第69話 宮女明鏡

文字数 5,633文字

お母さまがお亡くなりになられて七日後の夜おそく、

藤原乙叡(ふじわらのたかとし)と名乗る殿方がこっそりとお家を訪ねて来られた。

「実は私は、お前の叔父なんだよ…おいで、明鏡。私がおばあ様の元に連れて行ってあげるからね」

と品の良いお顔に微笑みを浮かべた乙叡おじ様に響き良い低い声で言われたので私はつい気を許し、差し伸べられたおじ様の手を取ってしまった。

…御車に乗せられて連れて行かれた所は長い長い壁に囲まれたずいぶん大きな街の奥にある大きなお邸。

乙叡おじ様に抱きかかえられて御車を降りた私は、お邸の入り口でまずおばあ様に迎えられた。

色鮮やかなお衣装に身を包み、白粉を塗ってきちんとお化粧なさっているおばあ様のお顔は見るのは初めてで、この時のおばあ様はどこか冷たくて、怖い。と子供心に思ったものだ。

おばあ様に手を引かれて長い廊下を幾度か曲がって一番奥まった部屋で持っておられたのは、かなりお年を召された殿方だった。

「…明信、この子が!?」「はい、そうでございますよ山部王(やまべのおう)さま」

その方はおばあ様とうなずき合い、涙を浮かべた目で私の顔を覗き込むと、次にひし、と強く抱きしめて下さった。

「お前の将来はこの(じじ)が保証してあげるからね、明鏡」と白い顎ひげを頬に擦り付けながらその御方は宣言なさったのだ。

そう、この御方が私の実の祖父、桓武天皇。おじい様の腕に抱かれた時から私の宮女としての人生が始まったのだ。

あの時、生まれて初めてお家から連れ出された私が街、と思っていたところが、

内裏(だいり)

という最も高貴な方々がお住まいになられるところだと知ったのはかなり後になってからの事だった。

もし、あの時私が乙叡おじ様の手を取っていなかったら…
今は中納言である実父、藤原葛野麻呂(ふじわらのかどのまろ)さまに引き取られて北家の姫として育つ人生もあったのではないか?

大同4年(809年)盛夏、

重い悪阻(つわり)で寝付いている宮女明鏡はきれぎれに見る短い夢の中で百済王家(くだらのこにしきけ)の別荘である蓮池の邸で育った子供時代を思い出しては…

後悔しているの?明鏡。
いいえ、嘉智子さまと今上の帝は主として申し分ない方々。

身籠った明鏡を苦しめているのは悪阻だけではない。

もし生まれて来た御子が皇子であったら、野心を隠さない性質(たち)である父、葛野麻呂が皇子さまの外戚として名乗りを上げ、明鏡の今の立場を脅かすのではないか?

という懸念であった。

私が、嘉智子さまと寵を争う?そんなことは絶対嫌だ。

やはり帝に相談をして、父とのことをはっきりさせねば。

と心を決めて枕の上で吐息を付く明鏡に「ご気分が悪いのですか?」と看病役の宮女、百済王慶命(くだらのこにしききょうみょう)が心配顔で声を掛けた。

明鏡の懐妊が発覚し、これ以上無理をすると流産の怖れがあるという空海の診断を聞き入れた嵯峨帝は早速明鏡を床に付かせ、嘉智子の世話役は百済王貴命(くだらのこにしききみょう)に。明鏡の看病役は貴命の姪の慶命に。と差配なさった。

