第1話 菊花

文字数 5,484文字

昔、とある貴人のお屋敷に風変わりな娘が仕えていた。

女性が白粉を塗って化粧しているのが当たり前なこの時代に、娘はずっと素顔で居た。

可哀想に、化粧道具も持たされなかった位実家が貧乏なのね…

と家に仕える他の使用人たちは陰でくすくす笑って娘を遠巻きに見ていたが、直接苛めたり嫌な言葉を投げつける事も無かった。

それはなぜか?

不吉な娘、と噂が立っていたからだ。

娘は3つの頃に父親を亡くし、その父親、つまり娘の祖父は…罪人だったらしい。

だからここに仕えるしか道が無かったのよ。放っておきましょう、あれでもそつなく仕事が出来るのだし、

うかつに近づくと、祟りがあるかもよ…

タタリタタリってかまびすしいわね。この国の人って「見えないもの」を恐れ過ぎなのですよ!

ひとりぼっちの娘にも、話し相手が出来た。1つか2つ年下の女童で、自分は海の向こうの王家の末裔だと言った。

もう滅びた国ですけど、と何の感慨もなく明鏡(みょうきょう)という名のその女童は言った。

王家と言っても傍系も傍系で実家は貧乏、あたしもこうやってお偉いさんの屋敷に仕えて行儀見習いでもしてろ、って追い出されたクチなんです。

ああだからこの子は幼いながらも彫りの深い顔立ちをしているのか、と娘は思った。

「でもここのご主人はすでに正妻さまがいらっしゃるし、浮気者だし、今お手が付いたとしてもその他大勢ですよ。あーあ、運が無い…」

「わたしはこのままでいいのよ」と娘も明鏡の屈託の無さに心を開き、毎夜枕を並べてひそひそお喋りをするようになった。

「欲の無いひとですね…あなたなかなかきれいなのに。せめて簪(かんざし)くらい挿して下さいよ、垂髪のままで変わり者だと言われてますよ」

急に静かになったな、と娘が思って見ると仕事に疲れた明鏡はすでにくうくう寝息を立てていた。

こうして一日が過ぎていくだけで、いいの…

実家を出た日、太陽の近くで五色に輝く雲を見た。

おお、見なさい。これは彩雲…吉祥なり!と後見役の親戚が大袈裟に言っていた横で、自分はぼんやりと違う事を考えていた。


あの雲みたいに高い所まで行けたら、自分はどんなに気楽だろうか。


日に焼けた両掌の上には、二股に分かれた菊の花が載せられている。

きっと鷹狩の帰りに野で摘んだのだろう。若者は花を娘に差し出して、「…名は?」と問うた。

この時代、男に問われて娘が名乗るのは、求婚を受けたという意味である。

このお方は判っていらっしゃるんだろうか?そうとも知らない無骨な人なのかしら、と思って娘はふと若者の顔を見た。

白目が青みがかって、実に澄んだ眼差しをしている若者だった。鼻梁がすっとしていて顎が細い。

健康そうに日焼けしていても品の良さがにじみ出ている顔だちだった。

あ、明鏡ちゃんに似ている…と娘は若者の顔を見つめていたが、すぐに事の重要さに気づいてひゃあっ!と悲鳴を上げて両袖で顔を覆った。

「申し訳ありませんっ…申し訳」

「いい、悪かった」と頭上から声がして、しばらくしてから顔を上げると若者は居なくなっていた。

自分の前髪に違和感があったので触って引き抜いてみると…先程の野菊が挿されていた。

かんざしくらい挿して下さいよ。

という明鏡のことばを思いだして娘は急に自分が恥ずかしくなった。

娘は自室に持ち帰った花を花瓶に生けると、部屋の隅にある厨子の中の小さな仏像に供えて両手を合わせて拝んだ。

この時だけが自分は心が休まります…娘はこの日に限って、長い時間仏像に向かって拝んだ。

窓の格子からすっと夕陽が入り込み、娘の横顔を神々しく照らすのを


美しい…と魂奪われたように見入る人影があった。


それから数日は何事もなく過ごしたが、夕方近くになると1本、野の花が投げ入れられている事が何度かあった。


その夜は、明鏡は早めに寝入っていたので娘はなんだか寂しい気持ちで長い髪を垂らし、頭を枕に預けた。

秋も深まって来て風がひんやりしている…と思いながらも自分は寝入ってしまったようだ。

野原の中で一本の紫色の菊花が咲いている。それを摘もうか摘むまいか迷っている自分が居る。そんな夢を見た。

それが夢ではない、と気づいたのは、実際にその花が目の前にあったからだ。

例の若者が自分の寝所に入ってきている。両手に一本の野菊を添えて「…名は?」と問うた。

「嘉智子…橘の、嘉智子」と思わず娘は名乗ってしまった。

若者は初めて表情を緩めて「私は親王、神野」と名乗ってからにこっと笑った。

しまった、名乗りが成立してしまった!

