明日香先輩との絆はあっけなく切れた・・・
文字数 1,811文字
しばらくして蘭さんが教えてくれた。
高城さんが生徒会に、英語科の活動報告に来た。
ぼくの『英単語100で行う日常会話システム』開発が順調に進んでいるって報告したんだそう・・・(えっ?そうなの)
英語科生徒委員長の立場からぼくを励ましたって、自撮りの画像を生徒会役員に見せたって話。
もちろん明日香先輩も・・・
蘭さんもちょうど英語科生徒委員のひとりとして参加していた。
蘭さんは教えてくれた。
もし怒りで人が殺せるならば、とっくにぼく、この世を去っていただろうって・・・
しばらく後。廊下で偶然、先輩とすれ違った。
ぼく、先輩に頭を下げた。
先輩がこわい目でぼくをにらみつけてきた。先輩のこんな表情、悲しかった。
すれ違いさまだった。
足をすくわれて廊下に転倒した。
全身に痛みが走った。
先輩はさっさと立ち去った。
小学生の時のことを思い出した。
ぼくのクラスメイトが、いたずら半分でぼくの足をひっかけて転ばせた。
先輩はクラスメイトをすごい勢いで叱りつけた。
ぼくを抱き上げ、怪我もなにもなかったのに、保健室に連れて行った。
思い出の映像が、ぼくの心に再生された。
熱い涙がこぼれ落ちた。冷たい廊下の床が濡れた。
たまたま人気のない校舎のはずれで先輩と会った。
腕をつかまれ平手打ちされた。ぼくがうずくまったら、知らん顔で立ち去った。
英語科で資料を作成し、生徒会役員会議の席上に持って行ったことがあった。
先輩がにらみつけてきた。
「どうして今頃持ってくるんですか?
会議の予定がすっかり狂ったじゃないですか!」
大声。
「すみません。本当に申し訳ありません」
何度も頭を下げた。
「あなたは資料を検討してもらいたいんですか?」
「はい」
「だったら、きちんとあやまってください」
先輩の冷たい目・・・
生徒会役員があざ笑っている。
ぼくを見ながらひそひそ話。
「みなさん。ご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありません」
役員を見回し、大きく頭を下げた。
「なんと言ったのか聞こえません。ちゃんと大声で・・・」
「みなさん。ご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありません」
「ぜんぜん心がこもってないでしょう。
わたしたちに迷惑かけたって気持ちあるんですか?」
「みなさん。ご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありません」
先輩が資料をパラパラめくっている。
「見て!この冊子、頁が落ちてるじゃない。ちゃんと点検したんですか?」
資料がぼくの顔に飛んできた。
顔に当たる音。
笑い声が続いた。
「ちゃんと点検したのかって聞いてるんです。答えてください」
「本当に申し訳ありません」
「質問に答えてください。言ってることが分からないんですか?
早く答えてください」
笑い声が大きくなった。
何度もあやまった。
「もういいです。
出て行ってください。
補助職員って、あやまるしかできないんですか?
そんな人のために、わたしたちの学費が使われてるんですか!」
先輩の目。
ずっとぼくのこと、にらみつけている。
ぼくを憎んでる。
ぼくに恥をかかせたいって願ってる。
「補助職員さん。なんとか言ってください」
大きな笑い。
「なにも言えないなら、めざわりですから出て行ってください。
もう来ないでください」
それが先輩の言葉・・・
ぼくを拒否する言葉・・・
やっと役員室を出て、自分の部屋に戻った。
だれもいない。
声をあげて泣いた。
ずっと泣いてた。
先輩には・・・
先輩だけには・・・
こんな態度・・・
イヤだ・・・ぜったいイヤだ・・・
何度も昔の写真を見直す。
あの頃に戻りたい。
これほど心の中で願ったことってなかった。
行き先の見えない絶望気分・・・
気をまぎらわすためテレビのスイッチ入れた。
選挙のニュースだった。
一部の候補者が不祥事。
候補者の秘書が女子高校生への痴漢行為で摘発!
選挙事務所の関係者が女子高校生との不適切行為で警察の取り調べ!
候補者のひとりが高校生を盗撮して書類送検!
候補者たちは、たちまち当選圏内から消滅って報道されてた。
そして当選が確実となった候補者が紹介された。
まだ投票も終わってないのに、Vサイン!
落選確実になった候補者のポスターに向かって、「あかんベー」!
