第33話 受戒

文字数 4,403文字

遣唐使船をこの国に押し戻した暴風という名の追い風は桓武帝に出航を来年に延期という決定をさせ、

留学僧の交替という異例の人事を起こさせ、あれよあれよと空海を受戒の儀式の場へと押しやったのである。

その背景には失意のどん底にいた空海を遣唐使の留学僧へと引き上げた3人の男の働きがあった。

一人目は東大寺権別当、実忠。

「あなた達が何故朝廷に棄てられたのか分かるかね?そうやって肝心なことを何一つ決断できない役立たずだからさ」

と留学僧の人選を直前で入れ替えた大僧正たちを前に穏やかな口調で辛辣な皮肉を放ち、怒って二月堂の奥に引きこもっていた実忠は、

渡航に失敗した遣唐使団の留学僧が九州から早馬に乗って東大寺に戻って来た、という報告を聞くと直ぐにその留学僧を自分の元に呼び寄せるよう命じた。


不眠不休で馬を乗り継いで来た若い僧侶は、全身泥まみれで疲れ切った顔をしていて実忠の前で畏まってはいるがその身は細かく震えている。

「使命果たせず、申し訳ございません…」と僧侶が平身低頭に謝するのを実忠は

「そなたが無事に帰って来ただけでもいいのだ」と泥のこびりついた僧侶の手を握って労った。

普段、偉い僧侶たちは自分と目も合わせて下さらぬのに…

思いも掛けぬ高僧の優しさに触れた僧侶は両目からぽろぽろ涙を流して泣きじゃくり、

「大僧正からの命令で恐ろしくて言えませんでしたが…私は元々唐へ行く気など無かったのです!

大嵐に船ごと揺すぶられ、一の船の渡航の無事を祈るどころか吐いて床にへばりつく事しか出来ませんでした。
読経すら思い出せなかった私は僧侶失格…

私にこのお役目は無理です。辞退させて下さいっ!」

と切に哀願したのは実忠でさえも予期せぬことであった。

「余程恐ろしい目に遭ったそなたの気持ちは分かるし、そのように取り計らおう。しかし、留学を断ればこの奈良に居づらくなるぞ」

当時、遣唐使に選ばれた者の渡航拒否は貴族ならば官位が下げられる程の罪であった。

構いません、と僧侶は目を見開いて顔を上げ、

「還俗いたします」

と強い決心を口にしたのだ。僧侶は下級貴族の次男で食うに困って出家した若者だった。と実忠は記憶していた。

「実家で何かあったのかね?」

「出航直前に兄の死を知らされました。戻って家督を継ぎます」

なるほど、僧侶が渡航してしまえば十年二十年も唐から戻ってこれない。その間家長を失ったままの一族が困窮するのは目に見えている。
そのような悩みを抱えたまま船に乗った僧侶にとってもこの嵐は僥倖だったに違いない。

「お前の深い事情を聞いてしまっては仕方がない。今すぐに還俗して家に帰り、家族を助けてやりなさい」

と実忠は直ちに僧侶に還俗の手続きをさせ、十分過ぎる程の路銀を持たせて故郷に帰してやった。

こうして「元」留学僧は剃髪に烏帽子を被った貴族の平服姿で馬に乗り、晴れやかな顔で奈良から出て行った。

「これで正僧が一人減りましたな」
と両頬にえくぼを浮かべた実忠は次に徳一を呼ぶと「手筈通り律宗を動かせ」と指示した。


「俗名、佐伯の真魚こと空海はおるか?」と大安寺に律宗の僧侶たちが来たのは陽が落ちる前だった。

夕餉の膳の支度を智泉にまかせて空海が「私めでございます」と袈裟をつけた僧侶たちの前に進み出ると

「空海よ、此度東大寺戒檀院での受戒の許可が下りた。それまでにお支度をされよ」と儀式の日にちを知らせた。

私度僧空海の受戒決定にその場に居た大安寺の僧たちは一斉にどよめき、やがて、真魚どのの努力が実ったのだ!と隣の者同士肩を叩き合った。

そして使者の中で一番年嵩の僧侶が

(受戒の段取りは頭に入っている筈だ。頑張れよ)

