東方伝奇ー平凡な元リーマンが異国のツンデレ暗殺者と紡ぐ絆の物語

文字数 1,876文字

神崎あきら 様作

【あらすじ】

8年間務めた広告代理店を自主退職した宮野伊織は元同僚から奇妙なバイトを紹介される。それは観光にやってくる1人の外国人のガイドをすること。
やむなく引き受けた伊織だったが、やってきた相手は無愛想で無口。どう考えても観光じゃない!?巻き込まれ系天然元リーマンとツンデレな暗殺者のほのぼのな日常とハードボイルドアクションと絆の物語。
国籍も違えば住む世界も違う。光と闇、対照的なふたりの軽快なやりとりのギャグドラマでサクサク読めます!
(そのまま引用させていただいております)

【補足1】
東方とは、1 東の方角・方向。また、東の方面。2 ヨーロッパから見て東の方に位置する国々、アジア諸国をさす語。(辞典引用)

【補足2】
伝奇とは、逸話・奇談の総称。そういうスタイルで空想的な内容の小説。また、他の辞典では、エンターテインメント作品のジャンルの一つ。 概要 『幻想的、空想的な話』を意味する言葉。 転じて、実在する伝説・伝承に見られる『幻想の存在』を扱った物語のこと。とも書かれている。(辞典引用)

【補足3】
奇談とは、 世にも珍しい話。

【補足4】
「ハードボイルド」は元来、ゆで卵などが固くゆでられた状態を指す。 転じて感傷や恐怖などの感情に流されない、冷酷非情、精神的・肉体的に強靭、妥協しないなどの人間の性格を表す。(ウィキ調べ)

書き出し一行はこちら
**
気持ちの良い午後の日差しが新緑の木々の隙間から差し込んで、きらきらと揺れている。
(引用)
**

まずこの作品を紐解くには、タイトルの”東方伝奇”これが重要な鍵なのではないかと考えた。何を指しているのかを考えるのには、一番しっくりくる”答え”を探すのが近道である。ここで見極めなければならないのが”東方”。東日本を指しているのか、アジア諸国を指しているのかで、この物語の規模が変わってしまうからだ。どちらが正解か、もし東の方角を指しているとするならば、このタイトルは”東京伝奇”となると思う。なんだかその方がしっくりくる。となると、この物語の東方はアジア諸国を指しているのではないかと推理する。
では伝奇について。意味を調べるとさまざまな資料が出てきた。ここには一部しか載せていないが、調べてみた先で、一番ぴったりなのが、補足3。何故、そう思うのかと言えば、サブタイトルの部分に注目するとその答えが見えてくる。
この物語は平凡な元リーマンと異国のツンデレ暗殺者が一緒に居るわけだ。どう考えても”世にも珍しい話”。つまり、この作品のタイトルは”アジア諸国を舞台とした世にも珍しい話”や”アジア諸国に起きた世にも珍しい話”こういう意味合いなのではないかと、思われる。その内容が”平凡な元リーマンが異国のツンデレ暗殺者と紡ぐ絆の物語”である。

さて、次にあらすじを見て見ると、ん?
聡明なあなたなら、ここまでで立てた推論がオカシイと気づくはずである。あらすじには、”観光にやってくる1人の外国人のガイドをすること”と書かれているからだ。恐らく日本にやってくるのだろうが、ガイドをするとは書かれているものの、国内限定なのか国外も含めるのかは書かれていない。すると、読み手はどちらか分からなくなる。これが”情報の制限”による攪乱というものである。
これによりなにが起きるのかと言えば、”読まないことには正解が分からない”。読み手は正解を知りたくなり”手に取る”のだ。私自身も、これは関東を股にかけた話なのか、アジア諸国という広範囲なのか知りたい欲で、うずうずしている。
このあらすじには、さりげなく謎が多い。”元同僚”が一体何者なんだという疑問や、ハードボイルドとほのぼの日常を組み合わせる奇抜さ、どんな内容なのか全く予想はつかないが、とても面白そうである。

書き出し一行を見て見ると、”日差しが新緑の木々の隙間から差し込んで”この文を見ると、自分は五月ごろをイメージする。明確に何月とは書かず、情景でイメージを沸かせることに、とてもセンスを感じる。この一文には、状態、景色、色、風など体に感じるもの、光。つまり五感を刺激する要素がたくさん詰まっているのだ。書き出しの一行に、これだけの表現を詰めることが出来るというのは、単に上手いだけではなく人の心を動かすような表現、言葉選び、作風を持ち合わせているということを示している。それをギャグドラマで惜しまず出すという。これは面白いだけの物語ではないという事だ。
さあ、あなたも彼らの日常を覗いてみませんか?
ここには、あなたが見たこともない世界が広がっているに違いない。


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