三十年目の聖夜

文字数 1,330文字

紅と碧湖 様作

【あらすじ】
芝草は、ずっとそばにいる。

バツイチの瀧澤浩志にとって、高校からの腐れ縁、芝草瑛太郎はもっとも近しい人間だ。彼の店でほぼ毎日夕食を摂っているし、週に何日か部屋にも来る。もともと信頼出来るヤツだったが、こんなに優しい男だと知ったのは離婚後のことだ。憩いの時間をくれるのも、安心出来るのも芝草。こいつと出会えたことを心から感謝している。ある年のクリスマスイブ。ひと月ほど前から思い悩んでいたことに決着がついた日。いつもより遅い時間に店へ着いた。いつも通り迎えてくれる芝草。しかし彼には、瀧澤とは違う想いがあった。
(あらすじそのまま引用)

【補足】
ロックの世界の「クラシック」」を指す表現。 明確な定義はなく、対象とされる年代についても1950年代から1980年代にかけて、1960年代から1970年代にかけて、1970年代から1980年代にかけて、1960年代後半などと様々な捉え方がある。(wiki調べ)

書き出し一行はこちら
**
扉を押すと、オールドロックが耳に流れ込んできた。
(引用)
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まずタイトルから。このタイトルから考えられるのは、三十年間一緒にいるということ(なんらかの付き合いが継続している)、もしくは何かの節目であること、または何かの予兆。それが聖夜であることは間違いないだろう。
次にあらすじを見て見ると、これは三十年の腐れ縁という事が見えてくる。主人公は何らかの理由で離婚を経験しており、それ以前とそれ以降で印象が変わっていることが分かる。この腐れ縁の相手は”彼の店で”ということから店長、マスター、オーナーなどの可能性が高く、”夕食を摂っている”とあることから、飲食ができる、夜も営業しているところであることは想像に難くはない。接客業関係の人は、表向き物腰が柔らかかったり、気さくだったりと、話しかけやすい人も多い。しかし、それは仕事だからだ。もちろん公私をわけない人もいるだろうが。それを踏まえて、彼がどんな人かさぐってみると、”、週に何日か部屋にも来る”ということから、彼の主人公への優しさは表面上のものではないことが見えてくるだろう。
主人公は、この日”ひと月ほど前から思い悩んでいたこと”に決着をつけており、彼の方は”違う想い”を抱いている。さて、ここでもう一度タイトルについて考えてみる。以上のことからこの三十年に含まれるのは、”腐れ縁”であり”何かの節目”でもあり、”何かの予兆”でもあるということ。つまり、それを集約した”三十年目”なのだ。
次に書き出し一行を見てみる。ここまでで、得た知識により、”扉を押す”その場所が”彼の店”であることは想像に難くない。そしてそれが”三十年目の聖夜”の日であることも。オールドロックが流れていることから、お洒落な店なのだろうなと想像してしまう。きっとこの後に続くのは、彼との会話か、これまでの経緯なのではないかと予測する。出会いを感謝するような相手から、恐らくこの日に主人公は何かを告げられるに違いない。そして、それを聞いた時、彼が何故、自分に優しかったのかを知るのではないかと思われる。彼ら三十年目を節目として、この先どう変わっていくのか。是非、その目で確かめてくださいね。
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