7日 知恵の日だよ。見てくれ、傘回し

文字数 386文字

 憂鬱。今日は習い事の日。嫌な予感が的中した。治療の魔術を習いに訪れていた。

 「驚かせちゃったかな? アクルアーラは普段は砂だけど、僕の命で神像になれるんだよね」
 知恵の神であるトト様。私の師匠。
 「もう、いい加減にしてください!」
 (あぁ、腹が立つ!)
 暇をもて余していて、いつも私をからかうのであった。

 「・・・冗談は、これくらいにしておくか」
 「当たり前です」
 今日も、つまらない悪戯に付き合わされた。
 (こういう悪戯がなければ、今頃・・・)

 神話では、「創造神である」とされているのに、この世界では師匠の扱いが雑だと思う。だから、師匠は、いじけているんだと勝手に想像していた。

 「トト様・・・」
 「何だい? イシス」
 「ふざけているんですか?」
 「違う! 傘回しという東の国の伝統芸らしい。今度、披露するんだ」
 やっぱり、私には師匠の事を一生理解できないと思った。
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