「いいえ、却って気分いいくらいよ。それより嘉智子(かちこ)さまのお具合は?」

と尋ねる明鏡に慶命は最初は呆れ、次に17才の少女の純粋さゆえか、

「それより…って明鏡さま。今はあなた様のお体とお腹の赤さまに気を掛けるべきなんじゃないですか!?」

と、自分より遥かに先輩の宮女を叱りつけてしまった。が、すぐに我に却って「ご、ごめんなさいまし…」と慌てて謝罪する慶命の態度があまりにも素直なので、

若さって羨ましい、と思った明鏡は自分もまだ二十歳なのに…と苦笑したのであった。

宮中で忍従と忠誠を当たり前とする暮らしをしていると、急速に心が年老いてしまうものなのだ。

「御免なさい、謝るのは私のほうね…ねえ、帝はまだ後宮にいらっしゃるの?」

「はい、今はお妃さまのところにおいでですが」

「すぐに帝にお話したき事がありますから、行ってお伝えして。お願い」

明鏡の必死な声に慶命はすぐさま立ち上がり、妃の高津内親王の部屋に向かった。

間もなく、嵯峨帝が明鏡の枕辺に座ると「具合はどうだ?」と明鏡の頬に手を当ててやつれたな。と思った。

夏の暑さと重い悪阻で瓜と粥と薬湯以外は全部吐き戻してしまう明鏡のからだはひと回り痩せ、顔色もよくない。

今年に入って嵯峨帝の妻たちが次々と懐妊したのは喜ばしい事ではあるが…半面、お産で命を落とす母親も多い時代だった。

嵯峨帝が空海はじめ医僧や侍女たちの人数を増やして妊婦たちの看護に細やかに気を配ったのは…
ふた月前、同母妹の高志内親王(こしないしんのう)を産褥で亡くしたからである。

ほおら、見て下さいませ。玉のような皇女(ひめみこ)さまですよ!
と命婦が赤子を高志に抱かせようとした時、高志は既にこと切れていた。
まだ21才という若さだった。

高志の夫である大伴親王(おおとものしんのう)は虚脱状態で赤子も抱けず、自室にこもりっきりでいた。

「せめて父親であるお前がしっかりしていなくてどうする!?ほら、こんなに美しい姫ではないか」

と兄として叱咤するつもりで大伴の前で赤子を抱きあげて見せたのだが大伴は、

「実の父である私より先に抱くなんて…!
即位なされたらさっそく天皇家の家長づらですか?偉そうに。
多くの妻を抱えていらっしゃる帝に最愛の妻を失った私の気持ちなんて解りはしないんだっ!」

とひったくるように赤子を取られ、一番仲が良かったはずの弟に嫌味と嫉妬の言葉を投げつけられた嵯峨帝は心は傷つきながらも娘を抱いて泣く大伴に、

「お前と高志の夫婦仲の良さを朕は羨んでいた」とみずからの本心を告げた。

大伴ははっと顔を上げた。

「宮中の噂通り、朕と妃の高津との仲はあまり良くない…5才と6才の頃から許嫁(いいなずけ)として過ごし、どんなに心を砕いても溝が埋まらないのだ。

何故だろう?朕は悩んだ。ある時、何かのきっかけで高津と口論して『お兄さま』と呼ばれて気づいた。
やはり高津にとって朕は兄でしかない。最初から朕は夫として男として愛されていないのだ…」

肩を落として大伴の前で腰を下ろす嵯峨帝の眼から涙が溢れて嵯峨帝は両手で顔を覆った。

兄上が、お泣きになっている。

幼い頃より父桓武帝から一番に目を掛けられ厳しく教育され、誰の前でも泣き顔を見せた事の無い兄上が…

「解るか?高志を失って辛くて苦しいのはお前だけではない…朕も母を同じくする妹を失ったんだぞ…お前との間に生まれた子らも、母を失ったんだぞ。皆、辛い」

背後に控えていた大伴の従者、藤原吉野(ふじわらのよしの)につと差し出された懐紙で涙を拭った嵯峨帝はすまぬ、と吉野に言うと大伴に向き直り、

「この子の名は?」と問うた。

「は…この大伴、悲しみ過ぎて我が子の名すら思い浮かびませんでした。先程の非礼、お許し下され」

我が悲しみの沼に溺れてきっていた大伴はやっと正気づいて兄帝に謝し、生後間もない我が娘を嵯峨帝に抱かせた。
腕の中の赤子は目元が高志に似ている。そう思うと半分嬉しく、半分切ない。

高志よ…花が開くように笑い、お兄さま、お兄さま、とゆったりとした口調で話しかけてくれたお前は、もういない。

しょうがないなあ、と嵯峨帝はお笑いになり「朕が名付けてもよいか?」と聞くと「帝に名付けていただけるのは光栄です」と大伴は愛妻を失って以来初めて目に輝きを取り戻した。

「これよりこの子を、貞子(ていし)と名付ける」
「ありがたきしあわせ」

女人というのはわが命と引き換えに子を産み、遺すことでしか生きていた証を刻むことが出来ないのであろうか?

