23日 蟻の休日。

文字数 391文字

 とある地下の酒場。
「よう、右の。聞いたか?」
「突然、何だ? 左の」
「いきなり、『明日の仕事は休みだ』と言われたんだが、勤労感謝の日って知っているか?」
「あぁ、人間達の世界には『休日』という物が存在するらしいな」
「・・・そうか。お前は見た目によらず、物知りなんだな」
「見た目って、お前も一緒の働き蟻じゃないか」
「ハハハ、そうだったな」
 蟻達は突然の休日に困惑していた。働き蟻は毎日働くことを生きがいにしていた。一日中休むなんて考えたことは無かった。
「そう言えば、陛下の姿を見たか?」
「・・・見た。可愛い姿だったよな。『あいどる』というらしい」
「違うぞ! 『アイドル』だ」
「そんなのどうでもいいじゃないか」
「まー、そうだな。・・・閃いた。ファンクラブを作る。お前も参加しろよ」
「おう。休日を利用するんだな」
「まぁな、明日は忙しくなるぜ!」
 せっかくの休日なのに、活動する蟻達であった。

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