第63話 譲位

文字数 5,276文字

自分が何もない闇に落ちてから、一体どれくらいの時が経ったのだろう…

生温かい闇に背中を押されて水面に浮くように平城帝は意識を取り戻した。

まず視界に入ったのは首の脈を図ってくれている広世の緊迫した面持ちと、
「良かった…」と涙を浮かべる薬子の安堵した顔。
途端に口中に広がる強い苦味を感じ、「苦い」と舌の裏に張り付いた何かの欠片を吐き出そうとすると、
牛黄(ごおう)(牛の胆石の漢方薬)が心の臓の発作に効いたのです。もうしばらくくわえておいて下さりませ」
と広世が止めるので平城帝はうなずき、苦味に耐えて固く唇を結んだ。

やれめでたや、帝のご無事に安堵致しましたぞ。

と言いながら側でひれ伏すのは藤原葛野麻呂(ふじわらのかどのまろ)藤原緒嗣(ふじわらのおつぐ)藤原仲成(ふじわらのなかなり)

顔を伏せた近臣たちの背中を平城帝は目だけ動かして一瞥し顔を背けると、やがて広世の許可で牛黄を白湯で飲み下し枕に頭を預けて天井を見つめながら、

「春宮を呼べ」
と命じた。

右大臣藤原内麻呂を従えて平城帝の病床にやって来た神野は、
「春宮神野、罷り越しました」とよく通る声で来訪を告げ、神妙に頭を垂れている。

会う度に頼もしくなって来たなと思っている反面、相変わらず堅苦しいやつだ。
と内心苦笑する平城帝は病床から半身起こして「よい、面を上げよ」と声を掛けた。は…と顔を上げた神野に向かって平城帝は、

意識を取り戻してすぐに心に決めていたことをそのまま言葉にした。

「神野、お前に天皇の位を譲る」

平城帝の突然の譲位宣言に狼狽えて「それだけはしてはなりません!」と叫んで立ち上がろうとした仲成の袖を荒っぽく引いて「帝の勅の最中であるぞ、控えよ!」と葛野麻呂が一喝して留めた。

「…畏れながら、私は受け取る器ではありません」

(いにしえ)から伝わる譲位の慣習通りに

勧められたら最初の二回は断る。という儀礼に則って神野は答えた。

「私の体はもう限界だ、お前こそ天皇の器に相応しい」

「我はまだ未熟者でそのような徳はありません」

次に来るご兄弟の会話はこの国の将来を決定する最重要事項である。
その場に居た全員、息をするのも許されぬ程の緊張感で見守った…

「お前は心も体も十分に育った。神野、この国を頼む」

「謹んでお受けいたします」

と答えた神野はこの瞬間天皇となった。

大同4年4月1日(809年5月18日)、晩春の頃である。
神野はそれまで恭しく下げていた頭を上げて上皇となった兄と再び目を合わせた。

…神野は鷹の眼をしている。

と平城上皇は初めて弟の本性を垣間見た気がして戦慄を覚えたが、すでに遅かった。
「即位の条件としてだが」
と敢えて縋るような声で平城上皇は付け加え、

「我が子高岳を皇太子にしてやってくれないだろうか?」

という要求を神野は「ええもちろん。兄弟間で位を譲り合うのがならわしゆえ」と笑顔で承諾した。

この時、なぜか阿保親王はえも言われぬ恐ろしさから高岳親王を強く抱き寄せていた。

それは、一年後に起こる悲劇を予感していて弟を守ろうとする兄としての本能からだろうか?

それとも皇統という深い血の河に弟が巻き込まれることに恐怖を覚えたからだろうか?

「あの時の怖さ、というものは皇族になってみないと解らないよ…
今思えば両親を同じくする父平城帝と叔父嵯峨帝があんな事になったのは当然の成り行きだったし、
我が父は皇位を手放した時点ですでに負けていた」

と後年になって阿保親王が息子たち行平王(ゆきひらおう)業平王(なりひらおう)(在原行平と在原業平)に語り、
「だから、くれぐれも皇統争いに巻き込まれるような愚は犯すな」と念を押して忠告した。


行ってらっしゃいませ、と送り出した夫が「ただいま」と言って東宮に帰って来られた時にはすでに践祚を終えて天皇になっていらした。

と知った時の驚きを生涯忘れる事は無いだろう…
と橘嘉智子は晩春の夕焼けを見るにつけ、思うのである。

ちちうえ、ちちうえ。覚えた言葉を繰り返す有智子内親王は2才の可愛い盛り。
東宮に帰ると真っ先に交野女王の所に行き、彼女との間に生まれた有智子を膝に抱くのが神野の習慣となっている。

