高城サキさんの気持ちって・・・よく分からない・・・
文字数 1,717文字
なにもかも終わった。
なのに・・・
高城さん、ぼくのそばから離れなかった。
ぼく、ずっと泣いてた。
先輩を思い出してた。
手をつないだこと・・・
腕を組んだこと・・・
肩寄せ合ったこと
軽く唇合わせたこと・・・
涙が・・・
涙が止まらなかった・・・
「君はいい子だよ」
高城さん、そう言って、ぼくの頭をなでた。
「そういう子、キライじゃないよ」
肩を抱きしめられた。
「君はね。先輩を裏切ったなんて気にする必要ないから・・・
お節介で早とちりで無能な先輩の不始末を処理しただけだから・・・
でも一応、言っておくとね」
高城さん、ぼくの耳元でささやく。
「わたしたち、もうフツーの関係なんかじゃない。
それを忘れないで・・・
次はね。ふたりの大切なものを交換するんだからね・・・」
なんてこと言うんだろう。
ぼくと先輩の関係知ってるはずなのに、なんでこんなことするんだろう。
先輩に対するあてつけだろうか?
それともぼくのプログラムを完全に独占しようとしてるまだろうか?
きっとそうだ!
そのために、ぼくと先輩の絆を完全に引き離そうってしてるんだ。
先輩のこと・・・
また思い出して・・・
泣いた・・・
それから一時間後。
ぼく、高城さんの手で、新しいシャツとネクタイ、ズボンに着替えさせられた。高城さんはぼくにひとつひとつボタンをはめ、ネクタイを結んだ。
「特注品だから。
着てて不具合があったら遠慮なく言って。直すから」
高城さん、いままで着ていたパジャマを折り畳んだ。
きれいな紙袋に入れて、ぼくに渡した。
「持っていって。わたしが選んだんだから」
ぼくはお礼を言った。
「ありがとうございます」
高城さんは首を振った。
「礼なんていらない」
そう言ってからぼくの肩に手を乗せた。
「何度でも言うからね。
覚えておきなさい!
わたしと君さ。
もうフツーの関係じゃないんだって」
高城さんは、後ろからぼくを抱きすくめた。
その時、ぼくはボンヤリとこんなこと思った。
もし先輩に会っていなかったら・・・
もし先輩がいなかったのなら・・・
ぼくって高城さんにあこがれ・・・
ずっとそばにいただろうって・・・
高城さんって、頭のいい女性 だ。
ぼくを利用することしか考えてないんだ。
分ってる。
よく分かってるのに、ぼく、高城さんがりりしくてカッコいいって思いを完全に捨てることができないんだ。
「君、間違ってるよ」
高城さんがぼくの耳元でささやいた。
「よく覚えておいて。君の英会話システムは有望だよ。
でもハッキリ言っておくけど、すぐにたくさんの利益があげられる見通しはない。
わたし、英語科の生徒委員長だよ。
専門家にも聞いた。
このシステムで、外国人とのコミュニケーションを円滑に取ることはできても、アメリカ人なんかから見れば、
『小学生のような表現でスラスラ英語を話す変な日本人』
って印象を持たれる。
君のお祖父さんがシステムの開発を保留していたのも、それが分かってからだと思う。
君にビジネスの話するつもりなんてない。
でも君が頼むならね。東部高校の通信科通わせてあげるからね」
ぼく、自分の頭が混乱してた。
高城さんは、自分のビジネスのために、ぼくを利用してるんだって思ってた。
でも高城さん、ハッキリそうじゃないってぼくに言った。
だまされてるんだって思うことにした。
だけど・・・
高城さんは部屋を出ると鍵をかけた。
ドアの鍵穴の上にある金属製の板。ぼくの右手の手の平をタッチさせた。
「認証しました」
機械的な音声。
「こうすれば鍵がなくても、君は部屋に入れる。
ここはわたしの家。
ここは、君の部屋だから」
高城さんはぼくの先に立って歩き出した。
前を向いたまま、後ろのぼくに話しかけてきた。
「最後にもうひとつ覚えておいて。
君はいい子だよ。
だから君を害する人間には消えてもらう。
無能でプライドばかり高い人間は絶対許さないから!
