第40話 聖俗同船

文字数 3,328文字

最澄が修行を終え天台山を降りる日が近づいていた。

最澄は弟子の義真と共に道邃から大乗戒(菩薩が守るべき仏の教え)を授かり、さらに禅林寺の翛然(しゅくねん)から禅を学び、

国清寺の座主、行満(ぎょうまん)から天台の法門、秘蔵の典籍や法具までことごとく授けられた。


「倭国からの賓客とはいえいくらなんでも一人の僧侶に蔵の宝物を与えすぎではないですか?」

と茶会の席で道邃(どうずい)が行満を呼び出し、さすがに最澄に対して鷹揚すぎる、と意見すると行満は皺くちゃの顔さらにくしゃくしゃにして笑い、

「どうせ数十年後に焼かれるのなら、異国の優秀な僧侶に与えて大事にしてもらうほうがましじゃろ?」と言ってのけたのだ。

道邃、翛然はこの老僧の真意を察して黙り込み、目線を落として器の茶を啜った。

ここ天台山の寺院は隋以来度々人災、天災に遭い何度も焼かれては再建されてきた。

「…大陸では王朝が変わる度に何もかも破壊され更地にされる。そうすれば前より必ず良くなるとでも信じ込んでいるかのように。

しかし、それは大きな勘違いじゃ。結局人びとは棄てた教えを忘れ、行いを改めようとはせず同じ生き方を繰り返している。

そう、ただ生きているだけ…教えとは、良く生きるためにあるものなのにいちいち自ら棄ててしまうのじゃから世話は無いよ。

まったく、わしら大陸の僧侶は『三諦』の教えを胸に留めてないと虚しくて虚しくてとてもやってられん」

と行満は皮肉を込めてふん、と鼻を鳴らした。

三諦とは、唐の天台宗の奥義で

すべての存在は空無なものであるとする空諦(くうたい)

すべての事象は因縁によって存在する仮のものとする仮諦(けたい)

すべての存在は空でも有でもなく言葉や思慮の対象を超えたものであるとする中諦(ちゅうたい)からなる。

行満は茶器を掲げると、


昔聞く。

知者大師、諸の弟子等に告げたまはく

吾が滅後二百歳、

始めて東国において我が法興隆せん、と。

聖語朽ちずして今、此の人に遇へり

我が披閲せる所の法門を

日本の闍梨に捨与せん。

海東に将ち去りて当に伝燈を継ぐべし。


昔から天台山の開祖智顗(かいそちぎ)さまの教えを学んで参りましたが

わしは諸々の弟子に伝えたい。

智顗さまの没後二百年にしてやっと外国(とつくに)に天台の教えを興そうとする人が現れました、

天台の教えが廃れない内に伝えるべき人に巡り会えたのだ!

わしは開いた経典に書かれた佛の教えを日の本の僧侶たちの師となるであろう最澄に全て与え、

海の向こうの東の国に持ち去って法の光を継いでもらいたいと決めたのだ!


という意味の漢詩を諳んじた。

…道邃と翛然はわざと何かを思い出した!というように立ち上がり、

「あの観音立像も最澄に渡しておこう、弟子にばれぬうちにな」

「そういえば、持ち出しても差し障りのない経典がまだありましたな」

とそそくさと席を立ち、寺の宝物蔵へと向かった。

「さて、あるじの居ない茶席でわしはどうすればいいのかな?片付けでもしてろと?」

ひとり茶席に残された行満は結局どいつもこいつもだな、とにやにやし、

「それにしても道邃の淹れる茶は甘い」と器の茶を啜りきってから独り言ちた。

最澄去りし後、天台山の寺社は35年後に即位した武宗皇帝が行った仏教弾圧により廃寺の憂き目に遭うのだが、

道邃はじめ3人の高僧たちはすでに没していて醜い滅びの光景を見ずに済んだのがせめてもの救いというべきか。


「せっかく唐にいらしたのだから今流行りの密教を学んで帰るとよいよ」

夥しい量の経典や仏像、法具を荷車に積んで天台山のふもとで丁重に師たちに別れを告げる最澄に向けて行満が言った一言が最澄の運命を変えた。

「はあ…しかし私には出立の日にちが迫っておりますが」と旅程を気にして言葉を濁す最澄に行満は、

「明州から船で出立なさるのであろう?幸い密教の師、順暁阿闍梨(じゅんぎょうあじゃり)がおられる越州龍興寺(えつしゅうりゅうこうじ)は明州から近い。

せっかく海を越えて来たのだから新しい教えを全て吸収するつもりで学んではどうかね?」と自分の孫ほども年の若い最澄を駆り立てるように言った。

全て吸収するつもりで、という老僧の言葉が最澄の心に火を点けた。

「義真」

「は」

「私は日数ぎりぎりまでやれることをやってみようと思う」

「最澄さまならそう仰ると思っていましたよ!」

と答える義真の声は晴れやかであった。

最澄と義真は出来るだけ急いで帰りの遣唐使たちの集合拠点である明州の官舎に
着いた時、副使の石川道益(いしかわのみちます)が危篤状態にあることを看病に当たっている役人から知らされた。

