第7話 平和的退職のすゝめ
文字数 759文字
2021/03/12
イメージと違うし、若干面倒になってしまったので、アルバイトの退職をお願いした。
しかし、率直に「すみません!意外と面白くなく、気分が変わったため、辞めたいです。」と正々堂々と告げた所で、先方も「なるほど。それであれば、しょうがありませんね。むしろ自分の気分に正直なことは素晴らしいです。そういう人材が欲しい。社員になりませんか?」などと、勧誘されては元も子もない。故に、何かしらの理由を繕い「妹の弟が小指をぶつけ重体である」とか「食器アレルギーで目が霞む」とか分かり易い理屈をこねた所、「でしたら、本日付で退職でも大丈夫ですよ。」と言われてしまった。感が良い貴方であれば、この会話で私の職場での貢献度がもうお分かりであろう。
そういえば以前のアルバイトで、居眠りをしたことにより、「帰ってイイよ。明日から来なくてイイから」と言われ、寝ぼけ眼で帰宅したことを思い出した。その時は帰宅後、電話で退職が決まり、その後嫌味ではなくその職場に菓子折を持って挨拶に行った私は管理者のその潔い決断(帰宅させ解雇)に非常に好感を抱いていたのであった。
それくらいは慣れっこである私は「本日付でも良いですし、シフト入ってる分は入っても大丈夫です」と紳士的に告げた所、「シフト調整は済んでいるので本日付で退職でお願いします」とのことであった。
ふぅ。こうして、夢にまで見た念願の漫画喫茶のアルバイト生活は終わりを告げた。あっけないなぁ等と感慨に耽り、「あっ、週末に誘われていたサウナ行けるやん!」と束の間の幸福感と自由感を味わった後、現実に呼び戻され、ふぅ生活は続くぜ。とひとりごち、まあ、焦らずいこうとぼりぼりチョコレート(ガーナミルク)を貪りながら思い、近々クリーニングを施した制服を返却しつつ感謝を伝えようと企んでいる。