第132話 流人篁

文字数 5,359文字

わたの原 八十島(やそしま)かけて ()ぎ出でぬと
人には告げよ 海人(あま)の釣り舟

広い海をたくさんの島々を目指して漕ぎ出して行ったよ。

と都にいる人々には告げてくれ、漁師の釣り船よ。

地上からの光と海の色が溶け合う深い青の中で上半身裸の娘が色とりどりの海藻をかき分けて泳いでいく。

揺らめく視界の中岩礁に転がる獲物を見つけてすかさず片手でそれを掴むと一気に反転し、しなやかな肢体をくねらせながら光のある方に向かって両脚の裏で海水を蹴り続ける。

やがて獲物を握った右手、次に顔、と海面から突き出すと娘は限界まで鼻から息を吸い、口をすぼめて吐き出す時にぴゅー!と音が出る磯笛(いそぶえ)を鳴らし手に握った(あわび)を桶に入れた所で視点を変え、浜で自分を待っている男の影にやっと気づいた。

阿古那(あこな)ぁー!」

伸びた髪を肩の辺りで結わえ、褪せた直衣姿(のうしすがた)の背の高い男に呼ばれてことし十七の海女(あま)、阿古那は笑顔になって手を振り返し、真珠のようにきらめく白い歯を見せて笑った。

桶を抱えて陸に上がると海士小屋(あまごや)と呼ばれる休憩室で囲炉裏の火を男が焚いてくれている。

交替でいるはずの先輩の海女たちが居ない。

男が来たので周りがすぐに気を利かせてくれたのだと気付いて阿古那は顔を赤くする。

「早う温もれ、風邪ひくぞ」

阿古那が白衣を身に着け、海水で冷えた体を温める横で男は勝手に桶から取り出した貝の口を黒曜石の小刀でこじ開け、焚火に敷いた網の上に次々と並べていく。

この人がこうやって磯焼きを作る手つきも随分慣れてきた。熱で貝の身が縮み、汁が溢れて食べごろになる過程をまじまじと見つめる目つきはまるで(わらわ)みたいに輝いている。

この半年でこの人は本当に変わった。と傍で見ていて阿古那は思う。

というよりこれが本来のこの人の姿なのだろう。島に来た時は死人のような眼をしていたのに…

男に勧められるまま焼きたての貝と飯を食べ、酒を一口二口飲むと酔いでぱあっと頬が染まる。

「日に焼けているのに酔いが一目で解るぞ、お前はまだまだ子供だな」

と宴の時きまって兄たちにからかわれるのにこの人だけは「無理して付き合わなくてもいいんだぞ」笑って許してくれる。

腹が満ち足りて酔いが回ると男は実に自然な仕草で阿古那の肩に触れる。それを合図に阿古那も男の首に手を回し、火の消えた暖炉の横で二人は重なり合って倒れた。

承和6年(839年)夏、隠岐の中島(島根県隠岐郡海士町)。

この年三十七才の小野篁は遣唐副使の任務放棄と朝廷を誹謗中傷した罪で官位を剥奪され、その上で隠岐島に遠流。

と嵯峨上皇の在位中に死刑が廃止されていたこの時代の、最も重い処罰を受けての流人生活も半年が過ぎていた。

普通の貴人なら一日も早く中央復帰を願って粛々と謹慎するものなのだが…

着いて三日目で籠もるのに飽きた篁はふらり、と外に出て島民と語らって酒盛りし、浜から上がる姿を見染めた阿古那と恋仲になって七日に一度は逢いに行き、思いついた詩を急に口に出して歌い出し、これはいいと思ったら紙に書きつける、自由気ままな流人生活を送っていた。

「都から最も遠く離れた隠岐に流され生きて帰れる望みはほとんどない。いっそこのまま出家して島に寺でも建てようかなあ」

と情事の後の睦言で篁は割と本気で言ったのだが、

「会いに来る度にあたしの獲物を全部平らげて、その上まであたしまで食っちまう殿さまがちゃんとした坊さんになれるもんかね」

とからかうように言われ、裸の胸を指でつんつんつつかれ、篁は笑って頬を掻いた…

夜、隠岐島の漁の頭である二十才年上の兄に阿古那がそのことを話すと兄は神妙な面持ちで、

「実は、島後の寺の坊さんから『篁さまに仏像を彫って欲しい』と依頼の文が来ててな。これも何かの縁かもしれん」

と隠岐四島東部の島、島後に篁の身柄を移すこと、身の回りの世話役として阿古那も付いていくことをあっさり快諾した。

五日後に島後に移った篁は横尾山の光山寺に籠もり、早速仏像制作に取り掛かった。

鑿と鎚を振るって樹皮を剥いだ丸太の上に炭で仏の絵を描きいて余分なところを削ぎ落とし、炭が消えそうになったらまた描いては削ぎを繰り返す。簡単なようでいてなかなか難しい作業に篁は夢中になり、いちいち阿古那が呼ばないと寝食を忘れるほどに没頭していった。

