第40話 ラーメン革命

文字数 1,082文字



人の身体は過度に労働をすると「毒」と呼ばれる物質が身体に溜まるように出来ているようだ。

その毒が一定数を超えると、仕事のずる休み、暴飲暴食、他人のこき下ろし、といった行動に出る人がポツポツと出現し、非常に由々しき事態に発展する。

こうなる前に対処をする必要が肝要で、もしここで対処ができず、さらにその毒を溜め込むような事態になると、ゆくゆくは植物状態→肥満→極楽浄土→骨粗鬆症→涅槃といった状況にまで追いこまれることとなる。

さて、若干の毒が身体を覆いつつある私はここで対処をする必要があるようだ。対処法は人それぞれであるが、拙者の場合はスポーツでその毒を霧散させるという方法が適当であろうと判断した。

友人と予定を合わし、週末に卓球、ボクシングジムの体験をセットした。これだけやれば解毒も完璧であろう。と油断していたところ、数日後友人から通信が入った。モールス信号で「ピッピピ、ピッピー、ピピピッ、ピー」つまり、「慢性気管支炎になったから色々無理」という意味である。

つい、「チッ」と舌打ちをしてしまったが、ここは良い人を装う必要があるなと判断し、「ピッピピーピピーピ」と返信した。そう、「拙者のことは気になさらず、自身のお身体を存分にご自愛せよ」といった意味だ。

しかしこれは誤算である。これでは、毒を霧散どころか、ドタキャンされたストレスによりさらに毒が溜まり、何処かの公衆電話の受話器を外したままにするといった嫌がらせを行ってしまいそうだ。そうなる前に対処が必要である。

そこで作戦を変更し、食欲を満たす作戦に出た。いつもは行かないラーメン屋に繰り出したのだ。1年以上食していなかったが、急遽、この毒を解くにはラーメンが必要だという結論に達した。昔行ったことのある懐かしのラーメン屋に繰り出し、玄人ぶってスープから味わうという選択をしたが、これがミスだった。上部にある前歯の裏側の皮を大火傷してしまったのだ。焦ってしまい、水をこぼし、ズボンは水浸しである。

この一連の動作により、金を支払い、毒を溜めることとなり非常に鬱々とした心境で店を後にした。しかし、そこで別の友人から「ピー」とモールス信号が入った。「週末卓球できるよ」という旨の意味だ。

それによりなんとか毒を解消できそうで安心した。この調子で来週は賭博麻雀をしたい心持ちだ。賭けるのは金ではなく、毒です。負ければ負けるほど毒が勝者の元に吸収され、敗者は身体が軽くなる。そう、あまり勝ちに価値を置きすぎるこの世の中に対するアンチテーゼである。ところで、アンチテーゼの意味を教えてほしい。どうかモールス信号で頼む。。。

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