第50話 ポチポチとペイペイドロンでリスタート

文字数 1,114文字



ポチっとな。ポチッと。ポチポチポチ。これは何も犬の名前でもなければ、ポテトチップスの略称から、真ん中の文字を抜いたものでもない。

これは、このようにボタンを押すと、家に映画のDVDが届くという画期的なシステムの効果音であーる。

このシステムを多用し、いつ、いかなるときもフリマサイトや楽天、アマゾンなどを行き来しているこの数週間。ポチポチしていたら、映画DVDが30本ほど増えた。うひゃひゃひゃひゃ。嬉しい嬉しい。好きな映画が本棚に溜まっていく。
うひょひょひょひょ。コレクターズ魂が揺さぶられる。

「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」「ターミナル」「フォレストガンプ」「グラントリノ」「怒り」「バックトゥザフューチャー」「ロードオブザリング」「タクシードライバー」「プラダを着た悪魔」「33分探偵」

うひょひょひょ、おほほほほほほほほ。と高笑いしつつ、ベランダにてワインを飲んでおったところ、ペイペイ残高が底をついていることに気付いた。な、なんと、散財しすぎたか・・・。

拙者ついつい映画コレクションをしてしもた。いやこれは気持ちよい。

どんどん増えていくコレクション。好きな映画を観つつ、伸びる飲酒量。頭が朦朧としつつ、何故か階段を駆け上る気持ちで有頂天になっていた。しかし、とうとう気付いてしまった。

ここはベランダというほどオシャレではないし、自分自身は微塵も成長してはいないし、そして、ペイペイ残高がない。

私は、来月から仕事をしなくてはいけない。ペイペイなしでは生きられない。映画評論にうつつを抜かし、現実世界のことを忘れておったわい。

ここで豆知識。うつつとは、現実のことであり、「うつつを抜かす」とは文字どおり、現実を抜かして考えること。まさに拙者なり。

拙者、映画や本が好きである。何故なら、現実世界からひょいと飛んでいけるからであり、それにより、空想や創作の世界に耽溺できる。しかしながら、うつつを抜かしていては、生きてはいけない。何故なら、まだ拙者たちは現実に身体を持っており、さらに食物から養分を吸収し生かされておる。何よりも大事なのは、うつつであったのだ・・・。

ところで、いつだって、素晴らしい芸術というのは、一度完全に現実からお暇した後、改めて、またこの現実で頑張ろう!という気にさせてくれるモノであろう。よって拙者もこれらの映画たちを貪り観させてもろたから、また現実世界でも頑張ってみようと思う。

辛いこともあるだろう。擦り切れることもあるだろう。はんか臭いことを押し付けたり押し付けられたりもするだろう。それでも、世界に対して優しくできるか?と自分自身に改めて問うてから、「やれ」と鼓舞し、この駄文を終了せりけり。
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