第4話 その男、空海

文字数 6,076文字

神野は、冬は嫌いだった。

野に出て狩りも出来ぬし、軽々に外出もままならぬ親王という身分がこの季節には首枷のように重く感じるのである。

それに、雪が積もると恐ろしい夢を見る。

そんな時は巻物を持ち込ませ書を読み学問をし、唐の詩人孟浩然(もうこうねん)春暁(しゅんぎょう)を諳んじ、まだ来ぬ春に思いを馳せるのだ。

春眠不覚暁
処処聞啼鳥
夜来風雨声
花落知多少

春眠暁を覚えず
処処啼鳥を聞く
夜来風雨の声
花落つること知る多少

春の眠りはとても心地よくて、夜が明けたのも気が付かずに不覚にも目が覚めなかった。
あっちこっちで鳥の鳴き声が聞こえた来たことで、朝になったことに気が付いた。
そういえば、昨夜は風が強く、雨も降ったようだ。
せっかくきれいに咲いた花だけど、昨夜の雨と風でどれくらいの花が散ったことだろう…

「勿体ないと思わんか?せっかくの花見の機会を寝すぎて逃しているのだぞ。
だがこの詩こそ、作者の孟浩然という男の性格を現している。
才能はあるが、厭世的でわざと出世の機会を逃してだらだらと人生を過ごしたのだ」
と周りの侍女たちに漢詩の講義をして相槌を打たせたり、紙を持たせて思いついた漢詩文を書き散らかしたり、と冬眠前の熊が食糧を食いだめするように漢籍をむさぼり読み、

言葉の持つ意味を咀嚼し消化し、確実に自分のものにしていた。
その結果
「最近、大学寮で使う書が足りないと苦情が来てね。特に文章科からなんだが覚えがあるか?」
と父、桓武帝から直々に呼び出され、お叱りを受ける破目になった。
「は…申し訳もありません…」と父の厳しい顔つきを前に、神野は神妙に頭を垂れるしかなかった。
「困るよ、神野。大学寮に通う学生は将来官吏になる国の宝なのだ。
皇子だからといって教材を取り上げるような真似はしてはならぬ。
…が、学問に励むのはいいことだ」
と父帝の声が急に柔らかくなった。あまり会えない息子に説教ばかりしてもな、と思い桓武帝は急に話題を変えた。

「橘家の娘と仲良くやっているようで安心したが…一人の女人にばかりに執心するのはどうかね?
すべての后を平等に愛するのもまた帝王としてのあり方なのだよ」

そんなに噂になっているのか!?

恥ずかしさと驚きで神野は思わず顔を上げた。
父帝の座る御椅子の側では尚侍(ないしのかみ)(宮中女官長)明信(みょうしん)が袖で口元を抑えてほほ…と笑っている。

この齢六十を過ぎた女官は、姥桜ながら華やかな美貌を保っている。
乳母達の噂話から知った事だが、父帝がまだ山部王と呼ばれていた若い頃、明信とは恋仲だったという。

いつもそうだ、父上は心から信じる者しか傍に置かないのだ。
「で、その娘は美しいのか?」

と軽い口調で桓武帝は息子に尋ねたつもりだったが、返って来たのは息子の

「僭越ながら帝、自ら唐玄宗皇帝の故事に倣いましょうや?」と明らかにむきになった口調の質問であった。

父上、あなたは息子の妃であった楊貴妃を奪って国政を乱す真似はなさらぬでしょうね?
と言う意味で神野は美女には目が無い父に、生意気にも、俺の女に手を出すな!と釘を刺したのである。

はははは!と声を上げて愉快そうに桓武帝は笑った。
「息子の妃を盗るような悪趣味はせぬよ、安心せよ。ま、早く大学寮に書を返すことだな」
と言って帝の前で興奮して、しまった!という表情をしている息子を下がらせる。
肩を落とす息子の背中に「言っておくが怒ってないからな」と念押しして桓武帝は声を掛けた。