と嘉智子が思った時には自分のからだは若者に組み敷かれてしまっていた。

嘉智子は助けを求めるように床の隣の明鏡に顔を向けたが、明鏡はすでに起きて床の上で拝跪し、指示待ちをしている状態だった。

「朝になったら迎えに参れ」という若者の言葉には、とだけ言って明鏡は部屋をするりと抜けてしまった。

明鏡ちゃん!?

どうして、どうして!?と混乱している嘉智子の震える顎を若者は片手で引き寄せ、

「やはり美しい…」と頬擦りをしてから「恐れないで、全て、私に任せればいいのですから」と囁いてから自分の唇を嘉智子の唇に押し当てた。

もう一方の手は慣れた仕草で夜着を剥いで、嘉智子の白い肌を撫でていく。

若者の愛撫にしぜんな反応をしてしまう自分の体に驚きながらも、嘉智子は自分が一番望まない事態がとうとう来てしまった自分の運命を恨んだ。

どうして…どうして人は、自分の思うようには生きられないのでしょうか?

この夜、桓武帝第二皇子神野親王、後の嵯峨天皇と後の檀林皇后、橘嘉智子の初枕(にいまくら)(初夜)が執り行われた。

延暦20年(801年)のうすら寒い日の朝、神野は嘉智子の残り香の中で目覚めた。

床の隣を探るとひと時前まで肌を合わせていたひとがいない。

神野は慌てて夜着の前をはだけたまま起き上がった。

夜着がはらり、と落ち、貴人の男子にしては筋肉が発達した15才の裸体が露わになる。

「どうぞ、お風邪を召さないよう…」と横から小袖を掛けてくれたのは、

前髪に簪二本と笄を差して後ろ髪を一髷にまとめ、吉祥天女を元にした宮中侍女の礼服姿の嘉智子だった。

…これは驚いたぞ。

他の女人は初めての契りの後では泣くか拗ねるかするのに。

このひとの落ち着きぶりはどうだ?

宮中に来て初めて顔に薄く化粧をし、眉間に緑色の四弁の花びらを象った花子(かし)を付けた嘉智子の顔はまた美しく、神野はずっと見ていたかったが嘉智子は自分の後ろに回って櫛で髪を整えて帽子(もうす)を被せてくれた時に

「わたくしは、親王さまづきの侍女ですから」

とか細い声で言われた言葉に神野は寂しさとすまなさの入り混じった苦しい気持ちに襲われた。

思わず帽子を整える嘉智子の手を掴んで、

「夜になったら…また来る」と言った。朝服を着せられた神野が部屋を出る時振り返って、

「昨日の今日だから仕事はほどほどにしていい。私から他の者に言い含めておくから」

と言い置いて部屋を出て行った。


「夫」になったばかりの若者を見送ってひとり嘉智子は佇んで…やがて切れ長の()からは涙がはらはらとこぼれ出る。


これが…これが、実家の橘家と、後見になってくれた藤原北家の目論見だったのです!


