第142話 昔、男ありけり

文字数 5,248文字

いま私が見ているのは、天女なのか?

と業平を錯覚させたほど、その女人は美しかった。

笹垣に囲まれた民家の縁側に腰掛け、休憩している旅装の女の抜けるような白い肌に金褐色の髪。

そしてふと午後の秋空を見上げる彼女の、晴れた空のような明るい青色の瞳に業平はたちまち心掴まれた。

よく見ると白髪混じりで目尻と口元に皺が寄ったおそらく四十越えの年増だが…そこがいい。

齢十八ながらも日常茶飯事的に恋をし逢瀬を楽しむこの若い貴族は閨でされるがままの若い娘よりも経験豊富な熟れた女のほうを好む傾向にあった。

もう相手のことしか見えない業平は笹垣の隙間に分け入ってよく手入れされた庭を眺めていた女に向かって「もし…」と声を掛けた。

怪訝そうな顔でこちらを向いた女に業平は、先ほど積んで来た白い野菊を差し出し、

「垣間見であまりにもお美しい貴女に魅せられてここまで来てしまいました…
率直に申し上げます。
貴女は仙界に住まう天女のようにお美しい。務めに疲れた私の心を癒してくださる生ける菩薩。

我が名は在原業平。どうか心寂しい私を癒して下さいますか?」

と歯が浮くほど褒めちぎった後で帽子からはみ出した前髪をかき上げ、自他共に甘く美しいと認める(かんばせ)を見せつける。

大抵の女は美しい貴公子に言い寄られた事実に陶然とし、では三日後の夜にとか。明日は夫が宿直ですのでと必ず色良い返事をくれるのだが今回ばかりは了見が違った。

「このお方は誰です?おばあ様」

といきなり女の脇から出て来た四、五才くらいの女の童の問いかけと汚れなき瞳と、
「と、まあ私はこのような媼ですので…」という相手のやんわりとした拒絶で、

今回は不首尾だ、撤退しよう。

と思って踵を返そうとした時、

「もし、そこの貴人の若様。我が妻に何のご用で?」

と背後から声をかけられ同時に両肩を押された。それはまるで足が地にめり込むかという程の物凄い力だった。


「知らなかったとはいえ…いくらなんでも私の母を口説こうだなんて、色好みにも程がありますっ!」

と志留辺が主の業平をきつく叱り業平も今回ばかりは反省して「此度は私の浅はかさでお前の両親(ふたおや)に迷惑をかけてしまった。済まない」と素直に謝った。

志留辺の母シリンが入京してすぐ娘の嫁ぎ先の家で寛いでいたところに色の誘いをかける不審な貴人がいたので夫の騒速が捕らえ、氏素性を訊ねると相手がかつての主、阿保親王の子息業平王(今は臣籍降下)であった事に夫婦はいたく驚いた。

「お暇を頂いた時はまだ赤さまでいらしたのにこのようにご立派に成長なされるとは。なるほど、お顔立ちはお父上譲りなんですねえ…」

と騒速はしげしげと業平の顔を見つめ、シリンも

「業平さまの産着を縫ったこともおむつを変えた事もよーく覚えていますわよ」

と十八年前、ここ阿保親王邸から去る前に生まれた赤子、業平の世話をした事を嬉しそうに語る夫妻の前で乳母だった女人になんて事を。ときまり悪そうにする業平であった。

「とにかく騒速、また会えたな。お互い年をとったか?」
「なんのなんの、我も兄者に会えて嬉しい」

とがっしり両手を握り合った賀茂素軽五十才と賀茂騒速四十九才。

かつて兄弟(あにおとうと)と呼び合いながら葛城山の前の首領タツミの元で修行を積み、山を降りてからは見聞を広めるため阿保親王の従者として仕えた二人だった。

実に三十年ぶりになる素軽と騒速の再会を前に阿保親王は、まさか騒速の息子と素軽の娘が結婚してこうして内祝いの宴で我らが再び会えるとは!

生き存えているといいこともあるものだ…としみじみ人生に感謝した。

政変以来自分を責め続け、出仕しなくなって病がちになりもうここらで死ぬが子らの為ではないか。とまで思い詰めていた自分の元に、

弟の高岳も含め人生の知己であるみんなが集ってくれた事に親王は心から喜び、志留辺と河鹿の為に開いた宴で自らも晴れの衣に着替え、若い二人の為に琴を演奏しながら祝いの絃歌を贈った。

「聴いてるか?志留辺」
「ええ、ええ!艶のあるとてもよいお声です」

酒を酌み交わす主従は久々の親王の吟詠に聞き惚れながら杯を交わし、涙を浮かべた。

めでたい宴の翌朝、
「行ってらっしゃいませ、殿…」
と新妻河鹿に見送られて馬に乗る志留辺を
「実に見がいのある光景よ」と冷やかしながら業平は兄行平と同じ御車に乗り込み、宮中へ向かういつもの一日が始まる。

職務上護衛として仁明帝に侍り朝儀から始まり謁見、政務と予定通り進んでいく日課の中、出仕する貴族たちの顔ぶれを見ながら業平は考える。

さて、この宮中で皇族の血を引きながらも皇族でなく、藤原でも源氏でも無い私は一体何なのだろう?