と空海の耳元で囁いて笑顔をひらめかせた。

実は常日頃大僧正に反感を抱いていた律宗の僧侶たちは、すでに受戒に必要な十人の推薦僧、三師七証も揃えていつでも空海が正僧になれるよう準備していたのだ。

「あ、ありがとうございます!」と空海は目に涙を浮かべて鑑真和上の孫弟子たちに深く頭を下げた。

そうだ、鑑真和上は5度も渡航に失敗して、目から光を失ってまで唐からこの国に具足戒(僧侶が守るべき戒律)を伝えにいらっしゃったのだ。

今ここでわしが唐行きの夢諦めてなるもんか!と空海の胸に再び激しい情熱の炎が灯った。


二人目は遣唐大使、藤原葛野麻呂(ふじわらのかどのまろ)

葛野麻呂は出航直前の難波津に到着した留学僧が、自分が楽しみに待っていた者ではないことにひどく驚いた。

都で用事の時は我が邸に私宿して唐の情勢を懇切丁寧に教えて下さった戒明和尚の弟子の空海ではなく、

全く別の正僧であること、そして、その僧が自分の妻の甥であることを顔を見るなり気付いて、

「一体どういうことなのだ?なぜお前が唐に行かねばならないのだ!?」と憤慨し、義理の甥を問いただして事の仔細を知った。

「…なるほどね、要は大僧正の子供じみた嫌がらせのせいか。それにしてもお前が実は私の甥だとろくに出自も調べぬ内に遣唐使船に乗せようとは。

私がこの世で最も嫌いなのは、杜撰な仕事をする輩だっ!
無能なお偉方が結局この国を腐らせているのがようく分かった。…今に見てろよ」

と葛野麻呂は酒の入ったかわらけを握りつぶして呟いた。しかし、甥を帰そうにももう間に合わず出航して目も回るような嵐に遭って九州に引き返した時、

「お前は故郷に帰れ」と甥の身元証明と還俗の嘆願の文を書いて持たせ

「いいか?まず最初に二月堂の実忠さまに会うのだぞ」

と念を押して報告の使者として早馬に乗せた。

もし甥がそのまま東大寺に行ってしまったら、持たせた文を握りつぶされるか甥の身に危険が及ぶかもしれない。と心配した葛野麻呂の配慮であった。

その一方で葛野麻呂は船の損壊状況と修理にかかる金額と期間を試算し、

「船が航行可能になるまで少なくとも一年はかかりましょう」と意見書を添えて護衛の武官の一人に朝廷への報告の文として持たせて早馬に乗せた。

さてと、後は一の船の留学生たちを引きつれて都に戻るだけだ。と帰京の手筈を整え、背を丸めて見るからに気落ちしている橘勢逸たちに

「あなた方は選ばれし者達なのだから、せめて今は胸を張って帰るのだ!」と叱咤しながら馬に乗って都に帰った。

帰京して数日後、桓武帝の元に呼び出された葛野麻呂は、

「ここまで詳細な報告書、まことに感心した。遣唐使の渡航は来年まで延期とする」という勅を賜った。

は、と葛野麻呂は右手に笏を構えて恭しく畏まった。「それと、もう一つの報告書なんだがな」と頭上から声がした時

そら来た、と内心ほくそ笑んだ。

「留学僧の選抜で起こった東大寺側の専横、目に余るものがある。
極めて遺憾なり。そこでだ、

『嵐に押し戻されたのは祈祷の力が足りなかったのではないか?』

というお前の意見も踏まえて一の船に乗る留学僧の追加を許可する。
深く修行した僧侶を新たに選抜するのだ。まずはお前が推薦する佐伯真魚こと空海を表向きは医学僧として祈祷の僧に任ずる」

やった…!