時には気晴らしに山を降りて住職の案内で野生の蘭や石斛(せきこく)など探しに行ったりを裏山の滝に打たれて滝行の真似事をしてみたり、日の本本土から離れた隠岐の自然の中で篁の心身は徐々に癒やされていった。

ある夜、ようやく人の形になってきた処まで外形が出来上がった像の前で済まない…済まないと言いながら床に突っ伏している篁を心配して彼の震える背に阿古那が手を触れると上体を起こし袖で涙を拭った篁は、

「やっと話せる心持ちになった」

と顔を上げ、自分が隠岐まで流されるに至った経緯を少しずつ語り出した。

海を渡って唐へ行き、帰れば星の位。と一番の出世の近道と言われていたのは既に三十年も前の昔。

皇太子恒貞親王の教育係である東宮学士を務めていた篁が遣唐副使に任ぜられたのは承和元年(834年)の事であった。

が…遣唐使たちを待っていたのは二度に渡る渡航の失敗。

四つの船からなる船団の内一隻は嵐で行方不明になりもう一隻は大破して残った木切れを筏代わりにして漂着した島民に助けられるものの真言僧、真然と真済と数人の水夫以外全員が飢えと病で死亡。

「真言僧のあのお二人は元々鍛え方が違うのか、はたまた亡きお師匠空海阿闍梨の加護に恵まれていたのか解らぬが、この渡航の失敗で犠牲になった者の数…

実に百人余り」

もう、何のために命懸けで海を渡るのだろう?

口には出さないまでも皆疲れ切って修理が万全でない船に乗るのを嫌がっていた。

そして、遣唐大使の藤原常嗣はじめ一の船の留学生たちが皆乗船した時、重みで床板を踏み抜いて船室が漏水するという事故が起こった。

足首まで海水に浸かり、慌てて船から脱出した常嗣は咄嗟に、

「副使の二の船団と船を交換して出発する」

という短慮極まりない判断をし、篁に船を譲れと言うではないか。

その時、篁はすうっと目を細めて…

「あーあー、大使どのは逃げてきた船に私達を押し込めて死なせるつもりなのですね!?がっかりです。

己の利得のために他人に損害を押し付けるような道理に逆らった方法が罷り通るなら、面目なくて部下を率いることなど到底できません」

と急に腹痛が来たので重い病かもしれない。とか老いた母が心配だ、などの思いつきの言い訳を並べ立てて乗船を断固拒否した。

そして篁は乗船拒否の罪人として捕らえられ、都に護送されるまでの道中、遣唐使制度そのものの存在意義を問う内容の漢詩「西道謡」を繰り返し大声で謡い続けた。

詮議の場で嵯峨上皇のお顔を拝した時…

「私をお裁きになるのは今上の帝ではなくお父上のあなたですか?
つくづく過保護なお父上ですね!」

という言葉を皮切りに肚の底に溜め
込んでいた感情を忌み言葉として次々と吐き出した。

それはまるで自分の体に眠っていた渦巻く怒りが赤い龍となって口から飛び出した。
そんな感じだった。

篁の讒言を眉一つ動かさず受け止めた嵯峨上皇は彼の目の前まで降りて来てから、

「それが、お前の言いたい事の全てか?」

と怒りと悲しみが混ざったような眼差しで篁が書きつけた西道謡の紙を勢いよく真っ二つに引き裂いた。それを何度も繰り返し、ついには全ての文字も読めない程細かく裂かれた紙片をぱら、ぱら、と浴びせてから、

「全ての官位を取り上げ隠岐に遠流とする」と宣言なさった。

「これが私がここまで流されてきた経緯だ」

と話し終えた篁はほうっ、と一息をつくと…

「今までそっとしておいてくれてありがとう」

と阿古那の両肩に手を置き、彼女の胸に顔を埋めてすすり泣いた。

人間、本当に辛いことは忘れる位長い時が経つか心癒された時でないと自分から話さない。

篁さまがやったことの無い仏像彫りを引き受け、己の全てをかけて打ち込んでいらっしゃるのはきっと、無理な渡海で死んだ者たちの慰霊のためであろう。

理不尽な政の圧力に押しつぶされて深すぎる傷を負った愛する男を、抱きしめて慰める事しかできない阿古那であった。


その頃、都の外れの邸の一室では床に広がるほど長い垂髪に単衣を重ね着した女人が寝所に文机を置いて筆を取り、流れるような筆致で漢詩を書いている。

痩せてはいるが色白のその顔はすらりと伸びた鼻梁に形の良い唇、睫毛の長い一重まぶたの気品ある顔立ちをした彼女の名は有智子内親王(うちこないしんのう)


彼女は七年前の天長八年、病のため二十二年間務めた賀茂斎院を退下し今は嵯峨離宮に近い西の院で療養生活を送っていた。

「有智子様、あのう…」
と母の交野女王が病室に入ってきて帳帖ごしに困った顔を見せる。

「また、なのですね?お母様」

有智子ははあーっ、と大仰にため息を吐き、慌てて女房たちを呼んで部屋中に散らばった漢詩の書き付けを片付けさせる。この頃三日と空けずにお見舞いに来る父、嵯峨上皇に有智子は辟易していた。

