第34話 短期バイトでスキルアップ

文字数 767文字




夏の短期アルバイトが終わり、しばしの休息中である。

給料を自慢するというのは愚の骨頂であるが、短期アルバイトの給料は30万円を記録し、久しぶりの大金に浮かれた私は先日実家に帰った時に、自分の給料をさりげなく自慢し、ついでに父の給料を尋ねた。

すると父は「先月は25万かな?」と答えた。すかさず、私は「ふーん、悪くないじゃん?」とジャブ。すると父は「お前は1ヶ月だけだ。継続して稼いだことはあるか?」とカウンターでストレートをもらい、泣きながら自室に駆け込んだのだった。

ところで、そんな短期アルバイトで大金と共に稼いだスキルがある。それは、美容師スキルである。

当初、集まった面々と仕事をこなしていたところ、一人なかなかのオーラを放つ60過ぎのおっちゃんがいた。Y氏である。彼はオタク気質で自分の趣味や好きな公園の話をところかまわず吹聴し、他の面々を呆れさせる特技を持っていた。

しかし、私はそんなポンコツな彼に魅力を感じていた。ある日、PC類をセッティングするため、Y氏と共にハサミやカッターを持ちダンボールを開けていた時、彼の首筋からロン毛が1本、そよいだ。彼の髪型は綺麗な7:3分けのショートである。しかし、首筋のホクロから出ているそのロン毛は恐らく15cmを越えており、もう少しで彼の肘の位置まで到達しそうであった。

・・・・。迷ったが、私は尋ねた。「Y氏、すごい長い毛が首筋から生えてますよ」「切って!」即答である。幸い、私は今、ハサミを手にしている。すかさず、そのロン毛を根元から3cm辺りで切った。ふわっとそのロン毛はダンボールの上に着地。Y氏はそのロン毛をさっと払い、すぐにまた公園の話をし始めた。その話は止まらなかった。私はこのハサミでY氏の髪型を角刈りにしてしまいたい衝動に駆られたが、グッと抑え、その超ロングな話を拝聴した。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み