29日 いい肉の日

文字数 398文字

 ドスーンと音をたてて倒れこむ。カランと音。王冠が地面に転げる。槍の一撃が急所に突き刺さり、獲物は絶命した。

 とある街にある精肉店。肉の匂いに引き寄せられる。
「ヴェスタちゃん。いい肉があるんだけど、買っていかないかい? お安くしておくよ!」
 店の中には、大きな肉の塊が吊らされていた。
「店長。後で、その塊を店に運んでよ」
「はいよー。まいどありー。いつもありがとう。ヴェスタちゃん」
 ニコニコする店長。上得意様のヴェスタに肉を納入。
「たまには店長も食べに来てよ。待っているからね!」
 ヴェスタは店に走っていった。

 ヴェスタの店は大繁盛。店の前に立て掛けてある黒板には「本日入荷。熟成肉ナンディのフルコースは、いかが?」と書かれている。

「ほう、珍しいな。・・・食べてみるか?」
 赤い角と尻尾の竜人が中に入っていった。
 黒い編笠を被る旅人の女性だった。出されたフルコースをすべて平らげ、酒を飲んでいた。
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