幽霊探偵キンダイチの事件墓!

文字数 1,061文字

一 二三 様作

【あらすじ】
田舎町の小さな診療所に内科医師と勤務することとなった主人公。彼は、患者の症状だけでなく、彼らに憑いた霊まで見えてしまう。しかし、何とか誤魔化し関わらないようにしていた。ある日主人公は同郷で数年前にこの世を去った親友・金田 一(かねだ・はじめ)の事を思いし、彼の墓参りに行く事にしたのだが。

書き出し一行目はこちら
**
「あの人、何してるんだろう?」
(引用)
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まずタイトルに注目して欲しい。この物語、幽霊が探偵なんですよ。そして事件簿の簿は墓。
ユーモアももちろん感じるのですが、墓で事件を解決するのではないだろうか、という予測が立てられます。もう、これだけでかなり斬新。探偵は幽霊なわけですね。さて、あらすじを見てみましょう。
んんッ?主人公は内科医師、どうやら生きている模様。つまり、タイトルの探偵は主人公ではないという事になる。ここで一つ気になるのは、主人公を医者にした理由。もちろん、患者の症状のみではなく、霊も見えてしまうという事も重要なのですが、隠れた意味があるのではないだろうか、と考えてしまう。
探偵と医師のコンビと言えば、そう”シャーロックホームズ”。物語を語る役は医師です。あの物語は、シャーロックホームズが主人公ではないという事になる。この物語では、ホームズをイメージさせることから、この幽霊探偵が”名探偵”であることを予想させる。もちろん、金田一も連想させていることから、かなり面白い作品である、という期待が持てるのである。
さて、あらすじから分かるのはそれだけではない。主人公が、面倒に巻き込まれたくないという、強い意志をもっているという事だ。だが、巻き込まれるという物語なのであろう。
その性格があったからこそ、親友の墓参りに出かけたのだろうという推測が可能であり、その親友がかつて主人公の面倒ごとの解決に一役買っていたのではないだろうか、と想像もする。
さて、書き出しの一行目を見てみると、会話文から始まっている。これは読み手に注意を向けさせる効果がある。内容を見ると、主人公が誰かを見て、不思議に思っているわけだ。これは、単なる日常の一コマと考えるのも間違ってはいないが、”あえて書く”という理由について考えるべき。
つまり、この冒頭は”主人公が霊を見るきっかけ”や”霊だと気づいたきっかけ”について語られるのではないだろうかと、考えられるのである。
さあ、あなたも、一風変わった探偵と事件に遭遇してみませんか?
きっとあなたを驚きとユーモア、推理の世界に連れて行ってくれるはずですよ。
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