第109話 訣別

文字数 4,481文字

あれは帰りの遣唐使船が来るまでの間の事だった元和元年の春(806年4月)。

空海は文学、美術、医学、天文など百六十巻近くの文物を書写する自分に鞭打つ勉学の合間に予てよりお会いしたかった越州龍興寺の順暁阿闍梨(じゅんぎょうあじゃり)を訪ね、

「まさか恵果阿闍梨の正統後継者にお目にかかれるとはこの順暁、夢にも思いませんでした!」

と人の良さそうな初老の僧に涙ながらに合掌され拝跪されるという熱烈すぎる歓迎を受けた。

は、はあ…と内心尻込みしていた空海を前に順暁は、

「拙僧は確かに密教の阿闍梨ではありますが、その流れは善無為(ぜんむい)さまの弟子の義林さまに師事した泰山派の傍系…やはり直流の青龍寺とは格が違うのです」

と二十近くも年下の客にさらに帽子を被った頭を垂れて恐縮した。

そんな順暁に空海は、

「阿闍梨は恵果さまの師不空三蔵さまにも師事なさった事があるとお聞きしましたよ。ならばあなた様は密教における大先輩ではありませんか」
と心からの敬意を込めて答えた。

「それを言ってくださると本当に嬉しい」

と順暁は破顔すると、一年前にこの寺で最澄という名の留学僧に濯上を授けた事を語った。

「ちょうどこの寺を留守にしていた拙僧を天台山に追いかけて来てまで教えを請いたい、という熱心さに打たれてかなり短い期間でしたが密教を講義し、濯上まで授けました」

しかし…と順暁はそこで言葉を切り何か言いにくそうにしていたがやがてええい!と思い切って、

「お願いがあります、空海阿闍梨」と胸の中にある危惧を打ち明けたのだった。


それから十年後の弘仁七年五月(816年)、高雄山寺。

「もう限界です…助けてください!」

引き取って二年になる弟子の泰範に最澄からの帰山の催促の文を見せられ、
泣きつかれた空海は泰範が怒りの余りもう返事の文の一文字も頭に浮かばなくなってしまったという最澄の一文、

なんぞ図らん闍梨(泰範のことを指す)
永く本願に背いて久しく別所に住せんとは。
蓋し劣をすてて勝を取るは世上の理なり。しかれども法華一乗(天台宗)と真言一乗(真言宗)と何ぞ優劣あらんや…

泰範阿闍梨よ、図らずもあなたは私の教えに背いて今は別々に暮らす身になってしまったね。

確かに劣っているものを棄てて優れたものに乗り換えるのは世の理。それは仕方無いでしょう。

しかしながら、私の唱える天台論と空海阿闍梨の唱える真言論に差は無いと思うのですが。

ああ、やはりというべきか。

空海は怒りの余り目がちかちかして文から目を背けた。感情に任せて文を破り捨てなかっただけでも上出来だった。

最澄和尚はわしが説いてきた密教というものを何も解ってらっしゃらないのだ。

帰国してから八年、唐からの帰国僧としてお互い友誼を保って来たつもりだった。

あの方が他宗派の僧侶たちから嫌われようともご本人は温和な方だから密教の研究という一点で気持ちよく付き合えて来たつもりだった。

最澄の言動にどこかに違和感を覚えながらも、
真言密教生き残りのため他宗派の僧侶を敵にしないように。

と立ち回って来た空海の感情を抑えていた蓋が外れ、まるで火口から噴き出す溶岩のような怒り、失望、無念などの様々な思いが沸いた。

こめかみに血管を浮かべ息を乱しておられる師を前に泰範は兄弟子をお呼びしよう、と立ち上がりかけたがその肩を空海が押さえ、

「よい、お前が返事を書けぬのならわしが代筆しようではないか」
と言いながら浮かべた薄い笑いが泰範にはとても恐ろしいものに見えた。

思えば二年半前の泰範が空海阿闍梨の弟子になる直前、最澄和尚から密教の真髄である理趣経の貸借を求める文が届いた。

その文を読んだ空海阿闍梨はかなり分かり易く眉を顰めてから「あの経典だけは秘中の秘であり修行を深めた者しか知る事は出来ないのに」と、

早速長い返事の文をしたためた。
先ずは
可聞(聞くことができる道理)、可見(見ることができる道理)、可念(思うことができる道理)、心の理趣、仏の理趣、衆生の理趣、文字の理趣、観察の理趣、実相の理趣、の基本の九つの理趣について説明し、

