3日 奇術の日

文字数 394文字

「僕はどこにでもいる、普通の道化師だよ」
 彼の、いつもの台詞。バロウズという名前の奇術師。すごく裏がありそうな雰囲気と、ツギハギだらけのぬいぐるみを操っている。
 現在、彼は舞台の最終調整をしていた。

 今日は、ラドラVSバロウズという奇術師対決が見られるショータイムがある。楽しみにしている客も多いだろう。
 ラドラの本業は怪盗だ。得意の技はイリュージョン。今日も、その技を存分に見せてくれるハズだ。今から、楽しみで仕方がない。

 突然、会場のライトが消える。ざわつく観客。ラドラが上空に登場すると一斉にライトアップされ、浮いているかの様だった。カラクリは知っているが、黙っている方がいいだろう。タネ明かしほど、つまらないものはない。彼女達の共演を心待にしていたファンと共に、今宵は楽しもう。「世紀の対決をご覧あれ!」と、バロウズは叫んだ。最高のショーが始まる。二人の奇術師は、楽しそうだった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み