その後の世界で君とともに

文字数 1,144文字

ぽんたしろお  様作

【あらすじ】
近未来、人類が再生するSFストーリー。あの日、人類は岐路にたたされ、人類を存続させるためのシステム作りを開始、十年後半径30キロ圏内に居住者が一人という体制を構築。それは争いと殺し合いを避けるためのシステムだった。システムが動き出し、人工授精で生まれた主人公は日本札幌居住区で育てられ、18才の年齢を迎えていた。そこから始まる、近未来の地球で人とアバターが愛しぬく切ない恋愛物語。
(ほぼ引用、配列替えあり)

書き出し一行はこちら
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人間は賢くて愚かだった、いや今も愚かだとカイトは思う。
(引用)
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まず、タイトルを見て見ると”その後の世界”とあるのがわかる。つまり、この作品を紐解く鍵は、そこにある。あらすじを読んでみると、”人類が再生”というフレーズが目に飛び込んでくる。”人類は岐路にたたされ”とあるが、何が起きたのかと言えば”争いと殺し合い”を避けるためにシステムは産まれたのだから、争いと殺し合いによって人類は滅亡の危機に遭遇したのではないかと、想定できる。
主人公は、”人工授精”により誕生している。”径30キロ圏内に居住者が一人”という体制のためだ。つまり、人と人が交わることのない世界で、親、家族と言う概念のないまま”人口的に作られた生命”ということとなる。人類は争いをやめた代わりに孤独と対峙することになった。
これは極端な話ではあるが、日常にはこういうことは沢山起こっている。仲良く譲り合いや、理解という方向に進めば、どんな場所でもルールは最低限で済むものだ。しかし、そこに一人でも他人に対する配慮が欠ける者が混ざると、どんどんルールは厳しくなり、この物語のような未来になることもあり得る。とても、論理的な世界観であると言えよう。
人は一人では生きていけないものだ。人に存在を認められることで自己を確立する。たった一人で生きなければならなかった主人公が、アバターを愛したとしても不思議はない。ただ、人間と人工物は年の重ね方が変わってしまう。自分だけ年を重ね、見た目が変わり、いずれは土に還ってゆく人間と、いつまでも変わらないアバター。彼らがどんな愛を紡いでいくのかが、見どころではないだろうか。
書き出しにある”人間は賢くて愚か”これは目先と遠い未来を指しているようにも思える。一見解決策のように感じても、長い目で見たらそれが本当にと言事なのか考えていないことの方が多いのが、人間である。
人は、先のことを考えずに、感情的になる。近未来予想図が、ここにあるとするならば。わたしたちは、その未来を変えなければならないのでは、ないだろうか。自分の人生をじっくり考えることの出来る物語なのではないか、と感じています。是非、お手に取られ見て欲しいと思います。
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