするので最澄は「円珍、なぜ泣くのですか?」と昨年弟子に取ったばかりの稚児に問いかけた。

稚児の名は円珍(えんちん)。この年八歳の彼は讃岐佐伯一族の出身であり空海とは遠縁に当たる。

みずらにゆった髪を揺らしてだってだって!と泣きじゃくる円珍は「病厚いお師匠に対するお上の仕打ち、あまりにもひどすぎます!」といういかにも子供らしい素直すぎる悔しさをぶつけた。

「あまり人の悪口を言うと後々生きづらくなるから止すんだ。
私はね、若い頃から自分の独り善がりで周りの悪口ばかり言い過ぎたからこんな事になった。と今では反省しているんだ」

天台宗を優位にする為なら何でもした、その為に今上帝お気に入りの密教を取り込もうと泰範を弟子にやり我が宗派に持ち帰らせようとした。
 
だが、密教に固執し過ぎた私は後継者の泰範にも友と思っていた空海阿闍梨にも去られてしまった。

それが人生唯一の悔いである。

「だけどねぇ円珍」
と天蓋の向こうで最澄がゆらり、と半身を起こす。

「断崖の岩肌に爪痕を残す位の事はしないと教えは後世に残らない。よく覚えておくんだよ」

それは十八という若さで正僧に出世し、それ故に周囲から妬まれ暴力を受けて東大寺から逃げ出し、弟子たちと共に独自の教えを広めていく内に…

したたかな僧侶に変貌した最澄が幼い弟子に打ち明けた本音であった。

はい…とうなずく稚児の影を見てこれでいいんだ、と最澄は思った。我死すとも弟子たちに思いが伝わればいいのだ。

元々仏教とはそういうものだったではないか。

急に息が苦しくなってもういよいよか。と悟った最澄は円珍に「寺にいる全ての者を講堂に集めよ」と告げた。

最澄の周りには第一弟子の円澄はじめ教えに感化されて奈良の寺を捨てて弟子入りした義真、最澄の噂を聞きつけて比叡山入りした光定。

他数多の弟子たち、見習いの稚児、厨の使用人から小間使いの用人に至るまで講師の声がよく通るようにわざと仕切り無く作られた講堂にひしめき合っている。

「もう最期です、これから伝える言葉をよく心に刻んで常に実践するように」

死が迫っている人とは思えない朗々とした声で床に半身起こした最澄は帷帳が開かれると残りく少ない息を振り絞った。 

「もし貴方の目の前が(くら)いならば、その一隅に光を照らしなさい。

例えば飢えた人に一杯の粥を与えるように。

暗い路を行く旅人に松明を渡すように。

泣いている子の話を聞いて慰めるように。

気が落ち込んだ人に笑顔で接するように。

自分に出来るやり方でいいんだ。

本当に人を救うのは目の前の人のささやかな善行なのだ。

短い人生の中で人はそれしか出来ない。

だから一隅を照らしなさい」

それだけ言うと最澄は大きくため息を付き、座ったまま堅く目を閉じた。

講堂に居た皆は次の言葉を待った。が、微動だにしない最澄の姿にそれはもう叶わぬ事だと察した。

側に居た円澄が息を、首に触れて脈を診てその肉体の停止を確認すると涙を浮かべて嗚咽しそうになるのを堪えながら、

「最澄和尚、ご入寂…」

と講堂の者たちに告げた。
弘仁十三年六月四日(822年6月26日)
最澄入寂
享年五十五

元々大陸渡りの教えである仏教に独自の教えを掲げ、天台宗設立と発展に全てを捧げた人生だった。

師匠…あなた様の悲願であられた天台宗の戒壇設立をこの円澄、必ずや成し遂げてみせまするぞ!
円澄は右側に首を傾けて薄く微笑んだままの最澄の遺体から薄青色の帽子を外しそれを被った。そして、

「今からこの円澄…最澄和尚の弔いを行う」

と天台宗二代目座主の就任宣言と最初の務め、天台宗創始者最澄を送る事を哀しみで震えながら告げた。

遺された弟子たちが一番心配していた天台宗への戒壇の認可は最澄の死語七日目に詔勅として贈られ、そして比叡山寺が建てられた時の元号、延暦を以てこの先寺号を延暦寺とするという寺社として初めて元号を名乗るという最高の栄誉が贈られた。
 
