第64話 実ちて帰る

文字数 6,189文字

さて、この高御座(たかみくら)から見る景色とはどんなものなのだろうか?

と、嵯峨帝は目の前に垂れる冕冠(べんかん)(りゅう)(宝玉の簾)の間から、今は閉じられている高御座の紫色の帳を見つめていた。

神野、お前は理想の天皇になるのだぞ…
と幼い頃から父桓武帝に言い聞かされて育ち、とうとうこの日を迎えた。

これから始まる儀式で、「朕」の天皇としての人生が始まる。

大同4年4月13日(809年5月30日)、嵯峨帝即位礼。

ほどなく帳は開かれ、真っ直ぐ顔を上げた嵯峨帝の眼前には初夏のまばゆい光に照らされて大極殿前庭は白く輝き、四神旗をはじめとする幡が立ち並ぶ中で臣たちが畏まる。

その厳粛さはまるで、空からの光とこの場の空気全体が質量を持って高御座に入り込んで自身の体を押し包むような感覚を嵯峨帝に与えた。

それは、自分がこの国の天地と民を背負う国父となる、責任という名の重圧だった。

成程、これが高御座から見た景色か…

父桓武帝の御気性なら跳ね返したかもしれぬ。
兄上皇の御気性なら内心怯えて耐えたかもしれぬ。

だが、朕はこの重圧を背負って皆と共に生きるぞ。

と決意した嵯峨帝はこれからの人生全てに立ち向かうように高御座の中で威儀を正した。

帝王としてまずする事は、やりたい事ではなくやるべき事からだ。

と父桓武帝は言っておられたが…

「平城宮を手入れして離宮として住みたいのだが」
という平城上皇の提案に、嵯峨帝は成程、新たに離宮を建てるよりも経費削減になるしこちらとしても助かる。と思っていたのだが、

「兄上が離れた御殿に移られたのはよいのだ。
だが、結局修復が終わるまで同じ大内裏の中でお互いの家族が暮らす事になる。やるべき事も、やりたい事もいちいち兄上に気を遣ってやらなきゃならない…」

と嵯峨帝は幼なじみで即位に伴い従六位下から従五位下右近衛少将と四階級も上の位に昇進させた藤原三守を夜御殿(よのおとど)に呼び寄せ不満をこぼした。

「では、帝のやるべきこと、やりたいことを書き出しては?」

と言って三守は黒い碁石をぱちり、と碁盤に置いて「次は帝の番ですよ」と顔を上げると目の前に差し出されたのは分厚い紙の束。

なんだ、もうご準備なさってたのか。
と三守は感心し「私めが読ませていただいてよろしいので?」と一応尋ねると、

「よい、この世で一番信じられる人間にまず読んでもらいたいのだ」

という嵯峨帝のお言葉に三守は内心胸を熱くし、では拝見。と主の長い計画書を時間をかけて読み終えた時には…

このような遠大な計画を、帝は何年も前から構想なさっておられたのか…!
と感服した三守は震える手で紙を折り畳み、腹の底から深いため息をつくと計画書を嵯峨帝にお返しした。

「今やってはいけない事から申し上げますと、伊予国に流罪中の藤原雄友はじめ南家の貴族を復帰させることと、伊予親王さまのお子様方を呼び寄せるのは…無理です」

ああ、だから帝は伊予親王の政変で徹底的に失脚した南家の私を今宵呼び寄せたのだな。と気付くとなんと有難い…と目頭を熱くした。

そうか、と嵯峨帝は指先で白い碁石を弄んでわざと素っ気なく答えると、

「では、今やるべき事は何かな?」と分かりきっていながらも尋ねた。
「それは平城宮の改装工事。一刻も早く上皇さまにはここを出てもらわないと」
「そうか、では急がせよ」

は…と畏まってから三守は顔を上げると、

「でも、私はやるべき事よりやりたい事を優先させた方が帝の御気性に合うと思うんですがねえ。
私にまで本心を隠してはなりませんよ、帝。いま一番呼びたい人物を呼ぶべきです」