加えて最澄の理趣、空海の理趣、

もし、あなたが自らの理趣を求められるのであればそれは御身の中にあるはずで、私に求めるべきものではありません。

また、密教はその奥義を文章にする事を重んじておりません。ただ、心を以て心に伝える以心伝心を大事にしております。

恵果和尚より正統密教を師資相承された私空海もこの戒めを絶対に守らなけらばならない立場にあります。どうかご理解ください。

という懇切丁寧な内容の長い断りの文の中に、

文字や文章はその目的を果たしてしまえば瓦礫と化してしまいそれのみに執着するのは物事の実質は無いのです。

さて、あなた様はすでに悟りを迎えた仏として生きとし生きるものを救済しようとなさるのかそれとも凡夫(仏の教えを理解していない愚か者)として自分を高めようとなさっているだけのお方なのでしょうか?

と、誰よりも経典の書写をしてきた最澄の生き方を否定し、

それともあなたは凡夫なのですか?

という揶揄まで匂わせて激烈な皮肉を書いた。

わしの言いたいことは全て書いたつもりや。これで最澄和尚が激怒してわしと断絶しても構わぬ。いいやむしろそうなって密教の事も諦めて欲しい。と目論んだものの…

泰範が阿闍梨号を授かれば密教をそのまま比叡山に持ち帰ってくれるという望みをまだ捨てていなかっただなんて!

怒りすぎて血が上った頭を鎮めるためにひとまず息を整えて瞑想をしてから文机に向かった。

順暁阿闍梨よ。あなたが最澄和尚に抱いた危惧、

「最澄が法具を作らせた時に気づくべきでした。彼は濯上を受けたことで密教を体得したと勘違いしたかもしれない。

秘法も授かっていない者がそれを行うのは極めて危険な事です…もし最澄が己が野心のために密教を歪めようとする動きあれば是非止めて下さりませ!」

という願い、今実行する時が来ました。どうやら最澄和尚の目的は秘伝さえも全て文書にする密教の顕教化。

そんなことになっては密教は滅びてしまいます。

大日如来より八代続く密教を守るために、弟子泰範を師の執着から守るためにわしは敢えて、
修羅となります。

書き上げた手紙を読んだ泰範は最初は面食らった。これは空海阿闍梨にしては直情的過ぎやしはないか?と。

しかし、我、泰範の今の心情を表すのにこれ以上の文はない。と思い、

「このままでようございます」と顔を上げた。
「さよか」

文を挟んで師と弟子は沈黙していたがしばらくすると空海が「しかしこれでわしは後の世の者からなんて大人げない奴だ。と笑われような」と床にごろりと寝そべり、

「四十過ぎてやっと解った。人間、保身のために怒るべき時に怒らないのは生きながら死んでるのと同じや」

と言い放つと僧衣の袖で目を覆ってはは…と乾いた笑い声を立てた。

もう、これでいい。わしはあの方に伝えるべき言葉を現世で使い果たしただけなのだから。

さて
比叡山寺で返事の文を受け取った最澄は…

顕密(けんみつ)の教え何ぞ浅深(せんしん)なからん。
真言の醍醐(だいご)耽執(たんしゅう)して未だ髄他(ずいた)の薬を嗽嘗(しょうたん)するに暇あらず。

顕教と密教に浅い深いの差は無いとどうして言えましょうか?
私は今、真言の教えに心酔しています。天台の教えに見向きする暇もありません。

という明らかに空海の筆跡による一文を目にして、

ああ、私はとうとう最愛の弟子泰範に拒絶されて空海阿闍梨を激怒させてしまったのだな…

この世で最も解り合えていると思っていた二人に私は見限られてしまったのだ。
という臓腑さえももぎ取られたしまったような喪失感でへなへなと講堂の床に手を付いた。

密教さえ、密教の経典さえ手に入れて天台教学に組み込んでしまえば今まで私を否定し疎んじてきた奈良の僧侶たちに認めてもらえると思っていたのに。

どうして密教しかしてきていない空海阿闍梨は皆に好かれ、誰よりも佛の言葉を取り込もうと努力した私が皆に嫌われるのだ!?