「気が滅入っている時は神野をからかうに限る」と桓武帝がつぶやくと、
「いけないお父上ですわね」と横で明信が半分咎めるような、半分呆れるような声で言った。
自分が心から笑ったのはやはり、半年前に神野を呼び出した時以来だった。
ということに桓武帝は気づき、この頃重なる気鬱な出来事を思うと頭が痛くなる…
明信以外の者を皆下がらせると、
「朕は、安殿(あて)の育て方を間違えてしまった…
病弱だからと甘やかしたのがいけないのか、十一で皇太子になってその重圧に潰れたのか、心に黒く凝ったものを抱えるようになった。幼き頃から小動物を殺し、
妃が幼いからといってその母親と通じ、気に入らない舎人を手に掛けた…
弟の神野までも手に掛けようとした時、明信、お前も一緒に見ていたな」

はい…と明信はあのおぞましい事件を思い出し、小声で返事をするだけであった。

「あれは全部、父親である朕に向けた憎しみなのだ。帝を攻撃したくとも出来ないから周りの弱い者に向かうのだ。

安殿が即位したら、ろくな事にはならない。
あいつめ…朕が頼りにしている最澄を遣唐使に推挙しおった。
朕から最澄を引き離す為だけにな」

「しかし、唐行きは最澄和尚が希望なさっていたこと」

「明信よ、唐行きの行程は厳しい。
遣唐使船に乗せた優秀な人材と莫大な留学費用が嵐で半分海に沈むのだ。
本音を言うと遣唐使を廃止にしたいくらいだ…
最澄には条件を付けた。二年間の還学僧(げんがくそう)(短期留学生)であること。
論敵である南都六宗を相手に法華会(ほっけえ)の講師を務めること」

まあ、東大寺の僧たちと最澄どのの口喧嘩が目に見えそうだこと。と明信は思った。
桓武帝は、僧たちが平気で政治介入するようになった事態を憂い、
寺院建立は貴族の脱税手段にと使われる、腐敗しきった奈良の仏教集団を棄てるために、
二度の遷都までして南都六宗から逃げたのだ。

そのため新しい仏教を説く最澄を強く推し、将来の国家鎮護の先鋒にと期待していた矢先に…

「本当は最澄どのを遣唐使船に乗せたくはないのでしょう?(おほきみ)は、本当に最澄どのがお好きなのですね」
と明信が桓武帝の肩に手を置く。この頃帝が急にお痩せになったのが明信の心配事であった。
「明信よ、朕は大事な者は常に傍に置いておきたいのだよ。お前のように…」
と、桓武帝は明信の手に自分の手を重ねた。

沈黙と共に、二人は初恋の頃からの長い年月を噛みしめていた。
「あれから五十年、お互いよく生き残ったものだ」
「はい」
「朕に何かあったら、神野の事を頼むよ。母親代わりだったお前だ」
「はい…」
泣くんじゃないよ、と桓武帝は明信の手を優しく握った。

「ああらだって、わたしが明信さまに逐一ご報告できる身分じゃないってこと、親王様が一番御存知じゃなくって?」

と、鏡に向かって乱れた髪と服を直した貴命は、睫毛の多い切れ長の目で神野をきろっと睨んだ。

うっ、華やかな美しい顔立ちだが、やはり怒った顔が明信に似ている…と神野は思った。

父帝の元を辞した神野はその足で、噂の出どころは明信の姪の貴命に違いない!と思い込んで彼女に問い詰めたら、

「確かに明信さまは私の伯母ですけども、尚侍さまと親王さまの付きの侍女のわたしが気軽にお喋りできる場所も機会もないわ」

と逆に遣り込められて、仕方なく事の仔細を説明したら、
「嘉智子さんを帝の前で楊貴妃に例えただなんて…その話、私と逢っている時にしますか?単なるのろけ話にしか聞こえないわ」
とさらに呆れられてしまった。

「しかし、私たちは一番長い仲じゃないか」
「確かにご正妻の高津さまより早くお手付きになりましたけども」

甘えるんじゃない!とでもいうように貴命は言葉を切り、
神野に背を向けて白粉をはたいて化粧直しを初めた。

神野親王と高津内親王は、十三と十二で婚儀をした。
が、高津はまだ幼く最初の一年間は添い寝をするだけの仲だった。

婚儀から半年ほど経った頃に貴命が入侍し、神野より一つ年上の大人びた彼女にたちまち虜になり、数日後に彼女の床に忍んだ。

つまりは貴命は、神野にとって「最初の女人」なのである。

「親王さまの嘉智子さまに対する尋常ではない御寵愛、もう宮中では噂になっていますわ」
「誰が流したのだ?」
「女子供は秘密を守れる生き物ではないわ、案外いま近くで聞き耳を立てている『小鳥』じゃないかしら?」