と悪戯を思いついた時の癖でぎゅっと片目をつぶって笑いかけた。
「やはりそう思うか?」とこちらを向いた嵯峨帝の眼は、面白き書を見つけた童のように輝いていた。

「これから帝がなさろうとする事は、この日の本の国土ぜんぶを碁盤に見立て、その白い石で陣地を全て取ろうとする大勝負。あの男はその要石です。ぜひとも」

解った。と嵯峨帝は強く頷いて、

「三守、謹慎中の空海を朕に謁見させよ。そのためにはどんな手を使っても構わぬ」

と23才の青年らしい明るく弾んだ声で命じ、三守の手のひらに白い碁石を託した。

「おーい、そろそろ休憩にしないかい?」

と師に言われて畑仕事をしていた円澄と泰範は「はい!」と返事し、師のもとに駆け寄る泰範が右足を少し引きずるのを見て最澄は、

ここまで回復したか。と喜ぶと同時に刺客に襲われたあの恐ろしい夜を思い出しては、

泰範、不肖の我が身を庇ってくれて済まない…
と平城帝に命を狙われた。という最澄自身の深い心の傷が疼くのであった。

こうして茶の葉の香りを嗅いでいると、あの理想郷だった天台山での留学の日々を思い出す…

と農作業で疲れた最澄は畑の脇に腰を下ろし、あの仙境でただ仏の教えを学び、考えるだけの幸せだった日々が記憶の中で遠くなっていく事をひしひしと実感していた。

そして虚しさを覚えたら弟子たちを連れて比叡山の麓にある坂本という集落に降り、唐から持ち帰った茶の種を植えて苗から定植して作った小さな茶畑を育てるのが最澄の日々の慰めとなっていた。

帰国してからはや四年。
全ての衆生は等しく救われなければならない。という理想を掲げて海を渡り、天台教学を修めて帰国したものの…

全てが滞っている。

と半ば諦め気味に塩をまぶした握り飯を食い、竹筒の水筒で水を飲んで弟子たちと休憩する最澄のもとに、懐かしい客人が来た。

「なんだなんだお前は、坊さんを辞めて実家の農業でも継いだのか?」

と従者を連れてわざわざこの畑まで最澄を訪ねて来た貴人は和気広世。

3年前に暗殺者から最澄の命を救い、形だけは最澄と物別れして距離を取っていたが、

此度の平城帝の退位に伴い天皇の侍医としての任も解かれて今やっと、こうして同い年の親友として再会することが出来たのである。

「ああこれで、あの気まぐれな小才子から解放されたよ…」

と笑って地べたに座り、とても宮中では言えない上皇の悪口を呟くと勧められた握り飯を旨そうに頬張る広世を見て最澄が、

「これでやっと自由になれたというところですか?随分人間らしいお顔におなりだ」

と思ったままを口にした。

自由。

とつぶやいた広世は、

「いったん貴族家に生まれてしまったら、真に自由になれるのは死ぬる時のみ」

と少し曇りがかった近江の空を眺めながら言った。

その様子を見ながら、

主は本来の目的をお忘れではないか?

と心配した従者がえへん!と咳払いすると広世はあっそうだ。と受け取った文箱を最澄に渡し、
(本当に忘れていたのだ)
「指定の日にちと刻限に参内せよ。との帝の仰せだ。

…最澄、お前の本当の仕事は何だ?
お前は優秀で善良な僧侶で、天台宗の座主で、桓武帝から役目を授かった国家鎮護の僧侶ではないか。
やっと…やっとお前が陽の目を見る時が来たんだ」

と広世に掴まれた作務衣の肩に大粒の雫が落ちたのを見て最澄は、
「もしかして泣いておりますか?」
と尋ねると、馬鹿を言え!と広世はうつむき、「雨が降りだしたからさ」と袖で顔を拭いながら答えた。

「では作業小屋で雨宿りしましょう、なあに、三年ぶんの愚痴は聞いてさしあげますよ」

やがて大粒の雨が降り出し、(きぬ)(かづ)いだ広世を囲むように最澄と弟子たちがその場を離れ、大人の膝ほどの高さの茶の木からなる小さな畑は存分に恵みの雨を受け入れた。

