第25話 ポロクルで迷走

文字数 637文字




「ポロクル」というシェアサイクルにハマっている。札幌市のところどころにポート(置き場所)があり、そのポートであればお借りすることもできるし、お返しすることもできる。そして30分以内であれば165円なり。なんと画期的なシステムであろうか。

そのポロクルに跨がり久しぶりのアルバイトへ向かう。何故なら徒歩では間に合わない時間だからだ。「ふははははは、電気自動車最高!」と独り言を叫びつつ、サラリーマンやOL達をごぼう抜きにし、小学生と並走。競走の末、敗北。電気がない少年には、元気がある。逆も然り。

アルバイトが終わり、徒歩で帰ろうと考えていたが、目の前にポロクルのポートが現れた。それくらい札幌の街中にはポロクルが溢れている。帰りは乗らない。絶対に乗らないぞ。これ以上乗ると破産だ。行きも乗ったし。うぐぐぐぐぐぐ……………………。

チャリンチャリーン。

いつのまにか、私はポロクルに跨がり、創生川通りを時速38kmで疾走していた。生意気に車道を走っている。通行人が憧れの眼差しでポロクルと私を見つめている。

帰宅し、だんだんと私はポロクルが恐ろしくなってきた。

今年、ポロクルに乗りすぎて自己破産するのではないだろうか?ポロクルのポートを徒歩で通り過ぎることが不可能なのではないか?冬、ポロクルに乗れない寂しさから手首を切ってしまいはしないか?

ポロクルは人間を狂わせる可能性がある。よって、ポロクルを漢字に直し、「歩浪狂」という表記にしてもらえないか、公正取引委員会に問い合わせ中である。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み