第71話 東国の勇者

文字数 5,189文字

武人の家に生まれ、元服を過ぎた頃から戦場に赴いては稲穂を苅るように敵の首を獲ってきた。

主の身を守り、主の敵であると認識したらためらいもなく討つ。それが武人のつとめであり存在意義だ。

地獄に堕ちるのは承知の上。血の池地獄なんて、俺にとっては温かい寝床さ。

なれど…

あの時救えなかった命を田村麻呂は今でも悔やんでいる。


延暦8年(789年)の蝦夷征伐は朝廷軍一万の兵が1500の蝦夷の兵に奇襲されて壊滅するという屈辱的な大敗に終わった。

内容はこうである。

朝廷軍は蝦夷の拠点とされる胆沢(いさわ)(岩手県奥州市)の前の衣川(岩手県西磐井郡平泉町付近)に陣を張ったまま、一月(ひとつき)も動かず、桓武帝の叱責を受けてしぶしぶ進軍した。

朝廷軍は北上川の西側に古佐美率いる六千と
渡河して東側に渡る後軍四千に別れて北上川を挟むように北上して巣伏村(すぶしむら)を目指した。
そこで後軍は蝦夷の兵300騎と出くわして争い、数に圧されて慌てて敗走する敵を見て、

なんだこんなもんか。このまま行ける!

と勢い付いてそのまま巣伏に進軍し、後は北上川左岸から河を渡りこちらに合流してくる筈の前軍と合流する筈だった、が…

最初に戦った敵に陽動されて深入りしてしまった愚に気付いたのは、追っている敵兵が急に反転し、生い茂る草木の中に隠れていた800の騎兵を加えて猛攻してきた時だった。

裸馬を操り、けたたましく雄叫びを上げながら鉄製の刀身の(なかご)に紐を巻いただけの共鉄柄(ともがねづか)蕨手刀(わらびてとう)を手に追いまくる、顔に刺青をした異民族の男たちを目の当たりにした寄せ集めの兵たちは…驚きと恐怖で理性を失った。

「逃げるな!背後の川に流されたらひとたまりもな…」

と別将、丈部善理(はせつかべのぜんり)が馬首を翻し、逃げ出す部下を叱咤する間もなく…

「ばかめ、後ろを振り返る将なんてあるか!」

と長い髪を頭頂部で結わえ、目の上下と両頬に刺青を施した蝦夷の長、アテルイに蕨手刀で喉を掻き切られて絶命した。

東岸の部隊はさらに北東の山林に潜んでいた400の蝦夷の兵に背後から襲われた。

アテルイの作戦は北上川を自然の罠にした挟撃。

敵が川を渡るのを好機、とばかりに300の兵を使って陽動作戦に打って出たのだ。

たとえ一万の兵だろうと待たせればいつか命令されるか焦れるかして分散して川を北上するであろう。

後は川の東岸に渡り終えた兵を威圧して広大な北上川に敵を落とし込めば…

「誰でも恐怖して泣きわめくさ。実戦に慣れてないヤマトの兵の、なんと脆弱なことか…」

とアテルイは副将のモレを振り返ると、呆れ果ててそう呟き。

「まったくです。こんな愚かなやつらに支配されたくはないもんですな」

とモレはひとまずは奇略で先勝した喜びと安堵で端麗な顔に笑いを浮かべながら答えた。

副将モレは突き抜ける程の長身に乳白色の肌灰色の髪と瞳をした明らかに渤海人特有の外見をしている。

エミシの民は古来より渤海、果ては蒙古、と大陸からの渡来人と東国の先住民が混ざりあって共生する、いわば東日本の多民族社会であった。

アテルイは溺れもがいて次々と川底に沈む兵に哀れみの眼を向けてから、

「これで当分ヤマトの軍は来ないであろうが…次に来る兵士は、本気だ。気を付けろ」

と厳しい顔つきで副将と部下に忠告してから

「さ、後は敗残の兵に帰る道を作ってあげようしゃないか」

と川岸に全ての騎兵を並べ、武器を鳴らして蝦夷の言葉で奇声を上げ、対岸の敵を思う存分威嚇した。

征東大将軍紀古佐美(せいとうだいしょうぐんきのこさみ)率いる前軍は川の向こうで、

奇襲で恐慌状態に陥り、
服を脱いで泳いでこちらに逃げ出して来たり、心を失って一歩も動けず川の中で溺死したりする者のほとんどが…いざ敵を前にして戦うことも出来ないという「主力部隊」のていたらくを見せつけられるしかなかった。