最澄が種を蒔いて育てたこの畑が、日本で最初の茶畑だと言われている。


空海が大宰府から出立する少し前のことである。

宗像の邸に呼ばれて智泉と共に訪れると、入り口には背中が黒く、口元と腹が白い猫がふてぶてしく二人を出迎え、短い尻尾をぴん、と立てて主のいる部屋まで案内してくれた。

「叔父上、猫がほら、あちらにもいますよ」と智泉は主の部屋まで辿り着くのに計4匹の猫を見つけ、いちいち空海に告げた。

唐にも猫はいたが、雄か雌一匹で家一軒ぶん、(つがい)で家三軒ぶんの値で取引されている位高価なのでさすがの空海もで(あがな)うのを諦めたほどである。

古来より広い領土を持ち、大陸の渡来人たちとの取引で財を成してきた海洋豪族、
宗像氏の財と権力を見せつけられているような気さえしてくる。

「わし自身、金も力もある方の豪族の子だと思ってたのが間違いでしたわ。すごいもんですなあ…宗像は」

と宗像の女頭領イチキの饗応を受けつつも部屋を飾る唐の最新流行の調度品を誉めるとイチキは微苦笑しながら、

「当然さ、宗像は今の天皇家より金も力もある。
宗像は百五十年前に高市皇子(たけちのみこ)をお産みまいらせた国母、尼子様を出した家。
ねえ空海さん、これでお別れになるから好きなだけ食べな」
と気前よく言って夫たちに接待させた。

「へえ、では遠慮なく」

合掌してから悠然と杯を受けて口をつけるだけの空海を次女のタゴリと三女のタギツが名残惜しそうに見つめる。

「ねえ姉様(あねさま)ぁ、空海さんをどうしても引き留められない?姉様の六人目の夫にするとかさあ」

六人目の夫。と聞いて空海はぶっ!と吹き出し杯の中の酒を膳の上にこぼしてしまった。

「え…ちょ…五人も夫君がいらっしゃるのですか?」
「ここにいる全員、私の夫さ。欲しいと思ったら、手に入れなければ済まないのが私の性質(たち)でねえ」

と、上はイチキの正式な夫で表向きの頭領を務める30代半ばの男から一番若い20代前半までの5人の男たちを見回し、一妻多夫で女頭領が夫たちを顎で使い、領地を仕切る母系社会。

こういう家族のあり方でも円滑に回っている一族もあるんやなあ。

とほとほと感心していると、

「馬鹿をお言いでないよ、大事なつとめを果たしに旅立とうとしている男を止めるもんじゃない!」

とイチキが妹たちを叱り空海に向き直ると、

「最初に会った時はうぶだったけど…この数年であんた男の顔つきになったねえ。もう都に出しても大丈夫だ」

私が育てたんだから保証する!とでも言わんばかりにイチキはにんまりと笑った。

いいかい?都の貴族どもの見た目は金銀玉枝で飾られていても、心は化け物な連中ばっかりさ。
仏の教えを掲げ、そんな奴らと命懸けで渡り合うのがこれからのあんたの役目さ…気を付けな。

と写経で疲れた頭を休めに床に頬杖付いて寝っ転がっている間、空海はイチキの忠告を思い出し何度気を引き締めたことだろう。

空海と智泉が和泉国の槙尾山寺に逗留してから一年近くが経った。

伊予親王の死を知らされた叔父、阿刀大足はもう我の生きる望みは無くなった…と意気消沈していたところに空海と智泉が太宰府から駆けつけ、顔を見せるなり

「我の生きる望みは、伊予さま最後の望み…それはお前たちだったのだ」

と正気づいて空海と智泉を抱き締めた。しばらく声を上げて泣くと大足は過去を振り切るように、

「決めた。これからはお前たちを助ける事に余生を捧ぐ。もう泣き言は言わぬ」

と50代半ばの浅黒い顔を屹と上げてそう宣言した。

あれから一年。ここの僧たちに密教を教え、密教論を研究した書き物に追われてあっと言う間に月日は過ぎた。

叔父の助けも借りて古からの祭祀国家であるこの国でどう密教を浸透させていくか、他の宗派とどう落としどころを付けて共存していくか。自分なりの答えが解りかけていた頃に…

都の太政官より和泉守に向けて
「空海を京に住まわしめよ」
との太政官符が下った。

太政官とはこの時代、律令制下にあったこの国の司法、立法、行政と司る国家最高機関であり、太政官符とは国家が発行した公文書のことである。

つまり空海は国家の命で留学放棄の罪も許されもう咎人ではなく堂々と入京できるのだ。

使者より渡された太政官符を押し頂いた空海は、
「仏の教えを掲げ、命を懸けて貴族たちと渡り合え」という宗像の女頭領の教えを思い出し、
戒明さま、恵果さま、そして、伊予親王さま。

