第9話 東宮の魔女

文字数 4,407文字

庵にも、冬が訪れた。

「さて真魚」
 と戒明と勤操が並んで座り、きびしい顔つきで真魚の目を見つめた。
 
「お前はここで仏道修行に入って早や四年、山岳修行に明け暮れ、山のかたち、日の動き、星の運行で自然の(ことわり)を己が身で学んだ」
 
「仏教の経典も、この勤操が出来る限りの手を尽くし、各寺に入れて読んで覚えた
…最初はすぐに逃げ出すと思うたが、お前はよくやった」
 
さて、と老僧と中年の僧は声を揃えて問うた。

「俗世と決別し、仏の道に入る決心はついたか?」

「はい」
 真魚にもう迷いは無かった。庵の戸の隙間から流れ込んでくる風の冷たさが、頬に心地よかった。
 
「では、家族に文を書きなさい。お前の強い決心を気持ちのままに書くのだ」
 
「特に、叔父の大足どのを納得させる内容でなきゃ、な」
 急に表情を緩めて、勤操はぎゅっと片目をつぶってみせた。
 
延暦十六年(797年)十二月、佐伯真魚は出家の決意表明である長い長い文を書き始めた。
 
これが、日本初の戯曲「聾瞽指帰(ろうこしいき)」となる。
 
翌年の春、新都平安京の内裏の一室でひとりの女官がこっそりと、みずら頭が似合わない位背が伸びた少年に巻物を渡していた。
 「こんなことして、お前が父上に叱られるのではないか?明信(みょうしん)
 
と言いながらその巻物を受け取り、早速広げて読み込むのは十二歳になった神野親王である。
 神野が明信に頼んで持ってきてもらった書は、この時期、禁書扱いされていた「万葉集」であった。
 
なぜ、万葉集が禁書にされたのか?
 
それは選者の大伴家持(おおとものやかもち)が十三年前の藤原種継暗殺事件の首謀者として扱われ、万葉集も宮中に没収されたからである。
 
だから宮中の書庫から万葉集を取り出して皇子に読ませるなどというのは、いくら桓武帝のお気に入りの女官明信であっても、厳しいお叱りを受けてしまうのではないか?
 
と神野が明信の心配をするのは、当たり前の事であった。
 
「いいえ、親王さま。帝は親王さまの『宮中に居て民の心を知る術は、万葉集を読むしかないのに』というお言葉に納得され、
書を読ませるだけならいいではないか、しかし、こっそりとな。と仰せでしたよ」
 
本当か!と神野は久しぶりに笑顔になった。いつも一緒に遊んでいた異母弟の大伴親王にも専属の養育係が付いて、会える頻度が減ってしまった。
 
仲の良かった藤原三守も年明けに元服し、儀式や宴には以外あまり会えなくなって神野は寂しさでうつむく日々を過ごしていた。
 
「なぜ三守に会えないのか?」と明信に問いただすと
 
「親王様と三守どのでは、ご身分が違うのですよ」と口調は優しいが、厳しい現実を伝える答えが返って来た。
 
「お聞きください、三守さまはお優しくて学業優秀ですが、生まれは藤原南家の五男。従六位ではみだりに宮中に上がれません」
 
「親王の私が呼びつけてもか?」
 
「浅葱の袍(六位以下の文官の服)で宮中に来て周りにいじめられるのは、三守どのですよ」
 
とまで言われた神野は、周りの侍女たちが心配してしまうくらい元気が無くなってしまったのである。
 
さすがにその報告を聞いた父桓武帝は、「そうか、三守は従六位下で元服したから滅多に会えなくなるな…書を読んで寂しさが紛れるならいいじゃないか」
 
と書庫の中から万葉集を一巻ずつ渡して、読んだらすぐ明信にだけ渡すのだぞ、という条件を付けて神野に読書を許可した。

数年後、桓武帝は息子に万葉集を読ませたことを激しく後悔する…。


この女は、こんなに艶めかしかったか?
 