蝦夷のやり方は青々と生い茂る森林に潜んだ兵がいつどこから飛び出して来るか解らないいわゆるゲリラ戦法。

紀古佐美は背後の「見えない敵」の存在を妄想して怯え、兵を連れて撤退した。

逃げ道、といっても北上川を南下するしか無いので撤退する途中で川に流されて溺死する兵もいた。

後に「巣伏(すぶし)の戦い」と言われるこの戦いで、別将の丈部善理ら戦死者25人、矢に当たる者245人、川で溺死する者1036人、裸身で泳ぎ来る者1257人。

この戦いで初めて「阿弖流為(アテルイ)」の名が日本の歴史に登場する。

大敗した朝廷軍の将、紀古佐美が衣川から動かなかったのは無能だったからではない。

8年前に蝦夷の長、伊治呰麻呂(これはりのあざまろ)が起こした反乱では征東副使として東国に鎮圧に赴き、蝦夷の兵の勇猛さを肌身を持って知っている。

都からの武器と食糧の補給のことを考えて、衣川までが朝廷の進軍の限界で、蝦夷軍と戦うには、ここしかない。という現実的な判断から来るものであった。

つまり深入りして河を北上するのは危険だ。と古佐美は長年の武人としての経験と勘で動かなかったのである。

「それを強引な勅で軍を進ませてしまい、むざむざと多くの兵たちを死なせてしまった…この古佐美、人生最大の失態であるよ」

と砂埃にまみれた姿で帰京した古佐美が意気消沈して嘆くのに田村麻呂は、

「いいえ、あなた様の最大の功績はご自身の判断で軍を解散させた事です。朝廷の命に背いてこれ以上の兵の無駄死にを防いだ。これは、英断です」

と肩を抱いて武名高い56才の将軍を労った。

桓武帝から厳しい叱責は受けたが結局、古佐美はこの敗戦の責めを一切負わなかった。

長年の朝廷への功労が認められたから。と記録にはあるが、あるいは、

桓武帝が後で考え直して古佐美の判断は正しかった。と認めたのかもしれない。


だいたい軍備が満足に揃ってない中で遠征に行かせるのが愚策だったのだ…

遷都と同時期に兵を出して、都が襲われたらどうするつもりだったんだ?

三年後に田村麻呂が征東副使に任命された時、

「この田村麻呂、一命を賭して必ずや蝦夷を蹴散らして参りましょう…ですが、アテルイと正面から戦ってはまた負けますよ」

「ではどうすればいいのだ?」
と征夷大将軍で直属の上司である大伴弟麻呂(おほとものおとまろ)に問われた田村麻呂は、

「これは武人のやり方ではないんですがね」
と上司の耳元に口を寄せ、東国に着いてからの綿密な計画を打ち明けた。

「…それで、うまく行くのか?」と弟麻呂は最初はいぶかしんだが、
「今はそれしかありません」
と歴戦の勇者である田村麻呂にきっぱり言われたので従わざるを得なかった。

あの戦闘から四年。東国には平穏な日々が続いている…

「ヤマトの武人たちは近隣のエミシの民たちを脅かすどころか丁重に扱い、今までにない友好関係を築いています」

と探りを入れた部下の報告を聞いたアテルイは殺生小屋で血を抜いた熊の腹を裂いて臓腑を丁寧を取り剥がしながら、

ヤマトの将め、武力で敵わないと思って今度は懐柔策に出たな。

俺の読み通り今度の将は、本気だ。

と鉈に付いた血を水で洗い、眉根を寄せて考え込んだ。

「今のヤマトの将と各部下たちの人となりをどう思う?」

「は、将軍は弟麻呂という武官ですが…
民に一番人気があるのは副将の田村麻呂という男でして。通訳を通してヤマトの農耕の仕方を教えた結果、収穫が増えたので民は喜んでいます」

「ふうむ」

「これは我が目で見た事ですが」

「言ってみろ」

言いながら、アテルイは器用に熊の解体作業を続け、14才の息子に臓腑を渡して塩漬けにするよう頼んだ。
小屋の外では妻と娘たちが採った木の実や果物を細縄で括って干す作業をしている。
この穏やかな生活を脅かしに来るヤマトの兵どもなんて何度来ても戦って追い払ってやるさ…俺たちエミシの男は女子供を守るために常に己を鍛えている。強引に民兵を駆り出して戦地に赴かせる卑怯なヤマトの王とは違う。