ふた月前の政変で邪魔者を排斥して以来、増長を隠さなくなった藤原北家。

それを牽制する右大臣、源常さまはじめお父上である嵯峨帝自らが英才教育を施して育てた派閥である嵯峨源氏。

帝の外戚でありながらも后を一人出しただけで人事を掌握することもできず政変以来勢いを失った橘氏。

いつも舎人たちに守られ、生まれながらに地位と出世を約束されている親王さまがた。

どの派閥にも属さない私を宮中の貴族たちは気さくに声を掛けてくれて可愛がって下さるが…

それは所詮、かつての政変の負け組平城帝の孫でありなんの脅威にもならない存在だからだ。

という宮中での立場を自分でも分かっているつもりなのだが…

この頃ふとした事で鳩尾に深く穴を開けられたような虚しさに襲われるようなりそれは狩りをしても宴に興じても消える事が無い。

この感覚の正体は何だ?


勤めを終えて帰宅し、父の看病のために滞在してくれている叔父の高岳親王に相談してみると、

「それが虚無というものだよ、業平」と答えてくれた。

「人間ある程度生きていると自分一人が何をしても駄目だという絶望に苛まれ、虚無の穴が空く。その穴は現世のどんな楽しみを極めても埋まらないものなんだよ」

「では、どうすればいいのですか?叔父上。今こうしていても虚しく苦しいのです」

と胸を押さえる業平が縋るように聞くと高岳は

「心に空いた穴はねえ、やはり生涯かけて自分で埋めていくしかないんだよ、業平。私はその為に仏門に入った」

と数珠をかけた手でそっと甥の背を撫でてあげた後、祈祷の言葉を唱えながらぽん!と叩いた。そうされただけで澱んでいた暗い想念が吹き飛ばされ、心がじんわりと温かくなる。

「凄い…これが密教の力?」

「お前に嫉妬する者たちの念を祓っておいたよ」

とこともなげに言った高岳は甥の顔貌を見てなるほど、この美しさではねえ…と思いながら、

「嫉心を買いやすいお前は宮仕えに向いてないから出家して私の弟子にならないか?生きる苦しみが多少和らぐよ」

と割と本気で甥を勧誘したものの、

「女人を抱けない人生は嫌です」

と即答され、高岳は「言うと思った」と肩をすくめた。

承和九年の秋から冬にかけての一月半、業平は色の遊びもやめ勤めを終えると真っ先に帰宅するようになった。

「兄上のお体には病の兆候は無いのですが…生きる気力を失っておいでです。ご家族の誰でもいいので兄上の側に居てあげて下さい」

という高岳親王の見立てで正妻伊都内親王と兼見王を始めとする八人の子らが交代で連日阿保親王を見舞うようになった。

とりわけ修験者の頭、素軽の得物を持たぬ体術と元エミシの戦士騒速の棍棒を使った剣術による志留辺と業平への苛烈な鍛錬を見ることは元々武芸者だった阿保を楽しませた。

かしん!かしぃーん!と直刀に見立てた棍棒で打ち合い、押し合い、鍔競り合う騒速と志留辺親子の激しい稽古に血が騒いだ親王は「棍棒を貸してくれ」と騒速に頼んで庭に降りて「久々に稽古をつけてやる」と業平に対峙した。

