第37話 猫カツ

文字数 657文字




今日は朝からオンライン将棋に明け暮れている。将棋をやるのは習慣になっていて、私にしては珍しく、何年も続いている遊びだ。 しかし、先月から絶不調に陥っており、全く勝ち方が分からないような状況だ。もちろん、それが実力なのだが。

今日もまたも負け越しが続き、だんだんとイライラを募らせていた。そして、4連敗ほどが続いた時、「くそ!勝てねえな。この野郎!」と一人でキレてしまった。まさしく子供。小2病である。さらに負けが続き、イライラが募る。「いやー、もうふざけんなや!」とさらに暴言を発した瞬間。「シャーーーーーー!!」という音が聞こえた。

「?」今日は私以外留守のはずである。蛇でも出たのか?と、周りを見渡すと、猫が1匹、毛を逆さに立て怒っている。なんてこった。私は猫から説教を受けているのだ。一人で文句を言っている人間に猫が痺れを切らし、怒ったのだった。

久しぶりに怒られた。猫からは初めてだ。いや、先代の猫の間近でKinKi Kidsの「硝子の少年」を熱唱し、猫パンチをくらった小学生以来だ。なんと恥であろうか。人間としての誇りはないのか?などと、考えていたが、そこで、あることに気が付いた。これは驕りである。人間そして自分が一番であるというその驕りが将棋にも反映し、負けが続いていたのだ。ここは反省をせねばならない。

私は猫の勇気ある喝に感謝するとともに、今一度自分自身を見つめ直すため、将棋活動を休止しようと決めた。これは、ジャニーズの嵐の活動休止に匹敵するほどの重い決断である。明日、報道各社がざわつくかもしれない。
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