「なあ有智子、父はさっき天皇になったぞ」

と神野が廊下から部屋に入り込む夕焼けを肩に受けて愛娘に語りかけた時、

部屋にいた交野や嘉智子、乳母や侍女たちがしばし時を止めたように静止し、

「そ、そういう一大事はお帰りになる前に使者を寄越して伝えるものですよっ!こちらにも準備というものが」

と叱ってくれる明鏡に向かって神野はすまんすまん、と笑い返し、
「仰々しく拝跪されるよりも、いつも通り迎えてもらいたくて黙っていたのだ。こうして気楽な時を過ごすのも最後ゆえ」と照れ臭そうに詫びた。

「それでは今からよろしいですか?」
本来なら伝令役であった筈の命婦、三善高子が目で許可を求めると、
「うむ、高津おいで」
と神野はうなずいて有智子を乳母に預け、

新しく天皇の妃となった正妻の高津内親王を呼んで自分の右側に立たせると、

それを合図に藤原緒夏、橘嘉智子、多治比高子ら側室たちと幼い頃から仕えてくれている明鏡、百済王貴命、百済王慶命ら東宮の宮女たちが一斉に拝跪し、

「此度はまことにおめでとうございます。(おほきみ)の御代が幾久しく続きますように」
という言祝(ことほ)ぎを受けた嵯峨帝は

「めでたい」

と柔らかい笑顔で答えた。

これより、平安京を真の平安たらしめる嵯峨朝が始まる。


「父上でも夜眠れぬことがあるのですね」
と息子の冬嗣に言われて内麻呂はああ、と大内裏の庭園にある池に映る満月から顔を上げた。

「なあ冬嗣、わしはこれで3代の天皇に仕えることになるが践祚の夜は決まって眠れぬものだぞ…即位式まで気が抜けぬな」
「はい」

と夜中の月を眺めながら佇むのは右大臣藤原内麻呂と彼の次男、冬嗣。

内麻呂は桓武帝即位の年に従五位下に叙爵して宮中に上がり、

平安遷都の直後に参議として公卿の列に加わり中納言、大納言を経て平城帝即位の年に右大臣となって天皇の補佐を務めてきた宮中の功労者であるのだが…

11年前の和気清麻呂の死後、後任の造営大夫に任ぜられ、3年前には右大臣神王の急死で後任の右大臣に就いた。

つまりはこうさ。北家の頭領内麻呂は妻を帝に売り、前任者の屍を次々に踏み台にして急速に出世してきたどす黒い男なんだよ。
清麻呂さまの死や神王さまの死はまことに病死だったのか?ねえ…

と宮中で囁かれる噂に内麻呂は、
ああ、その通りだ。と当然のごとく胸をそびやかす。だが、貴族の男は皆やっていることではないか。
出世の為に娘を宮中に入れて帝に媚を売り、老いた前任者の失脚や死で後任の若い者が能力を発揮できる。

それが貴族社会というものであり、運と実力のある者がのし上がるのはむしろ自然の(ことわり)なのではないかね?

と隅で噂するしか能の無い者たちを内麻呂は心底軽蔑し、大臣になりたかったらなぜ、『どんなことでも』しないのだ?と逆に聞きたい。

「一昨年は哀しい事もありましたが、新帝ご即位でひとまず人心は晴れるかと」

哀しい事、と伊予親王の横死の事を急に話題にされ、父内麻呂の蝋燭のような白い顔にさっと焦りの色が走ったのを冬嗣は見逃さなかった。

「思えば一昨年のあの政変で大納言雄友どの中納言乙叡どのはじめとする南家のほとんどの臣下が失脚しましたね…宗成という取るに足らない奴の戯言一つで」

「…何が言いたい?冬嗣」

いえね、と冬嗣は腕組みし

「宗成を唆して伊予親王さまを陥れるように仕向けたのは父上、あなたしか思いつかないのですがね」

元々鋭い目をさらに細めてさらに射込むような眼で父親を見つめた。

篝火の中で薪が威勢よく燃え上がり、ばちばち!と盛大に音を立てて爆ぜる。

「どうしてそのように言い切れるのかね?」内麻呂はつとめて冷静に息子に質問した。

もう何もかも済んだ事だ。もと大判事(司法職)だった息子の推察を暇つぶしに聞いてやろうじゃないか…

全ての証言を集めて考えた結論ですが、とまず言い置いてから冬嗣は顎に手を当て、
「事の発端は宗成が伊予親王様の邸で

『式家の兄妹を討ちませんか?』と謀反を持ちかけられてこれを不快に思われた伊予さまが宗成を追い返した。その時の会話を家人の雄宗王が聞いております。伊予さまの証言に間違いはないかと」

「ふむ」

「しかし、大納言雄友どのの証言は

『式家の仲成が宗成に謀反の話を持ち掛け、伊予親王さまを巻き込もうとした』

と急に仲成どのが事の元凶であるかのように歪曲されている。ですが、面通しの結果仲成と宗成は全く面識が無かった…これで雄友どのの証言は覆され、失脚に至りました」

そうだな、と内麻呂はうなずいて「で、なんでわしがそれに関係あると?」

「父上は詮議の時、宗成を咎めようとも伊予親王様を弁護しようとも、さらには激昂したまま厳罰を下す上皇さまを諫めようともなさいませんでした。

親王様と重臣たちを詮議するのだから最も慎重にやらなければならない時に何もなさらなかった。
それは十分罪だと思うからです。
怒り狂う上皇さまを巨勢野足(こせののたり)どのは『帝王にあるまじき軽挙妄動ですぞ!』とお諫めしたのに…」

