第51話 天皇の侍医

文字数 5,075文字

その少年は、父の所在が解らない時にはいつも大学寮の南にある邸に入りその姿を探した。
邸とはいっても家具調度などはあまりなく、ほとんどの部屋が書物を並べた棚で埋め尽くされた雲亭(うんてい)(公開図書館)づくりである。

少年は書斎に当たる部屋の床の上にいつも通り右腕を下にして真横に寝そべっている父の姿を見つけてほっと胸を撫で下ろした。

真菅(ますが)か?と少年の父でこの公開図書館、弘文院(こうぶんいん)を大学寮に寄進した和気広世(わけのひろよ)は首をねじって顔だけこちらに向けて、

「近う寄って父と共に寝そべらぬか?床が冷えて心地よいぞ」と後ろ手でつんつん、と床を指す。

自分が童だった頃は父と並んで床に寝そべっていたのは楽しい思い出だった。が、今の自分は14とはいえもう元服を済ませた大人なのだ。

「大事の時に一家のあるじが所在不明とはどういうことですか!?母上も呆れていましたよ」

と広世の長男、和気真菅(わけのますが)は和気氏の家長でありながら、全く出世に興味のない父を叱咤するほどの大人になっていた。

わかったわかった、と床に手を付いて半身起き上がった広世はふああ、と盛大に欠伸をして組んだ両手を天井に向けて伸ばした。

「長男だから和気氏の家督を継ぎはしたが…
はっきり言って私は医術と薬学以外に、興味が無い。(まつりごと)でのお家の生き残りとか、そんなことは真綱(まつな)、お前に任せるから好きにやれ」

と興味の無い事は弟に丸投げして薬草学と医術の研究に没頭する広世、39才。
この呑気な学者貴族は我が息子が次に告げた一言で長い惰眠から叩き起こされる。

「朝廷から我が家に勅使がいらっしゃっていますぞ、疾くご帰宅なさりませ!」

はあ?と広世は間の抜けたような返事をして、慌てて帰宅して妻に手伝ってもらって身支度を整える。妻は、

「きっと加冠のお知らせですわよ!あなたも殿上人になるのですからちゃんとして下さいね」
と母が子をたしなめるように注意して冠から足元まで夫の服装を確認してからよし!と夫を勅使が待つ客間へと向かわせた。

勅使はうやうやしく帝からの勅書を読み上げ
「和気広世を正五位下、左中弁に叙す」と平伏する広世に告げた。

妻の言った通り広世は殿上人になった。

弁官は朝廷の最高機関、太政官の職であり、官庁を指揮監督する役を負っていた。故に、弁官経験者は三位以上の参議になる資格を有する。貴族にとって弁職とは、出世への登竜門なのだ。

一分の隙も無い礼儀正しさで勅使を見送った広世の背後では妻子はじめとする家人たちが喜びで沸き立っている中、ひとり広世本人だけが不本意な気持ちでいた。

この叙爵が自分にではなく、覇気の強い弟、真綱のほうに行けば良かったのに。

その夜は家人だけで内祝いをし、床に就く前に妻は、

「これで和気の家にも光が差します、亡き義父上もきっとお喜びでしょう…

おめでたい夜だから申し上げますが、まるで出世に関心が無い様子のあなたとの暮らしは平穏だけどどこか張りが無い。そう思って諦めて過ごしてまいりました。

明日からは誇らしい気持ちであなたを送り出せます」

と結婚以来胸に秘めていた本音を告げて酒も入っているので横になると妻はそのまま熟睡してしまった。

自分の心の浮き沈みは、夫の身分次第。
女人とは、そういうものなのか?

私との暮らしを諦めだと!?

と妻の本音に少なからず衝撃を受けた広世は、激変する明日に向けて寝ようとしたがその夜は頭が冴えてほとんど眠れなかった。

翌朝、広世は五位以上の朝服である薄紫の袍、頭には皀羅頭巾(くりのうすはたのときん)を被り手には象牙製の牙笏、金銀装腰帯、白袴、烏皮履(くろかわのくつ)を着けて参内した。

初めて平城帝に謁見する直前で広世は

「お前の願い出は親王にあるまじき我儘自儘というものぞ、臣籍降下など許さぬ!」
というほとんど金切り声に近い帝の激しい叱声を聞いた。

「は、しかし春宮さまには我が兄神野親王がおつきになられて私はもう親王で居る必要は無いかと、この上は姓を賜り」

黙れ!と帝は叫び、そのせいで喉を傷めて空咳をなさっているのが聞こえる。

新帝は癇気の強いお方、と噂に聞いた通りだったな…と広世はもう帰りたい気持ちで今の謁見者が叱られているのをすぐ後ろで頭を垂れて聞いていた。

「大伴、お前の母は誰か?」
と威儀を正して平城帝は問うた。叱られているのは帝の弟君、大伴親王だと広世は察した。

夫人(ぶにん)の藤原旅子でございます」

「旅子の実家はどこか?」

そう問われた大伴は一瞬口ごもり、嫌々と言った感じで
「藤原の…式家です」
と答えた。
「朕も式家出身の皇后、乙牟漏(おとむろ)の腹から出た身だ。春宮神野とは母を同じくする…朕の言っている意味が解るであろう?」

