第46  春は傲慢かつ怠慢だがしかし爛漫

文字数 1,124文字




「いやいやいや、春ですなぁ」という独り言でも囁きたくなるようなそんな日々だ。北海道の雪は溶け始め、凍りついていた心の、変化をようやく感じられるようになった。春風は顔面に砂利をぶつけると共に、これから少しずつ良くなるであろう、という根拠なき爽やかさも送り込んでくる。それは大雪に痛めつけられ、号泣を我慢し続けた人間たちの心を癒やすものであってほしい。

ところで、最近は漫画ばかり読んでいて、ゲストハウスやサウナ施設を行ったり来たり、どこへ行っても結局漫画、マンガ、漫画。に明け暮れている。あの百巻を超えた漫画に夢中。そんな中、世界では「戦争」という時代遅れの武力闘争が繰り広げられており、もう大変そうだ。ということで、自分ごとで戦争をイメージしてみよう。僕には偉そうなことは言えないから、せめて想像くらいはさせてくれよん。・・・・。

私はサウナに入り、約4分ほど身体を熱していた所、係員さんが入って来る。「空爆です!逃げてください。」私たちサウナの民たちは急いでサウナを出る。しかし、一人のサウナ仙人(スキンヘッドかつ、顎髭は脛まで伸長)は「拙者はここに残る。まだ機は熟しておらぬ。サウナを中断してまで、生きたいとは思わぬ」・・・・か、かっちょいい。と思いながら、小さな如意棒をタオルで隠しつつ逃げる私。なんて哀れな姿だ。ぎりぎり外に飛び出し、裸足で雪とアスファルトを走る。「いでででで」後ろを振り返ると、サウナ施設にミサイルが突っ込み、焼けている。「ちくしょーーーー、漫画まだ途中だったのに・・・グスン。」サウナ仙人は極楽に行けただろうか。せめて水風呂に入り終わってから、あの気持ち良い気分のまま逝っておくれ。と、人のことを考えていたら、「ドドド度ドっdドド」と、背中に弾丸。「ぐぶしfdkっっj」膝から崩れ落ちる私。今までの人生が走馬灯、うーん、馬より牛の方がわしの人生っぽい。走牛灯のように、脳内再生。帯広の牧場、興部の牧場、下呂温泉での飛騨牛、、、、。我が牛生に悔いはなし!ぐっっっふ。と臨終。上から瓦礫が落ち、誰からも発見されず、数年後そこには小さな花が咲いた。・・・・。

脳内では、「人生悔い無し」と格好をつけておったが、実際の所、まだまだやりたいことや行きたい場所、試してみたいことはある。(もしかしてそれらが、どんだけ試しても満足を得られないモノだとしても)それらを一個一個やっていくしか、我が人生でやることなんてあらへんねんな。さあ、まずは大嫌いな冬を乗り越えた。(今年は逃げずに迎え撃った。代わりに車のバンパーを失った)ことによって、感じる春の有り難みに感謝しつつ、次の旅の準備をするのじゃ。(車のバンパーの修理等々)じゃっ、良い春を。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み