父上、伊予の兄上、そして高志、朕はこれ以上家族を失うのが、恐い。
「頼む…いかないでくれ明鏡」と明鏡を抱きすくめた嵯峨帝は思わず口にしていた。
その時、抱き締めた相手の口から発せられたのは…

「何言ってんですか大袈裟な。見かけほど弱っていませんし、細身なのは元々です」

という意外と活力のある声と相変わらずのずけずけとした言葉。
え?
慶命の様子がただならなかったのでまさか急変したのか?と思い急いで空海までも呼びつけてしまった。

朕としたことが何という早とちりを!と顔を赤くする嵯峨帝に明鏡は、ああ、自分はこの方に本当に必要とされているのだ。と心から嬉しく思い、肝心の話を切り出した。

「では、阿闍梨がいらっしゃる前に話してしまいますね。生まれて来る子の処遇についてお願いがございます」

と、明鏡が嵯峨帝に耳打ちして話した事は…嵯峨帝が思い付かない程の妙案であった。まったく、明鏡の聡明さは時として朕を上回る!

「確かに。北家からお前を守るにはそれしかない、と朕も思うのだが…明鏡、お前は本当にそれでいいのか?」

「ようございます、この明鏡、嘉智子さまと帝に生涯仕える宮女として生きる覚悟はできております」

「解った、先に手を打つか、朕から中納言に話を付けるか、どっちがいいと思う?」

「勝手に事を進められると父の恨みを買いましょう。まずは直接お話を」

「解った」
と嵯峨帝がうなずくと明鏡は「ああ、安心したから何だかお腹が空いて来ちゃった!」といつもの溌剌とした声で自分のお腹をさすった。

「瓜をありったけ切って持って来させろ!」と嬉しそうに慶命に言い付ける嵯峨帝に明鏡は「瓜三つぶんでじゅうぶんでございます」と笑顔で釘を刺した。

宮女明鏡さまが急変なされた!

と報せを受けて慌てて馳せ参じた空海であったが、

当の明鏡さまはご危篤どころか完全に悪阻が治り、瓜三つと、白粥と、これは空海が唐で調理法を覚えて膳部に教えた滋養食である鳥肉の汁ものを一椀飲み干してご健啖ぶりを示されたので、すこぶるご健康ではないか!とも思ったが、

「ま、お心のつかえが取れたようで何より」と胸を撫で下ろした。


「わたし、子を身籠りましたの…」
と正妻の和気広子(わけのひろこ)から聞かされた時、葛野麻呂は庭の湖面に目を遣っていて21年前に蓮池のほとりに立つ女人を見初めた時のことを思い出していた。

最初、葛野麻呂は広子のほんのり上気した顔を見、次に「それはまことか?」と妻の両肩に手を置いて、

「はい、薬師の見立てですから」と自信と誇りに満ちた顔で肯いた広子をそのまま抱き寄せて「でかした広子」と25才年下の若い妻の肩に顔を埋めた。

思えば広子と結婚して10年になるが、なかなか子を授からなかったので悩む広子に、

「仕方がない、我ももう54才の老人。他の妻との間に大勢の男子に恵まれているし、あなたが気に病む必要は一切無いのだから正妻として何の気兼ねも無く暮らしていていいのだ」