「ああ…またあなたにお目にかかれるなんて…」
と肺病を病んで半年近く病床に臥し、すっかり落ち窪んだ道益の眼からつう、と涙が溢れ出た。

「道益どの!」と声を詰まらせて最澄が道益の手を握る。

「私はね、最澄どの…あなたにだけ伝えたい事があるんだ」

と次の瞬間とても病人とは思えぬ力で最澄の帽子を掴んで最澄の顔を自分の口元に引き寄せると

「貴族たちを一切信じるな。たとえそれがどんな善人に見えても」

とだけ囁いて口を真一文字に結び、枕に頭を預けていいね?と確認するように頷いて見せたのだ。最澄が黙って頷き返すと道益は顔をほころばせ、

「貴族とは…生まれながらに位と領地を約束され、日夜宴に興ずる羨ましい生き物だとあなたがた僧侶や庶民は思うでしょうな。

しかしこうして死を実感している今、貴族の人生なんて全て幻だと解ったのです。

貴族とは出世と保身のために嘘を吐き続け、虚構の世界で力尽きるまで羽ばたき続ける蝶々のようなものです」

「道益どの、お体に障りますゆえ」と義真が忠告すると道益は力なく首を振り、

「いいえ、これだけは言わせてください…貴族とは、呼吸する度に嘘を吐くこの世で最も哀れな生き物、くれぐれもお気をつけ召されよ最澄どの…」

喋り過ぎて体力を消耗した道益の容態は急速に悪化し、10日後、藤原葛野麻呂を初めとする帰りの遣唐使団が到着した時には道益は昏睡状態に陥っていた。

「道益!私が解るか?葛野麻呂だ」

と道益のあまりのやつれ振りに驚いた葛野麻呂が正気付けようと道益の体を揺さぶる。病人にそれは無茶な!と引きはがそうとする最澄との押し問答の最中、不意に道益が目を覚ました。

「これは大使さま」

「道益!私は無事に皇帝に謁見して唐での任を果たしたぞ…もうお前が心配することは何もないから…一緒に帰ろう」

と道益の体に抱き付きながら葛野麻呂は膝からくずおれ、人目もはばからずに泣きじゃくった。

「大使さまが見事大役果たされましてこの道益、嬉しい限り…なれどこの体では船に乗れませぬ」

「お前の妻子の将来はこの葛野麻呂が安堵する!だから死ぬな!」

葛野麻呂のその言葉を聞いて安堵したのか道益は大きく息を付いて

「では魂となって付いて行きます」

とだけ言ってそのまま目を閉じ、翌日未明、石川道益は息を引き取った。

貞元21年(805年)春、享年43才。

4日後、道益の弔いを済ませた最澄は義真と共に越州へと旅立つ支度をしていると

「どうしても行くのか?お前は天台山で学び尽くしたのではないのか?まあ止めはせぬがな」

と肩をすくめた葛野麻呂が二人に声を掛けた。どうやら彼なりの見送りのようである。

「副使どのが私に教えてくれました。人生は短い、と。与えられた時間の中で私は私のすべきことをやってみたいと思います」

と宣言して最澄は越州へと旅立ち、龍興寺の順暁阿闍梨から約一か月かけて密教理論の講義を受け、灌頂(菩薩が仏になる儀式)を授かる。

帰りの遣唐使船一の船が出航する直前に最澄と義真が荷また荷車一杯の経典と法具を持って帰って来たので

「お前の荷物だけで船を沈めかねない重量だぞ!帰路も無事でないのは解っている癖に」

と葛野麻呂は悪態をついたが、道益の死がこたえているのかさすがにねちねちと嫌味を言い続ける元気は無く、道益の遺品の入った箱を両腕に抱きしめて、

「帰ろう、道益」

と箱に呼びかけてから乗船した。

続いて永忠はじめとする20年以上留学を果たした留学生たち、そして最澄と義真が葛野麻呂に寄り添っているであろう遣唐副使、石川道益の魂に目礼してから乗船し、明州から日の本への帰路に就いた。

石川道益、その者書記に優れ、行儀作法も美しかったことから桓武帝、その死を惜しまれ、没後の延暦24年(805年)従四位下を、承和3年(836年)には従四位上の位階を贈られた。

































ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み