第33話 貧困改善省

文字数 612文字

 経済の二極化対策として、<貧困改善省>を作ることになった。まずはどのようなことを行うべきか、既存の省庁の大臣が集まって、対策会議を開いた。

 経済産業省の大臣は、
「貧困に陥る原因は、各人の<キャリアメイク>ができていないことが原因です。二十代で基礎的なスキルとどのような業界、会社でも通用する普遍的なビジネス思考を身に着け、三十代、四十代で習熟し、五十代ではバリューを生み出しキャッシュフローを確立し、新たなビジネスを創設できるようなキャリアを作るのが理想ですが、現状ではそのようになっていません」

厚生労働省出身の大臣は、
「未だ多くのビジネスパーソンが、適切な健康管理で身体を管理したり、自己啓発等でメンタルの管理をしていないのが、貧困に陥る原因です。一流の仕事には、一流の自己管理が必要なのです」

 消費者庁出身の大臣は、
「自己管理という意味では、最も大事なのはお金の使い方です。自分への投資をせず、目先の問題を解決したように見せるだけのくだらない浪費にお金を使っているのが駄目なんです」

 デジタル庁出身の大臣は、
「時代は変わっています。デジタルの知識がなければ、何一つできません。投資ということなら、デジタル関連の知識を得るための……」

 このやりとりを見ていた、官僚になりたての新人は、
「政治家が縦割り行政をベースに自分とおトモダチだけに予算だけを引っ張ろうとするのが、貧困が改善されない原因だろうな」と思った。

(終わり)
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