はい、と消え入りそうな声で大伴親王は答えた。

「我らが父、桓武帝の御代から天皇家は藤原式家の庇護を得て生き延びてきた。
故に、式家の血を引く大伴、お前を皇族から外す、という考えは一切無い。

なあ大伴…式家の妃を母に持つ兄弟たちが力を合わせて内政を落ち着かせる。これからという時にお前が居てくれないと、困るよ」

そこまで兄帝に懇願されては何も反駁出来ないではないか、と大伴は悟り、

「拙いこの身、帝の為に力を尽くします…」
と口上を述べて笏を掲げてから大伴親王は帝の前を辞した。

次の謁見者が広世だと気付くと大伴は恥ずかしい所を見られてしまった、という気まずさと日頃懇意にしている広世と宮中で仕事ができる嬉しさが入り交じった笑みで広世に近付き、

(ま、兄上はあのようなお方だ。叱責は常日頃のことだから『がんばれよ』、その格好似合うぞ)

と耳元で囁きかけて広世の肩をぽん、と叩いてから謁見の間を出ていった。

「和気の広世、罷りこしました」と緊張しながら笏を掲げる広世に平城帝は

「お前が来るのを待っていた、顔をあげよ」と少し弾んだ声をかけられた広世は言うとおりにし、御椅子にお掛けになっている帝に初めて相対した。

ずいぶん端正なお顔だちだな。

それが、広世が平城帝に抱いた第一印象であった。
色白で細面な美男子であらせられるが、目元は神経質そうにぴくぴく引きつり、頬がそげていらゃるのが惜しい、それに額には汗が滲んでおられる。

先ほどの叱責で随分体力を消耗なさったのだろう。
と元典薬頭という侍医の長官職だった広世は一目で平城帝を診察し、
「不躾で申し訳ありませんが、これから先の謁見は控えめになさった方がよろしいのでは?」
と初対面の謁見で天皇にこれ以上無理をするな。と僭越ながら申し上げたのである。

「こいつ、一目で朕の体調を当ててしまったぞ!見ろ薬子、これがこの国随一の医師の見立てだ」

と平城帝は背後に控えていた尚侍、薬子に向かって愉快そうに声を立てて笑ってから、
「よい、広世。本日の謁見はここまでにする」
と素直に臣下の言葉を聞き入れたのであった。

さて、薬子の案内で天皇の休憩室である部屋に通された広世は、堅苦しい正装を解いて診察着である白衣に着替えるよう命じられた。
薬子がぽん、と手を打ち女官たちに持ってこさせたものは薬箱、秤、すり鉢など全て医術に使う道具。

「お初にお目に掛かります。尚侍、藤原薬子でございます」と改めて広世の目の前で丁重な挨拶をした薬子は薄化粧の顔を上げた。

確か年は40過ぎている筈だが、こんなに肌の肌理(きめ)が細かく美しい女人を初めて見た。と広世は思った。

「私はお父上の清麻呂どのを見知っております。亡き父種継のご同僚で、切れ者と評価される優秀なお方でしたが…
心が芯から冷える程冷たい目をなさっておいででした。
あなたはお顔立ちはお父上に似てらっしゃるけど優しい目をしているのね」

と言って薬子は目を細めて笑った。無邪気な少女のような笑みに広世は思わず見とれそうになる、が、6年前の醜聞のことを思い出し、

魅かれるな、広世。
この女は東宮と帝の評判を汚した張本人だ。と自分に言い聞かせた。

「帝がお着きになるまで私の方からお話しなければなりません…実は、ご即位以来帝はお体を一切、内供奉十禅師(ないぐぶじゅうぜんし)たちに触らせないので私ども側近もほとほと困っております」

内供奉十禅師、それは常に天皇のお側に侍り国家護持の祈りと天皇の体調管理を任された選ばれし10人の僧官。彼らの進言は時に臣下より重く用いられ、

僧衣の佞臣ども。

と貴族たちに揶揄されている集団でもある。

先帝桓武帝も最澄を寵するあまり内供奉十禅師に任じ、常に側に置こうとしたぐらい最側近である僧官たちに体を触らせない天皇など前代未聞だ。
という異常事態を薬子は打ち明けたのだ。

「その者たちに体を触らせない、ですと?帝は、その」

とこれ以上言及すると失礼にあたるのではないか?ど口ごもる広世の心理が読めるように薬子は話を継いだ。

「はい、帝は式部郷葛野麻呂(のりのつかさかどのまろ)さまと、参議の緒継さまと、尚侍の私しか信じておりません…

当然十禅師たちも帝のなさりように不満を持ち、東大寺の権別当さまの元へ苦情の文を送る始末」

東大寺だと?