部屋の隅でしゃくり上げる嘉智子の背中をそっと撫でてくれる小さな手は明鏡のものだと解っていた。

「嘉智子さまぁ…」

「あなたが手引きをしたのね?」

明鏡の手がぴくっ、と止まった。すいません、すいません…と鼻をすすり上げる童女の声が背に覆いかぶさる。

「皇子さまの命令には逆らえませんでした…すいません…」

「そうよね、もう引き返せないのよね。泣くのはもうこれきりにするから、今だけ…」

と嘉智子は明鏡の小さな体を抱き寄せて嗚咽する。

嘉智子と明鏡は抱き合って、思う存分泣いた。


その日の昼遅くのこと。

明鏡は神野親王の私室に入るとまた、部屋中が漢詩文が書かれた紙で散らかっていた。

親王さまったら、また!と明鏡は呆れたが、神野が筆を走らせる時は、

すこぶる機嫌がいいとき、なのである。

「墨が乾くまで触るな」と横顔に微笑みを浮かべながら神野は言った。

「嘉智子は落ち着いたか?」

「やっと落ち着かれました。が、あれは抑え込んでいるのです。しばらくお慰めしなくては」

「おまえのことだ、どうせ嘘泣きをしたんだろう?」

「子供の嘘泣きには誰でも弱いものです」

と言って明鏡はぺろっと舌を出した。

「で、昨夜はどうでしたか?」

「子供がそんなことを聞くものではない」と神野は筆を止めて明鏡のほうを向いた、が、その表情はなにか陶然としていて、

「今まで生きてきて、良かった…」とほう、とため息まじりに言った。

この御方は!と明鏡は舌打ちしたくなったがもちろん高貴の御方を前に出来る筈はなく、はあ、とだけ返事をした。

「橘家の娘が入侍して二か月…あんなに強情な女人は初めてだったよ。

懐柔策にお前を嘉智子に近づけて正解だった。

明鏡、おまえに何か褒美をやらねばな」

は、と明鏡はかしこまり「ですが、要りませぬ。こうして親王さまに仕えるだけで満足です」と首を振った。

「そう言うと思っていた」と神野が笑って筆を置いた時、侍女を二人連れて異母妹で正妻の高津内親王(こうづないしんのう)が私室に入って来た。

高津は神野より一つ年下の十四歳。父桓武帝の第十二皇女である。

なかなかの美少女なのだが、目元に生来の勝気さが出ている。

高津は足元に散らかった紙を見ると侍女に「乾いた紙から片付けなさい」

と煩わしそうに命じた。そして床の空いた場所に座ると、夫、神野のばつの悪そうな顔を見ながら

「お兄さまは、やっと季節外れの金柑(橘)をもぎ取りなさったようで」

と袖で口元を隠しながらくすくす笑った。

「嫌味な言い方をするなよ…それにいい加減『お兄さま』はやめろと言うのだ」

面倒なことになる前に、明鏡はそそくさとその場から辞退した。


「まったく、名族なれど落ちぶれきった橘家の娘との縁組なんて…父上は何をお考えなのかしら?
お兄さま気を付けてね。橘の家は呪われているのだから」

と高津が念押しして自分を見上げる眼差しは、本気で自分を心配してくれている。

生意気だが、性根の悪い妹ではないのだ。その瞬間、急に高津が愛しくなる。

「そんなにこまっしゃくれた事を言う口を、どうしてくれましょうかねえ?こうしてくれようか?」

と神野は高津の細い体を抱き上げると口づけで高津の花びらのような唇を塞いで帳張の中に連れ込んでしまった。

あ、しまった…お喋りが過ぎたらいつもお兄さまにこうされてしまうのだから。と高津は息を弾ませながら今頃後悔した。


事の起こりは三か月前、父、桓武帝の御前に呼び出された神野が告げられたのが、

「橘家の娘と婚姻せよ」という命令だったのである。

「なれど父上…いえ(おほきみ)、『あの』橘奈良麻呂の孫ではないですか?」

四十六年も前のこととはいえ謀反の疑いをかけられ、獄死した橘奈良麻呂。その死にざまは杖で打ち据えられながらの凄惨な拷問死だったと伝えられる。

その後、橘の家は衰退の一途を辿っていると聞く…

「だからこそなのだよ。神野よ」

と灯火の光の中、久しぶりに対面する桓武帝は齢六十四。帽子からのぞく髪も髭も真っ白になり、お顔も細くなった。

父上は随分老け込まれたな、と会う度に神野は思う。

それもそのはず政争と粛清の嵐の中生き残った父に皇位が転がり込んで来たのは四十四歳の時。

藤原式家の娘で皇后乙牟漏(こうごうおとむろ)との間に神野が生まれたのは、桓武帝四十九歳の時であった。

「奈良麻呂の謀反、あれは冤罪だと(ちん)は思うておる。わかるか?

『まだ何も起こっていない内に』密告と拷問による自白だけで奈良麻呂は殺され、四百人以上が粛清された。

これは藤原仲麻呂と女帝、孝謙による一方的な言いがかりだ…

朕は奈良麻呂の罪を濯いでやりたいのだ。頼むよ、神野」

頼む、とまで父に言われたら意見も抗弁もする途はない。

「また政略結婚ならお受けしますが、しかし橘家に宮中に入る支度金はあるのですか?」

こしゃくな口をきく息子よ!と桓武帝はからからとしゃがれた声で笑った。

「娘の後見は北家の藤原内麻呂が引き受けた。衣装も道具もすべて整えてある。吉日を選んでひと月後には入侍させる」

なるほど、いわくつきの橘家の娘だからこうして夜御殿(よるのおとど)に自分をこっそり呼び出して婚姻の話を持ち出したのだ。

しかも、自分の知らない内に話は整っているのだ。食えない父であるよ!

「神野よ、藤原だけでなく様々な氏族と婚姻を結んで力の均衡を保つのも帝王のつとめであるぞ」

我らが直系の祖、天智帝はそうやって国家を一つに束ねて来たのだ…と幼い頃から父に聞かされてきたのを、神野は思いだしていた。

「謹んで、お受けします…」

神野はそう言って父の元から下がると、最初は、まったく、父上はいつも二言目には「帝王として」だ!

と幼い頃から自分を学問だけでなく、体術の師匠に妻高津の叔父にあたる坂上田村麻呂を付けて、厳しく教育されてきたことに腹を立てていたが、

怒りが収まると次第に借り物の衣服と道具で自分と縁づくその娘の事が、いたく哀れになった。

橘家といえば女性で初めて文武帝から「橘」の姓を賜った県犬養宿禰美千代(あがたいぬかいのすくねみちよ)と皇族、美努王(みぬおう)の血を引く名族ではないか。

正式な妻としてではなく侍女のひとりとして宮中に入るなんて…

よし、橘家の呪いだろうが、祟りだろうが、引き受けてやろうじゃないか!

この都はタタリなんぞ吐くほど喰らいつくしているのだ。

疫病、水害で長岡京を捨て、この平安京に都が移ったのは神野が七歳の時。

二度の遷都で国家が疲弊し、地方には飢えた民もいるこの世情に「平安」の「平」の字も「安」の字も人々の心に見いだせない。

平安初期とは、そんな時代であった。
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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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