と折に触れて言い聞かせていたのだが本当に子を授かるなんて…!
「これからは体を大事にして健やかな子を産むのだぞ」

三日後、葛野麻呂は自邸で宴を開き、すでに長じて役職についている我が子らを呼び寄せた。

「父上、此度はご正妻さまのご懐妊、まことにおめでとうございます」

とお祝いの言葉を述べるのは葛野麻呂の七男でことし15才の常嗣(つねつぐ)。父親によく似た美丈夫さと、今学んでいる大学寮の博士たちが舌を巻くほどの学力。それに冷静に物事を分析して判断する性質(たち)からして、

後を継いで私より出世するのはこの常嗣であろう。

と我が家の将来を見定める程に自分は老いてしまった…

と家族たちが次々と祝いの言葉を述べる中で一人、人生の終わりと自分が過去に撒いてしまった悪い種に思いを馳せる葛野麻呂であった。

あれは13年前、最愛の女明慶が死んで遺児である明鏡も藤原乙叡にかどわかされ、百済王明信と桓武帝に奪われてしまった。

…よりによって百済王家の連中め、明慶と明鏡という母娘なぞここには居なかった。よその娘と勘違いしているのではないのかね?と二人の存在すら抹消してしまった!

そんな誰にも言えぬ無念を抱きながら薬子と逢って、あの滑らかな肌の上で目覚めた夏の夜、ふいに、桓武帝に復讐しよう。という思いが口をついて出たのだ。

「継子どのも美しく成長なさった…何処か縁づく先はあるのかね?」
いいえ、と薬子はかぶりを振り、小さな絶望のため息をついた。

「父種継がいなくなって皆、手のひらを返しました。皇后さまも薨去なさり、今や式家は落ちぶれ。と噂されています…この10年で私は人間の本性を全て見せつけられた気が致します。今は夫だけが頼りです」

葛野麻呂と最初に関係を持ってから9年。薬子は藤原縄主との間に5人の子を産み、表面上は順調に出世を果たしている縄主の良き妻、良き母として過ごしていたが心の奥では…

父を殺した桓武帝憎し。という私の心の火をどう鎮めればいいの?このままで終わるのは嫌。

という復讐心を自分一人の内で増幅させ、どうにも処理できない思いに鬱々と暮らしていた。

「帝が次の春宮妃に相応しい家柄の娘を探しておられる。継子どのなら申し分ないと思うのだが…薬子、お前宮中に入って仇に復讐したくはないかね?」

その時、床から顔を上げた薬子の眼が野心と復讐心で爛々と輝いたのを葛野麻呂は見逃さなかった。

「春宮さまは実は帝に無視されてお育ちになられた実に孤独なお方だ…。薬子よ、お前の才知と機転で母親のように春宮さまを慰撫してはくれぬか」

「私が春宮妃の母になれるのね?」そう弾んだ声で言い、夜着を着て居ずまいを正す薬子の顔は…美しくもあり恐ろしくもあった。

「もちろんさ、私の口利きなら何とでもなる」

その時から薬子と葛野麻呂は愛人関係から権門への復讐、という野心を持つ盟友となった。

お前が憎んでいた桓武帝も娘をかどわかした乙叡も死んだ。娘にも再会できたしもう権門への恨みはないであろう?
婿殿よ。自分で蒔いた種は自分で刈り取るんだね。

楽の音の中で、亡き舅の清麻呂の声が頭に飛び込んだ気がした。

舅どのよ、和気と藤原の血脈が繋がれたことをお喜びにならぬのか?と葛野麻呂は心で反駁したが、

それが、どうした?お前の子らもわが孫も、行きつく先は同じじゃないか。

貴族の子は皆、宮中に入れられるだけのことさ…

生きておられたらきっと宴の席でこんな皮肉を言うであろう和気清麻呂の言葉を頭の中で再現した葛野麻呂は、

急に自分が可笑しくなって肩を揺すって笑ってしまった。

その御姿を家族たちは、父上が大いに喜んでいらっしゃる…と思い込んで中納言の息子たちはますます舞いや楽に集中して宴は夜遅くまで続いた。










































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



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