第23話 サッカーと公園とことわざ

文字数 632文字




そろそろ公園でサッカーでもやろうかと友人と繰り出した。しかし、家から持ち出したのはサッカーボールではない。毬である。手毬唄の毬だ。しかもプラスチックの固〜いやつだ。

うちにはサッカーボールなんて高級な球はない。いや、ある。が、空気がない。よってしぶしぶ手毬で代用しようとしたところ友人はいささか不満そうでいささか困った。藪から棒だ。しかし、猫に小判とはよく言ったもので、私のような高校時代サッカーを2ヶ月で退部したような連中にはサッカーボールを扱う資格はなく、むしろ使ったところで五十歩百歩であるから、プラスチック手毬がよく似合う。と判断し、草むらへ。

ところが、その手毬を蹴球して、いや、蹴毬してみたところ硬くて固くて、もう大変。「イテーーー」という奇声を発し、醜態をさらしつつ蹴球。しかし、生きるとは醜悪をさらけ出すことである。爪先が腫れるまで蹴り合う我ら。奇声を発しながら蹴り合っていると、近くの住人が続々と参加してきて、やがて警察や救急車まで参上し、全員が「イテデデテー」だの「ウチャッチュイーー」だのと叫びながら手毬を蹴り合っている。なんて平和な世の中であろうか。

しかし突如、数年前の速度超過で捕まった怒りが再燃し、警察官の顔にプラスチック手毬をジャンピングサーブでぶつけたところ、警察官が逆上し、公務執行妨害で捕まり、パトカーに乗せられた為に、ストレスで下痢がしたくなったが、警察官は般若のような形相で正露丸を手渡してきたので、それを苦汁と共に飲み干した。
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