貴命の含み笑いを聞いて、「小鳥」はさっと袴の裾を翻して逃げようとする。

「さては…明鏡!?」と神野は部屋を飛び出し廊下を走り去る女童の後をばたばたと追いかけた。

まったく童と廊下で追っかけっこだなんて…うちの親王さまは聡明だけど子供っぽい所もあるのよねえ。
と貴命はうふふ、と弟を見守る姉のような笑いを浮かべた。
そこに「もし…」と声を掛けてきたのは、ちょうど噂していた嘉智子であった。
「あら、嬉しいわね!…寒いからお入りになったら?」と貴命は嘉智子を部屋に招き入れた。

髪飾りを取った嘉智子の黒髪は、腰の下まで伸びた豊かで見事なものであった。
やはり、わたしの思っていた通りだわ!と感嘆のため息をもらしながら丈夫な櫛で嘉智子の髪を優しく梳いてあげる。
「本当にお美しいお(ぐし)…毎日こうやって根元から先まで櫛を通すと艶と張りが出ますわよ」
なんでこんなことになったのだろう?と思いつつも嘉智子は有難うございます、と言ってされるがままになっていた。

「貴命さんは化粧、髪のお手入れ、それに裁縫と何でもおできになるのね」

「実家の躾で『技術を身に付けろ』と言われて育ちましたの。
うちは帰化人の中流貴族、新羅への対外政策のために帝が一時的に盛り立てて下さっているに過ぎません」

隣の国の出方次第でどうなるか分からない家柄です、と暗に貴命は言っているのだ。

あたしは海の向こうの、滅んだ国の王族の子孫だったのだ。

と宮中に来て最初に仲良くなった明鏡の言葉を嘉智子は思い出していた。

ああ、あのいつもちょろちょろしている女童ね!と貴命は嘉智子の髪を結い直しながら答えた。

「伯母の尚侍明信さまが、うちの親王さまに押しつけた童よ。確か二年前にここに来たわ」
「ではあなたのご親戚なの?」
うーん、と貴命は首をかしげて
「でも、あの子の両親はとっくに死んだと聞いてるけど…百済王家の誰の子かは分からないのよ」
え、分からない?素性の判らない子が宮中に仕えているなんて不思議な話だ、と嘉智子は思った。


陰鬱な冬が終わり、萌え出ずる春が来た。

待ちに待った今年最初の鷹狩りに、神野は父帝に呼ばれて随伴した。
青空の下を、鷹が羽ばたいていく。野の花や若草の香りをはらんだ風を、胸いっぱいに神野は吸い込んだ。

ああ、やっぱり外はいい!ひとときの自由がここにある。

ちと随員が多いのが気にはなるが…
天皇と皇子の外出に随員が多いのは当たり前であるな。

と思い直して神野は野に咲く花々を自ら摘んで、帰ったら嘉智子に渡そうと竹の筒に水を入れて挿し、腰からぶら下げた。

狩りの帰りには、北郊にある異母兄、伊予親王とその母、藤原吉子が住まう屋敷に寄った。
「久しぶりだな」と半年ぶりに会う伊予親王は、桓武帝の数ある皇子の中でも特に優秀で、寵愛も深い。

伊予親王本人も穏やかな性格で、身分を問わず周りの者に優しいので次の春宮(皇太子)には伊予さまが相応しいのではないか?
という貴族たちの声もあった。
神野も、この自分より二つ年上の異母兄が大好きであった。
「久しぶりに兄弟語らうのもよかろう」と父帝は縁側に用意させた宴席に皇子二人と護衛の数人を置いて、
自分は夫人の吉子と奥の部屋に引っ込んでしまった。
「相も変わらずお盛んだな、父上も」
と神野がこぼすと、「お前もな」と兄がすかさず返した。

ここまで嘉智子との噂が届いているのか!?と神野は飲んでいた酒をごくり、と音を立てて飲み下した。

「やはり、神野をからかうのは面白い」と伊予はふふふ、と声を立てて笑った。
「父上にも同じことを言われました…」まだ酔ってもいないのに神野は耳まで赤くなっている。
「お前は反応が分かりやすいのだよ、神野。人としては好感を持たれるが、いずれ帝王になったらそれは命取りだ」

