いつか荒野のガオケレナ(文字数オーバーにつきタイトルは中に)

文字数 1,537文字

【タイトル】
いつか荒野のガオケレナ ~呪わしの亜人は秘薬を喰らい、されど薬師はカルテをつづる~

ヨドミバチ 様作

【あらすじ】
旅する薬師(くすし)の少女が出会ったのは、この世でたった一人の姉のため、大男は死病を癒す秘薬を求めていたオルク(オーク)の血を引く大男。その為であれば、どんな犠牲も厭わず、手段も選ばない。目的の為だけに突き進む怪物を、“診極める”者などいなかった。そう、彼女を除いては。この物語はそんな彼女の綴る診療録(カルテ)。
(“診極める”とても物語に重要な部分だと思われたので、そのまま言葉を引用しています)

【補足1】
典礼とは:定められた儀礼や儀式のことであり、特に、キリスト教の教会が行う公の礼拝・儀式を指す。

【補足2】
ガオケレナとは:ペルシャ神話、ゾロアスター教の伝説に登場する"白きハオマの巨木(生命の植物)で、世界海ヴォウルカシャの中心に立つとされる。1万の癒しの植物に囲まれた、"癒しの木の王"とも呼ばれる。食すと癒しをもたらし、死者を復活させ、不老不死にする。「雄牛の角」「雌牛の耳」の意。(Wiki調べ)

【補足3】
精製:混合物を純物質にすること

書き出し一行はこちら(実際は二行ですが一括りとして考察させていただきます)
**
――精製を頼む。
そういう言葉とともにさし出されてきたのは、典礼用かなにかのための装飾剣。
(引用)
**

まず、タイトルが何を示唆(しさ)しているのか考えてみたい。あらすじから考えると、このオークがいつか”ガオケレナ”を見つけられると信じて荒野をゆくという意味合いなのではないかと考えられる。”されど薬師は”というところから、通常はそういうことはしないという意味が見て取れる。ということは、ここから考えらることはこのオークが、普通に考えたらしない、もしくは出来ない、やらないことをして、人に嫌われる、もしくは恐れられていることを指しているということ。だが、この薬師は違うのだ。
“診極める”ここに注目して欲しい。診とは 病状をよく調べて判断するのことである。目で見ているだけではない、だからこそ作者はこの部分に拘ったということが伝わってくる。ここは重要なポイントでもある。
あらすじから見えてくる、二人の人となり。たった一人の姉が死病を患ってしまった。その事でのこのオークの血を引く者は、周りからどう思われようが、他人を犠牲にしようが、姉を助けたい一心でガオケレナを捜していると思われる。そんな彼は、確かに他人を犠牲にしまってはいるが元来、心の優しく家族想いの、時には自分自身を犠牲にしてでも人のために何かを成し遂げられる人物だろうと想像できる。そして、意志が強く、簡単には諦めたりしない人物でもあろう。彼をこんなに奮い立たせ、目的のためなら手段を選ばないという行動へ駆り立たせたのは、ひとえに姉への想いによるものだと考えられる。
そんなことからも、この物語は悲しいこともあるし、時には涙するような場面もあるのではないかと、想像する。必死に目的の為に突き進む彼に、何か感じることがあったからこそ、この少女は彼を、診極めようと思ったのではないだろうか。
人が恐れるもの、忌み嫌うであろうものに、自分を信じ行動を起こすこの少女は、心の目を持っているに違いない。
書き出し一行目をみてみる。どちらの視点なのか確定はできないが口調からオークの血を引く者と推測する。”儀式に使うような品”を純物質に変えており、恐らくそれはこれからの旅に使用するものか、薬の生成に使われるものではないだろうか?
果たして、オークの血を引く者は”ガオケレナ”を見つけ出し、姉を救うことができるのだろうか?
ぜひ、あなたの目で確かめてみて欲しいと思います。
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