笹岡、徳元、丸山。この名前。思い出した・・・
高城さんの笑顔が頭に浮かんだ。
りりしくてかっこいい女性 。
高城さんが生徒会に、英語科の活動報告に来た。
ぼくの『英単語100で行う日常会話システム』開発が順調に進んでいるって報告したんだそう・・・(えっ?そうなの)
英語科生徒委員長の立場からぼくを励ましたって、自撮りの画像を生徒会役員に見せたって話。
もちろん明日香先輩も・・・
蘭さんもちょうど英語科生徒委員のひとりとして参加していた。
蘭さんは教えてくれた。
もし怒りで人が殺せるならば、とっくにぼく、この世を去っていただろうって・・・
しばらく後。廊下で偶然、先輩とすれ違った。
ぼく、先輩に頭を下げた。
先輩がこわい目でぼくをにらみつけてきた。先輩のこんな表情、悲しかった。
すれ違いさまだった。
足をすくわれて廊下に転倒した。
全身に痛みが走った。
先輩はさっさと立ち去った。
小学生の時のことを思い出した。
ぼくのクラスメイトが、いたずら半分でぼくの足をひっかけて転ばせた。
先輩はクラスメイトをすごい勢いで叱りつけた。
ぼくを抱き上げ、怪我もなにもなかったのに、保健室に連れて行った。
思い出の映像が、ぼくの心に再生された。
熱い涙がこぼれ落ちた。冷たい廊下の床が濡れた。
たまたま人気のない校舎のはずれで先輩と会った。
腕をつかまれ平手打ちされた。ぼくがうずくまったら、知らん顔で立ち去った。
英語科で資料を作成し、生徒会役員会議の席上に持って行ったことがあった。
先輩がにらみつけてきた。
「どうして今頃持ってくるんですか?
会議の予定がすっかり狂ったじゃないですか!」
大声。
「すみません。本当に申し訳ありません」
何度も頭を下げた。
「あなたは資料を検討してもらいたいんですか?」
「はい」
「だったら、きちんとあやまってください」
先輩の冷たい目・・・
生徒会役員があざ笑っている。
ぼくを見ながらひそひそ話。
「みなさん。ご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありません」
役員を見回し、大きく頭を下げた。
「なんと言ったのか聞こえません。ちゃんと大声で・・・」
「みなさん。ご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありません」
「ぜんぜん心がこもってないでしょう。
わたしたちに迷惑かけたって気持ちあるんですか?」
「みなさん。ご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありません」
先輩が資料をパラパラめくっている。
「見て!この冊子、頁が落ちてるじゃない。ちゃんと点検したんですか?」
資料がぼくの顔に飛んできた。
顔に当たる音。
笑い声が続いた。
「ちゃんと点検したのかって聞いてるんです。答えてください」
「本当に申し訳ありません」
「質問に答えてください。言ってることが分からないんですか?
早く答えてください」
笑い声が大きくなった。
何度もあやまった。
「もういいです。
出て行ってください。
補助職員って、あやまるしかできないんですか?
そんな人のために、わたしたちの学費が使われてるんですか!」
先輩の目。
ずっとぼくのこと、にらみつけている。
ぼくを憎んでる。
ぼくに恥をかかせたいって願ってる。
「補助職員さん。なんとか言ってください」
大きな笑い。
「なにも言えないなら、めざわりですから出て行ってください。
もう来ないでください」
それが先輩の言葉・・・
ぼくを拒否する言葉・・・
やっと役員室を出て、自分の部屋に戻った。
だれもいない。
声をあげて泣いた。
ずっと泣いてた。
先輩には・・・
先輩だけには・・・
こんな態度・・・
イヤだ・・・ぜったいイヤだ・・・
何度も昔の写真を見直す。
あの頃に戻りたい。
これほど心の中で願ったことってなかった。
行き先の見えない絶望気分・・・
気をまぎらわすためテレビのスイッチ入れた。
選挙のニュースだった。
一部の候補者が不祥事。
候補者の秘書が女子高校生への痴漢行為で摘発!
選挙事務所の関係者が女子高校生との不適切行為で警察の取り調べ!
候補者のひとりが高校生を盗撮して書類送検!
候補者たちは、たちまち当選圏内から消滅って報道されてた。
そして当選が確実となった候補者が紹介された。
まだ投票も終わってないのに、Vサイン!
落選確実になった候補者のポスターに向かって、「あかんベー」!
笹岡、徳元、丸山。この名前。思い出した・・・
高城さんの笑顔が頭に浮かんだ。
りりしくてかっこいい