「いいか?お前の剣に勢いが足りないのは足腰の踏ん張りと姿勢が疎かになりがちだからだ。直刀の本当の振り下ろしは、こうだ」

棍棒の両端を持って構える業平の頭上にびゅっ!と音を立てて父の渾身の斬撃が降ろされ、それは構えていた棍棒をへし折り息子の額の一寸手前でぴたりと止まった。

「覚えておきなさい」
「は…」

へし折られた棍棒を握る両手がじんじん痺れている。

まさか、父にこのような膂力があるとは知らなかった業平は騒速に棍棒を返し「無理をしてしまった」と疲労して縁側に腰掛ける阿保親王を見つめながら

全身を冷や汗て濡らし畏怖で震えた…

そういえば三十三年前のあの夜、

嵯峨帝を弑せんと夜御殿に向かう暗殺者たちを一番多く屠ったのは、長さ五尺の鉄棒を振り回し一撃で三人もの頭をかち割る阿保親王さまであった。

その活躍を背後で見ていた騒速は荒ぶる本性をひた隠しにし、今ようやく我が子に技を伝える事が出来た阿保に、

良かったですね、親王さま…と俯いたまま涙を滲ませた。

それは小雪が舞い落ちる日の午後。

ここ数日間調子が良いようで火鉢を抱えて素軽と騒速と談笑していた阿保親王はふつっと傀儡の糸が切れたように床に倒れた。

人生で最も信頼している男たちに両側から抱えられながら残りわずかの力で交互に左右の二人を見ると、

「思い出すなあ…素軽が放り投げた瓜を騒速が投げた短刀で突き刺した曲芸を。あれがお前たちとの出会いだった…」

旧都平城京の広場に集まった雑事師たちが繰り出す芸事の中で一際人気だった少年二人の曲芸に当時十七才の阿保は、一目で惹きつけられた。

空高く放り投げられた黄色い瓜が単刀に貫かれ、迸り出た果汁が陽光を受けて煌めく様に生まれて初めて生の煌めきを見出したのだ。

その光景を思い出しながら阿保は目を閉じ、

「生きる喜びを教えてくれてありがとう」

と感謝の言葉を述べ、共に青春の日々を過ごした従者の腕の中で息を引き取った。

承和九年十月二十二日(842年12月1日)

阿保親王薨去、享年五十一才。

その人柄性格は謙譲で控え目であり、文武の才を兼ね備えながらも父平城帝が起こした政変で敗れて政治の中枢から離れて過ごし、五十越えてまたもや政変に巻き込まれ自分を責めながら命を擦り減らし、そして逝った。

葬儀には阿保親王の人柄を偲んで多くの弔問客が集まり、仁明帝に遣わされた使者によって使わし皇親(こうしん)に対して与えられた最も高い品位である一品を授けられた。

おお…一品親王(いっぽんしんのう)とは政変を未然に防いだ功績ですな。

と貴族たちのどよめきの白々しさに業平は、

実際は何もしていない父を政変に巻き込んで間接的に死に追いやった為政者の後ろめたさを感じた。

急な増位も次々積まれていく弔問の品も結局死なせた相手への糊塗ではないか。

身分の高い弔問客らの悼む言葉を受けながら、

ああ…こんな奴ら疾く帰ってくれればいいのに。と思った時業平は自分の虚無感の正体に気付いた。

「父を死に追いやり、心から尊敬できなくなった主に臣従しなければならない苦痛。それが私の虚無の正体なのです」

葬儀の七日後の夜、業平はこっそり訪ねてくれた小野篁にだけ己が胸の内を明かした。


篁は業平の両肩に手を置き、

「そのような相手に毎日侍り、警護しなくてはならない務めの日々は辛かっただろう…だが、宮中ではそのようなそぶりを微塵たりとも見せてはならないよ」

と優しく諭すと「では、どんな心持ちで宮仕えしなければならないんですか?私の心はもう破れそうだ!」

と泣きながら問う業平に篁は何事かを企むような笑いを浮かべ、

「いいかい?これから話すことはね」

と島帰りの彼なりの処世術を伝授した。

吐く息も白くなった冬の深夜のことである。

約束通り今宵、あの方は来てくださるかしら?

ある貴族家の姫が夜着の上に香を焚きしめた単衣を重ねて恋文の相手を待っていた。

女房たちは単衣を何枚も被って身を寄せ合い、すっかり眠りこけている。

やがて手引き役の女房と共に部屋に入って来た貴公子が帳張をたくし上げ、
「あなたの歌が美しいので来てしまいましたよ」鼻梁整った顔立ちに艶のある目でじっ…と姫君を見つめる。

そうされただけで姫君の心は蕩け、

「お会いしとうございました」とため息をつく姫君の顎を持ち上げ、

ふうむ、噂通りなかなかの美人だな。と検分した貴公子は「凍てつく中を危険を省みず来てしまいました。ほらこんなに手が」

と相手の夜着の襟元に手を滑らせて慣れた手つきで乳房に触れ、首筋に舌を這わせる。

あまりの心地よさに体の芯が痺れ、貴公子の首に抱きついたまま脱力する姫君の衣を一枚一枚丁寧に脱がせる業平は、

「だから貴方の肌で温めて下さい」

と姫君の耳元で囁いてから白く肌理細かい背中に手を回して撫でさすった。

自分のからだの下で喘ぐ姫君を冷ややかに見下ろしながら事に及ぶ業平は、

篁どの。

「面従腹背でいるのも宮仕えのあり方。そうでもしなければ(まつりごと)の理不尽に耐えられないからね」

という貴方のお言葉に従ってみたら平静な気持ちで帝のお顔を見る事ができました。

なれど

己の心の虚無を埋めてくれるのはやはり女人の柔肌。

その中でも貴種の姫を選りすぐり、床にねじ伏せて啼かせる。

それが私の面従腹背。

生涯を数多の女人との恋に捧げた昔男、在原業平。

彼の女性遍歴は、政変で理不尽に父の命を奪った権門への反骨心から生まれた。



















































































































































































































ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み