ふと目を上げた先に掛けられた曼陀羅さえも破り捨てたい衝動に駆られて手を掛けたが、

やめろ最澄!
と画の中の仏たちに睨まれたた気がしてすんでのところで止めた。

次に書庫に入り、今まで書き貯めてきた経典が棚の中にずらりと並んでいるのを見て、私がやって来た事は瓦礫の蒐集だったのか…と全て焼き尽くしたい虚しさに襲われてもそれも出来ない。

空海阿闍梨の仰有る通りだ。

私の正体は得て来たものを全て棄てられない欲に満ちた凡夫だったのだ。

文を片手に最澄はふらふらと外に出て、琵琶湖を一望出来る場所に立っていた。

初夏の湖の水面は日の光を受けて輝き、死にたいくらいの絶望をしばし忘れさせてくれた。

その時、

「水清ければ魚棲まず。自分が説く教えを自分で信ぜずしてどうして人を惹き付けられましょうか?」

と昔、自分に忠告してくれた老僧の言葉を思い出した。

「あなたの理想は高すぎて心は潔癖過ぎてなかなか人は寄って来ないよ」

「お待ちください!僧侶どの、お名前は?」

「華厳宗、戒明(かいみょう)」と老僧は名乗って去って行かれた。

思えばあのお方だけが、苦に満ちた現世で佛の教えを信じていないくせに佛の言葉にすがり付いている私の自己欺瞞を見抜いておられたのだな。

後継者にも理解者にも去られた私はどうすればいいのか。

再び最澄が琵琶湖に目をやった時に背後から前方から幾人もの手が袖を取り、肩や腰に絡んで、

「お願いですからおやめになってください!」
と自分に縋りついた。顔を見ると円澄、義真、光定らを始めとする十人近くの弟子たち。

皆、泣きながら口々に、
「確かに弟子を奪い、文で凡夫だの教えの盗人だの罵った空海阿闍梨の仕打ちは余りにもひどい…」
「だからと言って早まった真似はお止し下さい!」と師が自死しやしないかという心配を吐露した。

私は何もかも失い何も得ていないだなんて、それは大きな勘違いだった。

奈良仏教を棄てて三十余年、どんな苦境にあっても他宗派勧誘の靡きにもめげず私に付いてきてくれた弟子たち。

最初から素晴らしい宝物を既に私は持っていたではないか!最澄は弟子たち一人ひとりの肩を抱いて、

「あなたたちは早とちりだね、私はそんなことは決してしないから」と目にうっすらと涙を浮かべて微笑んだ。

「私亡き後の天台宗の後継者は円澄とする」

その言葉に円澄は深く頭を垂れて合掌し、周りの弟子たちはわっ!と沸き立った。

空海阿闍梨。
確かに貴方のご指摘通り私は今まで独善に凝り固まった凡夫でした。

なれど、凡夫からまた仏弟子となり弟子たちと一からやり直すつもりでいます。

泰範、長年お前に甘えきって済まなかった。元気でな。

「さあ寺に帰ろう、今後の事を色々伝えなければならないし忙しくなるぞ」

こうして最澄の心の中の湖にようやく小さな生き物が棲み始め、長い時をかけて万物を育む湖となる。

弘仁七年(816年)六月十九日、修禅の道場として高野山の下賜を請い、七月八日には、高野山を下賜する旨勅許を賜る。

そして高野山の開創に着手するために空海は…

「実慧、泰範。高野山の現地調査を頼む」

と二人の弟子に最初の聖域派遣を命じ、

「畏まりました」

若き阿闍梨たちはその名誉を誇りに思い師に向かって合掌した。




















































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



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