と帝の言葉の傍に控えていた官吏が震えそうになるのを抑えながら素早く先程の帝の言葉を筆記した。

天皇の補佐をする中務卿(なかつかさのかみ)、神野親王である。

「それは、勅でございますか?」

と疑い深げな声で葛野麻呂が尋ねたので桓武帝は、な…!朕が信用ならぬか?と怒鳴りつけそうになったが、

こうなった原因は己が自己保身からの忖度(そんたく)で、私度僧空海の推薦を実忠に丸投げしてしまったからだと重重承知していた。

「すいません、もう記録してしまいました」と息子神野がしれっと言った一言が桓武帝に

「勅である」と空海の留学決定を宣言させた。

「では勅書を渡して彼の者の立場を早う安堵させとうございます」

と一礼すると葛野麻呂は、宮女たちをも(とろ)かせる魅力的な笑顔を振りまきながら帝の前を辞した。

帝に念書の作成を依頼し、それを急かすとはなんて大胆な奴!

明鏡よ、おまえの父は敵に回すと恐ろしい男だ…と神野は苦い顔をして葛野麻呂の背を見つめる父帝と、悠々と出て行く葛野麻呂を見比べながら思った。


そして三人目は伊予親王。

親王さまの突然の来訪に大僧正は慌てて身を整えて応対に出た。

伊予はけばけばしく着飾った大僧正に一瞥をくれて「なあに驚く事は無い、ある筋から書物庫の床下のことを聞かされてね…改めさせてもらおうか?」と目を細めて笑った。

この親王さまのひと言で大僧正は自分がとんでもない過ちを犯したと気付いたが、もう遅かった。

「私の顔を潰した償いはさせてもらうよ」伊予親王と家来たちは大僧正の隠し財産をごっそり持ち出し、そのまま大安寺に「寄進」した。

この出来事には、東大寺の重鎮実忠が伊予親王に宛てた文で大僧正の隠し財産の密告をした背景があった。

「留学費用の足しにしてくれ」と軽やかに笑った伊予親王が馬に乗って去って行く姿を空海はいつまでも見送った。それが、空海が見た伊予親王最後の姿だった。


「それにしても、えーえ格好になりましたのーう『空海和尚』」

と勤操は、自ら剃髪した空海の頭を満足げにつるりと撫でた。

「やめてくださいよ」と真新しい僧衣に袈裟を付けた空海は恥ずかしげにうつむき、受戒後の宴の席に身を縮めて座っていた。

目の前では叔父の阿刀大足(あとのおおたり)が訪れる招待客たちに「有難うございます、有難う…」と半泣きになって頭を下げている。

「儀式自体は仰々しいが思ったより早く済んだだろ?」と徳一が言うと「へえ確かに」と空海は肯いた。

確かに前半は朝廷と僧綱所(そうこうしょ)の官吏による口頭の試験で、必要なことを全て暗誦出来れば合格とされる所は大学寮の入試と同じだった。

「さて、お前はあの須弥山を模した戒壇の上で何を思った?」

と師の戒明に問われて空海は僧たちの読経の中、戒壇の頂で合掌する自分の頭上に、さらに天へと続く長い階段が見えたような気がした。

「へえ…まだまだやな、と思いました」

「謙虚だね」と戒明は小さく笑った。

「仏への道はまだまだ、か…私はこれで逆臣の子と言われずに済むと思った」と徳一が遠い目をして言うと、

「わしはこれで食うに困らずに済む、と思うたがな」

と勤操があっさりと言うと徳一は「あなた本当に俗だな」と呆れ果てて先輩僧侶を見た。


招待客のほとんどが僧侶なので酒は出ないが晴れて正僧になった空海のお披露目と遣唐使決定の二つの慶事で皆、笑い合っていた。

宴の席にいる者たちの体から光の粒子が飛び散るのが戒明には視えた。

これは喜びから出る光だと戒明には分かっていた。若い頃より崖の上の庵に通い、拙僧を師と敬ってくれた勤操と徳一も立派な僧に成長した。

そしてあの月明かりの中で出会った佐伯の真魚が今は正僧空海として若い頃の自分と同じく異国に旅立とうとしている。

自分が学んだものを全部弟子たちに伝えきった自分は僧侶として人として…

今が生きてきて、いちばん幸せだ。

と思った時急に胃の腑から何かがせり上がるような感覚を覚え、

失礼します、と言い切らない内に廊下で大量に血を吐いて戒明は倒れた。
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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



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