皇太子安殿(こうたいしあて)親王は暗い室内で灯火に照らされた女の胸元に、思わず目をやってしまった。

愛していた后、藤原帯子(ふじわらのたらしこ)が逝ってしまって四年近く経ったある日、父桓武帝が
 
「そろそろ新しい妃を迎えてはどうかね?朕も不遇にある式家の娘を助けたいのだよ…」
 
と有無を言わさず押しつけられた新しい妃は…まだ十二の子供ではないか!
 
自分のそばですうすう寝息を立てる幼い妃の寝顔から目を反らし、安殿は絶望的なため息を吐き出した。
 
無理もない。安殿は二十四歳で病弱ながらももうとっくに大人なのである。
 
顔は母の皇后、乙牟漏に似て色白で端正なのだが、目元がいつも神経質そうに引きつっている。
 
安殿は生来感情の振り幅が激しく、具合がいい時は快活な青年なのだが、ひとたび激昂すると誰彼かまわず暴力を振るい、舎人たちが押さえ付けるまでそれは止まない。
 
后の帯子が早逝したのも、安殿の世話に疲れてお命を縮めなさったのだ。とか、いや、ご自分からお命を絶ったのではないか?と宮中では噂されている。
 
ここ東宮では皇太子として形だけは丁重に扱われているが、裏では、
 
「ああ…早くあの安殿さまのお世話から解放されたい!」
 
とこぼす者ばかりである。
 
私の理解者は、春宮大夫(皇太子の使用人の長)の藤原葛野麻呂(ふじわらのかどのまろ)だけだ。気まぐれな私に何度殴られても根気よく仕えてくれる。
 
「大丈夫です。春宮さまは皆が噂するような暗愚な方ではございません。ご病気であろうと帝の周りの貴族がしっかりしていれば政治はうまく回っていくものなのです」
 
とにっこり笑って私の手を包んでくれた。その時葛野麻呂の頬には痣が付いていた。
 
失礼、といって懐紙で鼻血を拭う葛野麻呂の様子を見て安殿は、
 
生まれて初めて人に対して済まないことをした、と思ったのである。
 
思えば死んだ叔父の早良の代わりに立太子したのが十一歳。
 
東宮住まいになり父母から離され、使用人の春宮坊たちから「今度の皇子さまははずれだな」とは半分馬鹿にされて育った。
 
ある日、「おっと失礼」とわざとぶつかってきた春宮坊の態度が許せなかったので、怒りに任せて「無礼であるぞ!」とそいつの刀を抜き、腹を刺した。
 
思ったより多くの血を地面に垂らしてその春宮坊は死んだ。
 
それから馬鹿にされることは無くなったが、「早良様の祟り憑きの皇子」として周りから恐れられるようになった。
 
后の帯子も心根は優しい娘であった。いくら頬をぶたれても、背中を蹴られても「私が悪いのですから」と許してくれた。
 
しかしある日突然、几帳台に胸紐をかけて、自ら首を吊って死んだ。
 
ああ…自分のせいなのか、とその時も安殿は深く傷つき悲しんだ。
 
帯子を愛していた。が、自分の暴力を自分で止められないのだ。
 
私からうまく逃げ回ればよかったものを。耐えた帯子も、死んで私から逃げたのだ。帯子も悪いではないか。
 
自分は皇太子なので、面と向かって叱る相手が安殿には居なかった。それが、自分は悪くない。自分を苛々させる周囲が悪いのだ。
 
という身勝手な思考回路を安殿は構築させていく要因となった。

疳気(かんき)(ヒステリー)の病を治すのは自分自身でございます。我儘が過ぎるから周りが離れていくのですぞ!」
 
と初めて自分を叱ってくれたのは父帝ではなく、帯子が死んで間もなく春宮大夫として自分に仕えるようになった葛野麻呂であった。
 
全部、自分のせい?本当の事を言われると人は激怒する。その時も「うるさい!」と葛野麻呂の頬を強く打った。
 
前の春宮大夫や春宮坊たちは「失礼しました」とそそくさ逃げるのに、葛野麻呂だけは違った。
 
子供を慰めるように両手を包んで「あなたは暗愚ではない」と初めて人から心をこめた言葉をかけられたのだ。
 