わしの僧侶としての生き様見ていて下され。と、今は泉下にいる師匠たちと伊予親王に向けて語りかけた。

大同4年7月、入京した空海は

「また会えましたなあ」

と高雄山寺講堂に保管されていた曼荼羅、仏像、密教法具たちに語りかけ「残りのお仲間も連れて来ましたえ」と槙尾山寺から運んで来た残り半分を正しい位置に直させて安置した。

恵果さま、あなた様の形見すべて揃いましたぞ。
この空海、大事に使わせていただきます…

と向かって右に胎蔵界曼荼羅、左に金剛界曼荼羅の両部一体の密教のご本尊を前に順宗皇帝から下賜された翡翠の数珠を手に掛けて合掌してから、

「あのう、さっきからええ香りさせてこっちを見ているのは、どなたはんで?」

と講堂の隅から自分に注がれる視線を感じ、空海は振り返ってそこにいる背の高い僧侶に話しかけた。

あ、あの…とその40過ぎと思われる帽子(もうす)を被った僧侶は緊張し、いい香りのする紙袋を抱いてもじもじしている。

さては、極度に人見知りな僧侶なのかな?

と思って空海はいきなり歩み寄ろうとはせず、
「我は空海阿闍梨。本日入京致し、高尾山寺に参りました」
と合掌すると、僧侶の紙袋からぷん、と香る懐かしい香りに、

「それは唐の茶、ですか?もしや、貴方は」
「さ…最澄です。どうぞよろしく」

と数歩近づいて来た最澄は空海に向かって律儀に頭を下げた。
この方が、天台宗座主の最澄さま?
想像してたより恭謙そうなお方だな…ここはとりあえず相手の心をほぐそう。
と思った空海が取った行動は、

「いやあ、実はわしも最澄さまにお会い出来ると聞いて贈り物を用意してたんですが」

と、講堂の壁際に置いた背負い籠から引っ張り出した紙袋を開いて見せた。芳ばしい唐茶の香りが最澄の鼻腔をくすぐる…

なんと、互いに同じ品を贈り物として持って来てたのか!

可笑しくてたまらなくなった最澄は、あはははは!と空海を指差して笑い出した。

「よいですか、初めての謁見だからといって緊張しすぎて粗相をしてはなりません。

帝に話しかけられるまでは、頭を垂れて黙っていること。
(おもて)を上げよ、と言われて初めて顔を上げるのです。
それと、目線の高さは決して帝より上になってはいけません…」

と応天門をくぐり、謁見の場である大極殿まで向かう最中、(くど)いくらい宮中での礼儀作法を説明しながら先導する最澄に、空海は律儀にはい、はい、と返事しながら、

最澄さま、相当な教え好きやな…

と少し呆れつつも神妙に彼の後を付いて行く。
やがて大極殿に辿り着いた空海は
「この位置でお待ち下さい」と藤原三守と名乗る若い貴族に指示され、それを合図に最澄は空海の傍から離れて、向かって左斜め前の位置の、ちょうど自分と天皇の座の中間にあたる場所で頭を垂れた。

「俗名、佐伯の真魚こと空海、罷り越しました」

三守に促されて空海は名を名乗り、

「お前が空海か…朕は」と頭上からかかる朗々としたお声が感極まったように止まり、
「よい、面を上げよ。大足からお前の話を聞いて8年…やっと、やっと会えたな」

帝に促されて空海は顔を上げ、そこで初めて嵯峨帝と空海は目線を合わせた。

年は35だと聞いたが…なんと、少年のような顔つきではないか。

と嵯峨帝は驚き、

思っていたよりは随分お若い、覇気溢れる帝やな。

と空海は心躍った。

それが、この国のあり方をことごとく刷新した二人の出会いであり、学生佐伯真魚が都の崩壊で政治に絶望し、世を見限ってから17年。

虚しく行きて実ちて帰った空海は満を持して嵯峨帝に謁見した。

昔、一匹の魚から広大無辺な空と海となったある僧の長い旅が、(あるじ)との出会いで終わりを告げた。


遣唐終わり、第三章「薬子」へ続く。


































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



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