「僭越ながら申し上げますが帝」

「何だ?右大臣。言ってみよ」

大きな竹筒に仏への献花を御自らお生けになられている嵯峨帝に冬嗣は思っていることを尋ねてみた。

「帝はお父上桓武帝のご遺言に関しては愚直なまでに実行なさるお方。
 
まるで最澄が死ぬのを待っていたような仕打ちではないか、と周りは言いますが…本当は戒壇を与えたいけれど与える事が出来なかったのではないか、と」

「その通りだ冬嗣」

そこで初めて冬嗣を振り返った嵯峨帝は舌打ちしたげな悔しいお顔をなさって人払いをさせた。

「去年、上皇(嵯峨帝の兄平城天皇)のたっての希望で空海による灌頂を行わせたがそれがどんな意味を持つのか気づいたのは全てが終わってからだった」

そこまで聞いて冬嗣はあ!と声を上げて
 
「太上天皇が空海の弟子になる。それは天皇家そのものが空海の檀乙(檀家)になったという事…」

帝のご依頼を受けた時に気付いていた癖に何も言わない空海も空海である。

「解るか?生ける最澄に戒壇を与えては天台宗に強大な権力を与えてしまう。そうなっては空海も奈良の宗派も危うくなる。
宗派の力の均衡を保つために兄上はわざと空海の灌頂を乞われたのだ」

そこで嵯峨帝は献花とは別に室内に飾ってある沙羅の花をお取りになり、

「元々頭の切れるお方だったが…今回だけはは兄上にしてやられたよっ!」

と本気の悔しさをお顔に滲ませ白い沙羅の花を握りつぶそうとなさったがそれを躊躇い「まあ夕刻には落ちる命だから」と元の花瓶にお戻しになられた。
そして仕上がった献花を延暦寺に贈るよう舎人にお命じなさった。


最澄の貢献は認めるべきではある。
 
しかし形として戒壇を与えるべきなのは生きた最澄ではなく死せる最澄なのであり天台宗による初めての授戒は円澄によって行われるべきだ。

と上皇さまは行動を以て帝をお諌めなさったのだ。

つまり帝は上皇さまにしてやられた事を我にも気取られぬようにわざと怒った振りをしておられたのだ。
  
元々頭の切れるお方であられたが、過去の政変の折にあのお方と争っていた。と思うと…

夏なのに冬嗣は背筋に冷たいものを感じ、自邸の庭の沙羅の木の前で身震いした。
それを訝しんだ次男、良房が「どうかされたのですか?父上」と尋ねると、いやいや…と冬嗣は首を振り、

「さすがは彼の君であらせられるよ、と思ったまでさ」

と頼りなく笑った。

最澄入寂を空海が知ったのはちょうど故郷讃岐の満濃池の再築工事の仕上げにかかっている最中で讃岐国国司、清原夏野(きよはらのなつの)が現地視察の折に報せてくれたのだ。

「私は色々火種を撒く僧侶だな、と最澄和尚を正直迷惑に思っていた時期もあります。が、結果的にこの国の仏教を正してくれた恩人でもある。しばらくは寂しくなりますな…」

とこの年三十八の夏野は色白で細面の顔に憂いを滲ませた。

この満濃池は百年以上前に当時の讃岐国守、道守朝臣によって造られた人口の貯水池であるが弘仁九年の老朽による堤防の大決壊と水害で多くの讃岐の民が水に沈んだ。
 
当時現地に赴任していた夏野の必死の嘆願によってやっと再築工事の許可が降り、四年かけた大工事も唐国の最新の建築技術を学んだ空海による仕上げで梅雨前に完成か、と讃岐の人々も胸撫でおろしている。

光が反射する広大な湖を眺めながら空海は、「ちょっと…ひとりにさせてくれませんか?」
と夏野に頼んだ。

「たそがれたいのですね」
心得た、とばかりに夏野がその場を立ち去り、堤防の淵に佇む空海を湖面に反射する光が包み込む。

最澄和尚。

私達は互いに茶を汲み交わしこれからの仏教のありかたに納得が行くまで議論し合い、密教を通して親交し、そして訣別するまでに至りました。

でもそれは、喧嘩別れするまで人として互いにぶつかり合ったということ。
納得行くまでぶつかり合わなければなんの為の人間関係か。

「あなた様もわしも、一生懸命生きてまいりましたなあ…」

空海の眼から頬に伝った一滴の雫が顎から落ち、それを一陣の風が池の湖面にまで運び去った。

空海と最澄、この二人は当時権威主義に堕していた大陸渡りの仏教に新風を取り入れ、最澄が開いた比叡山は主たる日本仏教の宗派の開祖、
法然、親鸞、良忍、一遍、真盛、栄西、道元、日蓮等を輩出する。

天台一乗、全ての衆生は救われるべしという最澄の教えは数百年の時をかけて空海が持ち込んだ密教とも融和し、

万物を育む魚棲める湖となった。


「祈りの光、空海と最澄」完結。

次回「進士篁」より次世代編が始まります。







  









 





































 






  



  




 





 












 





 


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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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