「ちょっとお待ち下さい尚侍どの!東大寺権別当さまは」

そうです。と薬子は真剣な顔で頷き、

「権別当、実忠さまは悲田院、施薬院で修行をお積みになられたこの国で最も信用の出来る医僧…
その実忠さまが十禅師の苦情をお聞きになり

『ならば拙僧が唯一才能を認めた愛弟子、和気広世をお傍に付けるがよろしかろう』
とあなたを侍医に付けることを進言なされたのです」

なんと、自分の叙爵は我が師実忠さまの進言であったか!

貴族家の跡取りに生まれたのなら、一度は政治と言う苦い胆を舐めて苦労するべきだな。

政治から逃げて生きるだなんて世間が許すもんかね。

と、広世の心の中で医術の師、実忠がそう言ってぐすりと青い目を歪めて笑った。

実忠さま。とうとう私を千尋の谷に突き落としなすったのですね…

解りました、この広世今より、貴族となりて帝をお守り申し上げます。

そう決意した広世の顔つきの変化を見逃さなかった薬子は、

肚を決めた貴族の男はみんな冷たい目つきをするのよね。
と醒めた気持ちで広世を見、やっぱりお父上にそっくり。
と高く尖った鼻や細い顎など清麻呂と広世の類似点を探している内に平服にお着替えになった平城帝が部屋に入り、早速脇息にもたれてから、

「さあ広世、早速朕の体を診てもらおうか?なに人払いは済ませてある故遠慮なく朕の体に触れ」

と言って広世を近づけた。

「では、ご遠慮なく」

とまずは顔や白目や舌の色を診る視診、
手首を取って心の臓の動きを診る脈診、

それから上半身裸になってもらい仰向けにして腹部を押し内蔵の働きを診る触診をひととおり終えた結果、
平城帝のお体のある病状に気づいた。

「失礼ながらお聞きしますが、帝、あなた様は激しく動いたり感情が昂ったりするとすぐ動悸や息切れを起こす体質だったのではございませぬか?
それも最近ではなく10年以上前から」

「当たりだ。そこまで診断出来た者はおまえが初めてだ」
と言って平城帝はくっくっ、と顔を歪めて笑った。

まさか…帝はご自分の心の臓の病に気づかれておいでで、それを隠すために東宮に引きこもっておいでだったのか?

「陰陽師というのはみんな嘘つきばかりの役立たずだな、広世。あいつら、朕の病の原因をすべて叔父の早良親王の怨霊のせいにしおった…
確かに朕には物事が思い通りにならぬと我慢がならず人に当たる性質ではある。

なれど心の病の発作は、全て朕の芝居だ。
そうでもせぬと胸の病が周りに知られ、朕を疎んでいた父などは喜んで朕に一服盛って始末したかもな」

まさか、実の父と息子でそこまで疑い合ってきたとは!

皇子に生まれるという事はかようにも過酷な人生を強いられ、それを納得して病の身で日の本を背負われる帝のお覚悟に、広世は強い感銘を受けた。

「常に朕の傍に侍り、朕が天皇としての任を遂行できるよう助けてくれぬか?」

「は…身命を賭してこの広世、おつとめ致しまする」

と平伏しながら人の噂とは当てにならぬものだな、帝は暗愚などではなくこうして病を隠して20年以上も周りを欺いて生き延びて来られたのだから、

むしろご聡明なお方であるよ。
この瞬間から広世は天皇の侍医となった。

「優秀で嘘を吐かぬ典医がひとりいるだけでこうも心強くなるものか。
…父が雇うた高禄食みの十禅師ども、隙を見せたら追い出してやろうかな?」

と平城帝が放った冗談に広世は、
親友で桓武帝が任じた十禅師の一人である最澄の身の危険を感じた。

間もなくその予感は最悪の形で的中するのである。

「あの3年間は、一瞬とも気が抜けず、
人生で一番わが心を消耗した時期であった。宮中の闇の底の底まで見尽くし、つくづく私は政治に向いていないと思い知らされたのだ…」

と後に広世は、比叡山寺で最澄にだけその事を語ったのである。

















































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



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