太めの眉をぎゅっと寄せて、伊予は珍しく厳しい顔をした。ここで兄に説教されるとは。またも「帝王として」だ。

自分よりも帝王に相応しいのは…と思って神野は唇をきゅっと引き結んだ。

「と、我が侍講の受け売りでね。出ておいで大足(おおたり)

は、と庭の隅に控えていた男を傍に招いた。
伊予に促されて顔を上げた男は、色黒で苦み走った顔つきをした中年男だった。

「私の侍講(たいこう)(家庭教師)をしてもらっている阿刀大足(あとのおおたり)という男だ」
「阿刀大足、会いたかったぞ。お前の話は面白い、と兄上から聞いておる」

「秀才の誉れ高い神野親王さまにお会いできて光栄です」
と大足はあまり表情を変えずに頭を少し垂れた。周りに貴族たちがいたら親王様に無礼ではないか?と咎める所だが、
媚びへつらうのが苦手そうな大足に、神野は却って好感を持った。

「実は、この大足の甥というのが面白い男でな」

伊予の言葉に大足は苦い草を間違えて食んだような渋面をし、はあ…と溜息をついた。

「彼の者は、大学寮の首席卒業を期待されるほどの才の持ち主だったそうだが十八で出奔してしまったのだ」
「出奔してどうなったのだ?」
神野に聞かれて大足は一族の誉れどころか、恥にもなりかねない問題児の甥のその後を話した。
「私度僧になって、何年か勝手に山岳修行をしていたようです…」
「私度僧だと!?」

私度僧とは、正式な出家もしていないいわば無所属の修行僧である。

官吏への道を自ら閉ざして将来の見えない修行生活に入るとは…その男。

「行方不明の十年間の間、あちこちで猛勉強はしたようです。ついこの前、私の前に顔を出しましてな、
いきなり『唐へ行くから金を下さい』と留学費用の無心に来たのです!」

ほとんど泣く寸前の顔で大足は声を絞らせた。


二年前の春、室戸岬。

青年は、自分の口の中に一番星が飛び込むという夢を見た。
途端に顔に水を浴びせられ、青年は飛び起きた。

「叔父上、ご無事ですか!?」
十歳を過ぎたばかりの彼の甥っ子が、さらに青年を正気づけようと頬を叩いてくる。
ああ、ああ、大丈夫だ。と青年は甥っ子のみづら頭を撫でた。
「修行が終わったら気を失ってしまわれたのです!もう死んだのか?と何度も水を掛けたのですよ…」

修行、と青年は呟いた。「わしは百万回満行したか?ちゃんと数えたか?」と伸びた蓬髪に髭がまだらに生えた怖い容貌でしつこく甥っ子に聞いた。

「はい、叔父上は虚空蔵求聞持法(こくぞうぐもんじほう)を満行されました!」
と甥がしっかりと肯くと青年は自分の真上に、春の日の青空。目線を下ろすと水平線から、白い波飛沫(なみしぶき)が規則的に押し寄せて来る。

ただ短い真言を百万遍唱えるという荒行を約三か月かけて行った。行に入る前と、満行した自分は…

「何も変わらんかったなあ」とただ、今自分が生きて、ここにある。
という気持ちを言葉で表した。

青年は朝と昼は空を見、夜は星を眺めて満行後も三日間自分が籠もっていた洞窟の外で過ごした。

三日目の午後、堪り兼ねた甥っ子が「もう帰りましょうよ…」と叔父の裾を引いた。

甥っ子は三日間叔父の
「相変わらず、空と海しか無いなあ」という呆けたような独り言を聞かされてうんざりしていたのだ。

ここには空と海しかない。うん、と強く肯いて青年は立ち上がった。
手早く荷造りをして三日間眺めていた風景を振り返って青年は甥っ子に告げた。

「智泉、わしは今から、空海と名乗るぞ」


「その男、面白いな!」
と神野は浮き立つような心で兄の家庭教師で、今は空海と名乗る私度僧の話を聞いていた。

後に生涯の友となる嵯峨天皇と空海、出会いまであと七年…



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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



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