第20話 目薬という名のワクチン

文字数 641文字




アレルギー体質である。花粉が流行しているようで、目が大変だ。朝起きると、木工用ボンドを眼に流し込まれたような状況になっている。目が開かない。

なんとか眼を開けるも、見づらい。朝ご飯を食し、寝た。眼を閉じていればこの症状も分からないだろうと思った。夢の世界に逃げ込む作戦だ。昼まで順調に寝、夕方4時に目が覚めた。テレビを付けると、札幌も緊急事態宣言を出すというような会見が行われている。なんだかひどく暗い気分になり、またしても何も見なかったことにしようと考え、寝た。

結局、その日は20時間ほどを睡眠に費やした。

明る日、そろそろ動かなければと、眼科、皮膚科、筋トレ、買物に出かけた。不調の眼に加え、腰痛も起こっている。昨日寝過ぎたせいで上半身と下半身のコミュニケーション不足に陥ったようだ。なんとか全ての用事を終わらせて、家に帰り、病院でゲットした目薬をさし、色々な状況が良くなることを願った。願っていると、いつの間にか眠っていた。

夢の中で、何故か自分自身に説教されていた。健康な状態ではその健康さに感謝できていたのか?と。制限がない世界で今やらなくてはいけないことをやっていたのか?と。いつだって、その有り難さが無くなってから、ようやくそれに感謝をし始めていなかったか?と。

若干、鬱陶しかったので、無視した私であるが、2人の自分の眼には涙が浮かんでいた。目薬が効いていたのかもしれない。

次の日の朝は少し眼が開きやすくなった。徐々によくなる。徐々によくするしかない。まずは自分自身である。
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