「右大臣としてわし一人だけは落ち着いておらねばならぬと思うたまで」

としらばくれてもなお、冬嗣は追及の手を緩めない。

「問題はですねえ、最初から無実の仲成をどの時点で謀反人に仕立て上げたか?それは伊予親王邸での騒ぎの内容が間違って雄友どのの耳に入ったのですよ」

「雄友め、馬鹿なやつ…間者の吹き込んだ情報を仲成憎さに歪曲して自滅しおった」

「間者って何です?
私は雄友どのの耳にどうやって入ったのかは一言も言ってませんよ」

あ…と内麻呂は己が口を手で塞いだが時すでに遅し。

「成程、困窮していた宗成を唆して伊予さまに面会させる。父上が放った間者が雄友どのに嘘の情報を吹き込む。一大事だと思った雄友どのが父上に報告する。全てはあなたの仕組んだ事ですか…」

冬嗣の眼はますます冷たさを増し、語尾には怒りさえ滲んでいる。

「何で皆、考えようともしないんだろう?宗成と伊予親王さまや仲成との繋がりよりも同じ北家の縁者である父上との関係をねっ!
父上なぜこのような事を?本来無実の伊予親王様を死なせてまで何がしたいのですか!?」

「全ては神野さまを帝位に付けるための桓武帝の御遺言」

よいか、内麻呂。安殿(あて)の治世ではこの国は悪い方向に行くだろう…神野が政を取るのに十分な器だと思ったら邪魔と思った者全てを退け、神野を帝位につけるのだ。

藤原のやり方がどんなものかは帝が十分ご承知のはず…帝、もしですが。

何だ?

安殿さまはともかく、私めが伊予さまを邪魔だと思って手を下すのは?

よい、やれ。

御意…

「全ては国政の為、将来の帝王として御自ら教育なさった神野さまを天皇にするためなら、
伊予さまを安殿さまを潰すための生け贄にしても構わぬ。
そう言い切った桓武帝は実に恐ろしい御方だった。

この国を立ち直らせる為には、神野さまに賭けてみるしかない。

安殿さまをお支えする事に疲れたわしは帝の御遺言と自分に言い聞かせながら、金をせびりに来た宗成に『流罪先から帰ったら五位にしてやる』と唆した…これが全てだ。冬嗣、父を軽蔑するか?」

いいえ、と冬嗣はかぶりを振り、
「今日この日が無ければその内何処かで反乱が起こっていたでしょう」と薄く笑って答えたがいつの間にか彼の右手は内麻呂の腰に差している太刀を引き抜いていた。

「全てを謀った真の大罪人め、死ね」

と刀を父親の頭上に振り下ろしたその時、ぎん!と跳ね返され刀身から火花が散る。

冬嗣と内麻呂の間に割って入って己が太刀で冬嗣の一太刀を止めたのは、兄の真夏であった。

「いま右大臣を殺したら北家は全て終わるぞ…!妻子はどうなる?」と真夏は武力も自分に勝る冬嗣相手にぎりぎりと鍔迫り合い、声を振り絞って訴えた。

美都子…冬嗣の脳裏に愛妻の美都子と長良と良房息子たち。家族の顔が浮かんでやっと冬嗣は我に帰って刀身を引き、
「父上にお返しします」と言うと
内麻呂の足元に思いっきり刀身を突き立てた。

声にならない叫びを何度か上げて肩で息を付くと冬嗣はまるで何事も無かったかのように額の汗を拭ってから、

「明日より妻子を連れて家を出ます…これからは親子でなく同じ帝を戴く臣下同士として勤めましょう」

とくるり、と背中を向けて去って行った。

「助かったぞ真夏…」

と言って息子の背中にもたれかかる内麻呂に真夏は、

「冬嗣と夜二人きりになる父上も悪いです」と冷淡に言ってのけた。
それより、と自分も太刀を腰に差し直して内麻呂に正対し、

「父上はどうして冬嗣にわざと自分を憎ませるのです?」
と父の弟に対する苛烈な育て方を見てきただけに、また今夜みたいなことが起こるかもしれないとさすがに心配になって尋ねた。

「天皇というのはこの国で一番孤独なお立場だ。今までにない険しい道を行かれる帝の心の支えになるのは真に二心無き忠臣」

だから、藤原からもこの父からも心を切り離し新しい帝を守りまいらせよ。

冬嗣。

篝火の中の薪は燃え尽きて辺りは闇になり、雲が晴れて丸い月が白々と冬嗣の背中を照らし出す。

後の閑院大臣で藤原家の繁栄の礎を作った藤原冬嗣。

嵯峨帝即位の夜、彼も独り立ちをした。


















































































ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み