第41話 スープカレー革命

文字数 1,213文字




所有する動力車に向かい、右足と左足を交互に、およそ36cmずつ前方に動かす作業をしていた。これをどうやら歩行と呼ぶらしい。少しずつ少しずつ動力車に近づいて行くのであるが、非常に地道な作業であるとも言える。

地道な作業は嫌いではないが、あまりやり過ぎると飽きる。なので、飽きた場合はあまり執着しないように心がけている。何故なら、飽きた気持ちを押し殺し、それを繰り返すことによって、自分自身に飽き、ゆくゆくは自決→切腹→執念→怨霊という流れになってしまい、将来心霊スポットに遊び半分で近付く未来ある少年少女の心に馬や虎の足跡を強めに残してしまう可能性があるからだ。

ということで、今回も飽きたら人力車でも拾おうという算段の元、動き出した。散々、歩行を繰り返し、およそ2km進んだあたりの道中にスープカレー店を発見した。一旦素通りするも、芳しいカホリに導かれついつい入店。

「キーマ納豆カリー」を注文し、本を読み始めたところ、右眼の下の皮膚の上あたりが痙攣し、ハッとした。何故なら重要な約束を思い出したからだ。先日、友人と卓球のタイマン勝負を行い、見事に惨敗。その後、友人から要求された罰ゲームは「カレーの飲食禁止」という非常に重苦しい内容であった。

負けたから仕方がないが、主食であるスープカレーを禁止されると何を食せば良いのか見当もつかない、よって他の食物を図書館で入念に調べ上げ、食せる物、下痢する物、死に直結する物を選び分け、スーパーマーケットを闊歩しなければならない。まさに暗中模索である。

しかし私は今、何食わぬ顔でスープカレーを注文した。この状況で席を立った場合、恐らく罰符。すなわち、免許証のポイントが減るなどのお灸を据えられる可能性がある。よって帰れない。

友人との約束を簡単に破るのは言語道断。私は信用で生きてきた……….。しかし、6秒ほど考えた所、友人はここにはいない。バレないのではないだろうか?バレなければ罪はないのではなかろうか?ん?どうだね?今不遜な顔をした君。例えば、君が動力車を運転していて、40km制限の道を走行していたとしよう。その道を走るマラソン練習中のおじさんに対し、「ここは40km制限の道だ!40kmで走っているのか?それとも40kmの距離を走るのか?どっちだ!?」と問うことができるだろうか?無理だろう。そういうことだ。

残る問題は友人がこの駄文を読む可能性は若干残っていることだ。しかし問題ない。何故なら、まず絵がしょぼいからだ。その上でなんとか駄文を読み始めたとしよう。しかし、そこに第二のトラップが待っている。意外と長い!ということだ。いくら奴でもそれをくぐり抜けることは不可能。万が一、読んだとしても構わない。もう一度、卓球のリベンジマッチを行えば良い。その頃には猛練習の末、下克上。私が勝者、つまりポルポト、よって弱肉強食という結論になる。前回の駄文でも述べたが、勝者が全てだ。問題ない。
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