なぜか、安殿の頬には涙が伝い落ちていた。
 
「悪かった。これからは怒らないようにする」
 
ああ、人に謝るのもまた、生まれて初めてだった。
 
それから安殿の暴力は次第に減っていった。弟、神野が生まれてから愛情と期待を弟に注ぐようになった父帝も、
 
「そうか、病気が収まって来たのなら少しは期待してもよいのか、な?」
 
と時間を見つけては自分に会いに来てくれるようになった。
 
しかし、父帝の「期待」が、安殿には重苦しかった。
 
私はやっぱり孤独だ…東宮に閉じ込められて、私の暴力癖が収まったからと、今度は藤原式家の幼い姫を私に押しつけた。
 
なんでも昔、暗殺された種継の孫娘というのだが、父上はむざむざ死なせてしまった腹心の孫と自分をくっつけて、罪滅ぼしをしたいだけではないか?
 
人形のような可愛らしい娘と添い寝するだけの夜がひと月以上続いた。
 
寂しい夜を過ごしてもしょうがない。今夜は気に入っている宮女、伊勢継子(後に高岳親王を産む)のもとへ行くか…
 
と夜着のまま床を離れて立ち去ろうとした時、
 
「お待ちください、退屈でしたら娘の代わりに話し相手にはなれましょう」
 
と幼い后の母親が鈴の鳴るような声で話しかけてきたのである。
 
娘の介添役として付いてきた女。最初は、地味な女だなと思った。
 
この時までろくに顔を見たことも無かった。
 
「話し相手か…面を上げよ」
 
その女が、は、と畏まって下げていた頭を上げると、はだけた胸元から見える胸の谷間に、目が引きつけられた。
 
なんと肌理の細かい肌だ、と安殿は思って女の顔に目を遣ると、そこにはとても三十過ぎとは思えぬ若々しく美しい女が、
 
自分を見て微笑んでいるのである。
 
ああ、女人の笑顔とはかように美しいものなのだな!と安殿は女の前に座り、「さあ、どんな話で私の憂さを晴らしてくれるのかな?」と問いかけた。
 
はい、と女が安殿の耳元に唇を近づけて囁いた言葉は、「何だって!?」と安殿を恐れ慄かせるものであった。
 
「そんな馬鹿な…いや、『ありえなくはない』、考えてみれば何もかもおかしいのだ、あの事件は…
死後七十日も経った大伴家持が、首謀者だなんて強引な処分をなさると当時は思っていたが」
 
「種継の遺児であるわたくしは、ある人物から真相を聞かされました」
 
そう、長岡京からこの平安京に移って四年。全ての忌事の原因は早良親王の祟りとして「処理」されてきている。
 
種継暗殺事件から十三年経ったいま、新たな疑念が貴族たちの中にあったが、それを口にすれば命が無い。
 
安殿の胸の奥で何かがひびを立てて割れ、そこから生まれた漆黒に、心の全てが吸い込まれるような気がした。
 
ああ、心が、無くなって行く…
 
「親王様、お辛いことは何もかもわたくしが忘れさせてあげます」
 
と女は安殿の手を取り、親王の小指を優しく噛んだ。
 
安殿はいつの間にか女を押し倒していた。嬉しそうな悲鳴を密やかに女は上げた。
 
強引に女の上着をはぎ取り、見た瞬間から、その白い肌に顔を埋めたい!と思っていた通りのことを安殿は実行した。
 
陶器のように滑らかで、温かく柔らかい女の体中を触り、息を弾ませて女の体にのしかかった。
 
忌まわしい話を忘れるには、目の前の女に溺れるしかなかった。
 
「女、名は?」行為の最中の安殿は女の名を問うた。
 
「く…薬子(くすこ)と申しま…す…」喘ぎ声を手の甲で抑えながら、藤原薬子は答えた。
 
安殿と薬子は、一晩中房事に耽った。母親と夫の声に気づかないほど、后である姫は熟睡しきっていた。

藤原種継を暗殺したのは、桓武帝。

と聞かされた夜から、安殿の人生は狂い始める。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み