「その田村麻呂、エミシの子らに襲いかかって来た猪を槍のひと突きで倒す程の武力の持ち主で」

「そいつ、面白いな」

と主が彫りの深い顔に悪戯を思い付いた子供のような笑みを浮かべたので部下は嫌な予感がして…

「アテルイさま、アテルイさま?」

と止めようとしても無駄なことだった。

3日後、単騎駆けで裸馬に乗ってやって来た大柄な蝦夷の男に駐屯地の武人たちは最初は警戒したが、

男が戦士ではなく農夫の格好をしていて、蛇避けの杖を背中に差しているだけで武装していない事から、

どうやらヤマトの評判を聞きつけた物好きな農夫だろう。
と判断して「タムラマロ」と連呼するその男を本営で読み物をしている田村麻呂に引き合わせた。

「ふうむ、お前は農夫にしては引き締まったいい体つきだな、名前は?」

「我が名はモレ、農夫だ」

とぬけぬけと副将の名で騙って自己紹介するアテルイに通訳の老人、伊治呰麻呂(これはりのあざまろ)は顎が落ちんばかりに口をあんぐり開けて驚いた。

この呰麻呂、前の蝦夷の長であり、朝廷から官位も授かり上治群(宮城県栗原市)の領主を勤め朝廷と蝦夷との仲立ちを務めていた男だったが…

朝廷のエミシへの侮蔑的な扱いに耐えかね、10年前に起こした乱に負けて今は朝廷軍の捕虜となり、通訳として生かされている。

男の正体を教えるか否か。一瞬呰麻呂は迷ったが、

「余計なこと言ったらその目玉、抉りとってやるからな。そもそもヤマトとの関係が悪化したのはお前のせいだ」

とアテルイがエミシの言葉で話しかけて牽制したので諦めて通訳に徹するしかなかった…

「ヤマトでは昔、エミシという言葉は『とてつもなく強い男』という意味だった。
蘇我蝦夷(そがのえみし)どのや佐伯今毛人(さえきのいまえみし)どの…エミシと名付けられて誇りにしていた男たちもいたのだ」

と読んでいた書物を脇に置いて田村麻呂は片言のエミシの言葉でアテルイに語りかけた。

「お前、エミシの言葉が話せるのか…」

と息を呑むアテルイにまだ完全ではないがな、と田村麻呂は照れて頬を掻いた。

「相手を理解するために言葉も風習も学ぶのは当然のことだと俺は思ってる。評判だけ聞いて罵るのは子供でも出来る」

ましてや…とそこで田村麻呂は唇を噛み、

「言葉も風習も信じるものも違うからと言って、相手を忌み嫌い拒絶し、力で滅ぼそうとするのは人間として一番の愚だ」

と言い切り、エミシに「夷」という漢字をわざわざ当ててエミシをもう同じ国土で共生していく人間ではなく、

不倶戴天の異民族。

として討伐しようとする桓武帝のやり方に一番憤っていたのは他ならぬ田村麻呂自身だった。

古代の大陸では未開人、蛮族をさして「夷」と呼んだ。今度の東征が「征東」ではなく「征夷」と名称が変わったのは…エミシの民を大和朝廷に隷属させる冷厳とした目的があるからだ。

「我が主はこの国の政のやり方をなんでも唐国風に真似しようとする生真面目なお方だ。

が、異民族を全て隷属させようとする唐国の悪い思想にまで『かぶれて』いなさるのさ」

と田村麻呂が吐き捨てるように言ったところで、

「…おまえ、本当に武人なのか?」

とアテルイが田村麻呂の挙措端正さや極めて客観的に朝廷の実情を語る冷静さ。

そして敬意を持ってエミシの全てを学び、理解しようとする姿勢に…正直、感銘を受けていた。

「残念ながら主の命令に従って生きる武人さ。但し、これにかぶれているがな」

と田村麻呂は先ほどまで自分が読んでいた書を広げて見せた。
書に書かれた文字を見てそれが仏教の教典であることを知ったアテルイは…

「仏教かぶれの武人か…お前、本当に面白い奴だな!」
と肚の底から笑った。気の済むまで笑ったアテルイはやがて笑いを収め、

「また来る」と言って立ち上がると愛馬に跨がって帰って行った。

さすがはエミシの長よ。鞍も付けずに乗りこなしている。

田村麻呂はアテルイの乗馬の巧みさにいたく感心し、さっき仏教の教典を見せただけで笑ったアテルイを、

ヤマトの言葉も文字も唐国の文章も習得している教養の高い男だ。と即座に理解した。

「あの男がまことのエミシの王なのだな?」

と背後でまだ震えている呰麻呂に問うた。

「は…アテルイさまこそ生まれながらエミシの王となるべく育てられたお方でございます。我は只の交渉人」

それから田村麻呂が都に呼び戻されるまで農夫モレに扮したアテルイと田村麻呂との会談は実に十回以上。

その内四回は棍棒を剣に見立てて仕合い、互いの武力がほぼ互角。

と一時(二時間)の長い激しい打ち込み合いで互いに汗みずくになり、乱れそうになる息をやっと整えて二人は距離を取って黙って見つめ合っていたが…

「実は都に呼ばれてな」

と先に口を開いたのは田村麻呂だった。

「今度の勅で俺は征夷大将軍に任命されるだろう」

「そうか」

とアテルイは静かに言って二人は同時に棍棒を下ろした。

それからアテルイはじゃあな、と言うと愛馬にひらりと跨がり振り返りもせずに走り去った。

…アテルイの姿が見えなくなると田村麻呂は早速帰京の支度に取り掛かった。

坂上田村麻呂とアテルイ。

今度会う時は朝廷軍と蝦夷軍の敵将として死力を尽くして戦うことになる。

そんなこと口に出して言わなくとも二人は互いを理解しきっていた。


















































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

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