「いくら家族がお相手してくれないからって寂しさ紛れに病人のもとに通うなんて縁起がよろしくないですわよ」

見舞いに来た父上皇の顔を見るなり有智子は言葉で先制の一撃を食らわせ、篁を流罪に処した件で息子である仁明帝からは、

「本来なら朕が詮議するところを『わざわざ』飛び越して全て処理してしまわれるなんて…どこまで朕を子ども扱いなさるおつもりですか!?」

ときつく叱られ、

妻の皇太后、橘嘉智子にもここ数か月

「最近年を取って気の利いた事を言えず失礼をしてしまいそうで」

とお付きの宮女明鏡を通して会うのを断られる始末。

ほかの寵姫たちに会ってもどこか態度が空々しく…事実上天皇家の家長でありながら我が家に居ても誰もまともに相手してくれない、という辛い目に遭っているのである。

「あの忍耐強い(きつ)大后(おおきさい)さまがお怒りになるのは相当な事です。甥を島流しにした夫の顔をまともに見られないのは当然かと」

篁は嘉智子の姉、安子の娘婿で嘉智子にとって篁は義理の甥にあたる。

「つまりお父様は家族の誰も相手にしてもらえない、と。これからとても寒い冬をお過ごしになるのね」

ほほほほ!と口に手を当てて高笑いした後有智子は居住まいを正して父親を見据え、

「造船技術の遅れ。
遣唐使事業に費用を回せなかった財政の甘さ。
あまたの死者を出した失策。

そして外戚の北家に忖度してか篁どのの文才に嫉妬してか知らないけど…いい加減今までの政の綻びを全て認めて、なさるべき事をなさってはどうですか?」

愛娘に本心を衝かれた嵯峨上皇は詮議の折、

縄打たれたままの篁があちこちの方向に向けて政道批判を繰り返し叫んだ場面を思い出す。

これを書いたら我が身にも障りがあるのではないか?と書紀係自らが筆を止めるほどの忌みことばを口角慌てて飛ばしてわざとまき散らし、発言を証拠に残さない計算高さ。

ここに来るまでの道中、庶民にも解る言葉で(うたい)にして遣唐使制度の不備を世間に知らしめた行動力。

そして、道中書いたという

非常に優美で深遠な七言十韻の漢詩、謫行吟(たつこうぎん)

有智子の言うとおりだ。

私は小野篁に文才でも(まつりごと)の才でも、敗けて悔しかったから篁を流罪にしたのだ。

「その通りだよ、死刑制度が無いのをいいことに言いたい放題した篁には腹を立てているが、

あの子は私が取り立てて育てた文人たちの中でも最高傑作だ。

現に篁不在で官吏たちの書類の不備が目立ち、政が滞っている」

今だ。きらりと目を光らせた有智子は、

「以前お伝えした放たれし荒神。篁は天つ神の過ちを正すために生まれた猿田彦大神の化身なのです」

と間髪入れず自分の清庭(さにわ)の能力で視たものを告げた。

はは…やっぱりそうか…と額を抑えて苦笑した上皇は、

「あい分かった、篁の罪を赦して宮中に復帰させる」

と決定的な宣言をした。

「これでお父様も自宅で暖を取れますわねえ」

と有智子は言ったが本当は賀茂社から退下する際、輿を警護していた武官の青年に巨大な角を生やした鹿のような荒神の影を視た事は黙っていた。

今言うべき事ではないし、あの目の青い武官が日の本に影響を起こす時には、お父様も自分もこの世にいないのだから。

翌承和七年二月十四日(840年3月21日)

小野篁放免。

伸び放題だった髪を整えて帽子(もうす)を被り、迎えの船の者から渡された新しい衣に身を包んだ篁の意気揚々とした姿に島の者たちはたった一年七ヶ月で中央に呼び戻されるなんて、このお方はやはり只者ではなかった。

と短い期間ながら篁と触れ合えた日々を誇りに思い島民総出で港から送り出した。

船に乗る直前、着飾った阿古那を抱き寄せ、

「罪が解けたばかりの身だからお前を連れて行く事が出来ない、許してくれ」

と涙を浮かべながら侘び、別れを惜しむ二人の姿は周囲の涙を誘った。が、

その耳元に阿古那が何か耳打ちをする。

「そうか、そうだったのか!」

急に篁の表情が輝き、一瞬強く阿古那を抱きしめると彼女の長兄と頷き合ってから船に乗り込み、笑顔で手を振りながら隠岐の人々に別れを告げた。

遠ざかっていく船影を見つめながら阿古那は自分のお腹にそっと手をやり、

「あたしはもう一人じゃないから大丈夫」

とはっきり告げた。

七ヶ月後に彼女が産んだ男児は隠岐の一族に育てられ、身の丈六尺近くの美丈夫な漁師となった。















































































































































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

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