第22話 不要不急に釘を刺す

文字数 490文字




不要不急の外出をせぬようにと日本政府から釘を刺されている私(政府の犬)は、もちろん仕事も不要不急であると判断し、無職状態を正当化してきた。しかし、そろそろ懐事情や怠惰な生活に焦りを感じ、派遣会社に電話をした。すると、どうやら週4日勤務で時給も悪くないお仕事があるという。

それは良い!と話を進めてみた。内容も悪くない。ふむふむ、これは私の為に用意された仕事、すなわち天職かもしれんと浮かれた。担当者から話を聞きながら、数日後に始まる久しぶりの仕事にワクワクし、良い出会いがあるといいな!などと、すでに鼻歌を歌い始めていた。

しかし!最後に先方から「時給がいい分、勤怠は非常に重要です。急なお休みや遅刻・早退はしないように………。」と釘を刺された瞬間、「なぬ!」と途端に尻込みし、色々と作戦を考えたが万策尽き果て、気付いた時には「…………….う、ぬぬぬぬぬ。すみません。でしたら、今回は大丈夫です」とお断りの文言を発し、電話を切っていた。

電話を切った後、「ちくしょーーーー!良さげなお仕事だったのにーーーー!!!」と叫ぶと共に釘を刺してきた担当者の名前が書かれた藁人形に釘を打ち込んだ。
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