過負荷

文字数 1,305文字

硯 羽未 様作

【あらすじ】
二人組ユニットZlON(ザイオン)のギタリストである主人公は、過去に負った怪我のせいで記憶を失っていた。記憶をロストしているうちにプロデビューを果たし、音楽仲間だったボーカルの彼とは、何故か肉体関係を築いていたのだ。互いノーマルなはずの二人が、どうして今に至ったのかが、解き明かされていく。

【補足】
過負荷とは:機械の可動部や電気回路・電子回路などに許容以上の負荷が加わる状態。また、その負荷。

【補足2】
負荷:任務を負うこと。負わされること。

書き出し一行はこちら
**
 カーテンの隙間から差し込む光に、俺は目を覚ました。
(引用)
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過負荷の意味については記載の通りだが、恐らくこのタイトルの意味は”過剰に何かを負わされている”だとわたしは思う。この負荷が、何にかかっているのかがここから何を読み解けるのかという、ポイントであり、分岐点だと思われる。
通常、タイトルは物語に何が書かれているのかを表している。ただ、自分はこの物語の作者さんの作品を何作か読んでいるのだが、確かに全体を指してはいるが”伏線”と感じることも多い。ここで、決め手となるのは、過負荷はどちらにかかっているのかという事。主人公にかかっているのか、それともボーカルの彼にかかっているのか。この選択肢を間違えると、想像ほぼ外れるといっても過言ではない。
では別の角度で考察してみたい。
負荷とは責任や任務を負うことである。それを記憶喪失に人間が負うだろうか?もしくは、周りが負わせるだろうか?物語なので、そういう展開もあり得るが、現実的な見方をした場合、記憶があるほうに責任を負わせるのではないだろうか?
もしこれが、簡単な解析ならば、記憶を取り戻そうとする負荷とも考えられるが。どうもしっくりこない。では、記憶喪失の彼の代わりに、一人でユニットを支えていたとしたならば?まだこちらの方が、しっくりくる。彼が記憶を取り戻すまで、過度な任務を負った、仮にそう解いてみよう。
では何故、肉体関係に至ったのか。
記憶喪失というのは、真の孤独を指している。人は記憶があるから、人を好きになったり考えたり、感情を動かしたり、信頼関係を築けるのではないだろうか。記憶をなくし、縋る場所、心の拠り所がなくなってしまい、以前から自分を知っているであろう相手に、心の拠り所を求めたのだとしたら?
彼には、それが肉体関係という形だったのかもしれない。そして、記憶のない彼に手を差し伸べようとした彼が受け入れた。そう、想像するが、恐らく違うと思われる。
わたしの予想の遥か上を行く物語を書かれる方だからだ。
書き出しの一行を見てみる。これは、記憶が戻った瞬間かも知れない。何故ならば”差し込む光”、”目を覚ました”このような表現を、一文目に持ってくる物語と言うのは”何かの始まり”、”昨日とは違う今日”を表している場合が多いからである。
今回は全体にあまり自信はないが、これらがわたしの想定した物語である。あなたは一体、どんな物語であると想像しましたか?その想像を確かめるべく、物語に触れてみてはいかがでしょうか。
恐らく、想像とは違う世界が広がっているはずですよ。
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