君のためにならないばかりか、君の才能をぶちこわし人生を誤らせるゴキブリ以下の人間よ。
ゴキブリは殺さなきゃね!」
高城さんがどういう顔をしてるのか、ぼくには分らなかった。
なのに・・・
高城さん、ぼくのそばから離れなかった。
ぼく、ずっと泣いてた。
先輩を思い出してた。
手をつないだこと・・・
腕を組んだこと・・・
肩寄せ合ったこと
軽く唇合わせたこと・・・
涙が・・・
涙が止まらなかった・・・
「君はいい子だよ」
高城さん、そう言って、ぼくの頭をなでた。
「そういう子、キライじゃないよ」
肩を抱きしめられた。
「君はね。先輩を裏切ったなんて気にする必要ないから・・・
お節介で早とちりで無能な先輩の不始末を処理しただけだから・・・
でも一応、言っておくとね」
高城さん、ぼくの耳元でささやく。
「わたしたち、もうフツーの関係なんかじゃない。
それを忘れないで・・・
次はね。ふたりの大切なものを交換するんだからね・・・」
なんてこと言うんだろう。
ぼくと先輩の関係知ってるはずなのに、なんでこんなことするんだろう。
先輩に対するあてつけだろうか?
それともぼくのプログラムを完全に独占しようとしてるまだろうか?
きっとそうだ!
そのために、ぼくと先輩の絆を完全に引き離そうってしてるんだ。
先輩のこと・・・
また思い出して・・・
泣いた・・・
それから一時間後。
ぼく、高城さんの手で、新しいシャツとネクタイ、ズボンに着替えさせられた。高城さんはぼくにひとつひとつボタンをはめ、ネクタイを結んだ。
「特注品だから。
着てて不具合があったら遠慮なく言って。直すから」
高城さん、いままで着ていたパジャマを折り畳んだ。
きれいな紙袋に入れて、ぼくに渡した。
「持っていって。わたしが選んだんだから」
ぼくはお礼を言った。
「ありがとうございます」
高城さんは首を振った。
「礼なんていらない」
そう言ってからぼくの肩に手を乗せた。
「何度でも言うからね。
覚えておきなさい!
わたしと君さ。
もうフツーの関係じゃないんだって」
高城さんは、後ろからぼくを抱きすくめた。
その時、ぼくはボンヤリとこんなこと思った。
もし先輩に会っていなかったら・・・
もし先輩がいなかったのなら・・・
ぼくって高城さんにあこがれ・・・
ずっとそばにいただろうって・・・
高城さんって、頭のいい
ぼくを利用することしか考えてないんだ。
分ってる。
よく分かってるのに、ぼく、高城さんがりりしくてカッコいいって思いを完全に捨てることができないんだ。
「君、間違ってるよ」
高城さんがぼくの耳元でささやいた。
「よく覚えておいて。君の英会話システムは有望だよ。
でもハッキリ言っておくけど、すぐにたくさんの利益があげられる見通しはない。
わたし、英語科の生徒委員長だよ。
専門家にも聞いた。
このシステムで、外国人とのコミュニケーションを円滑に取ることはできても、アメリカ人なんかから見れば、
『小学生のような表現でスラスラ英語を話す変な日本人』
って印象を持たれる。
君のお祖父さんがシステムの開発を保留していたのも、それが分かってからだと思う。
君にビジネスの話するつもりなんてない。
でも君が頼むならね。東部高校の通信科通わせてあげるからね」
ぼく、自分の頭が混乱してた。
高城さんは、自分のビジネスのために、ぼくを利用してるんだって思ってた。
でも高城さん、ハッキリそうじゃないってぼくに言った。
だまされてるんだって思うことにした。
だけど・・・
高城さんは部屋を出ると鍵をかけた。
ドアの鍵穴の上にある金属製の板。ぼくの右手の手の平をタッチさせた。
「認証しました」
機械的な音声。
「こうすれば鍵がなくても、君は部屋に入れる。
ここはわたしの家。
ここは、君の部屋だから」
高城さんはぼくの先に立って歩き出した。
前を向いたまま、後ろのぼくに話しかけてきた。
「最後にもうひとつ覚えておいて。
君はいい子だよ。
だから君を害する人間には消えてもらう。
無能でプライドばかり高い人間は絶対許さないから!
君のためにならないばかりか、君の才能をぶちこわし人生を誤らせるゴキブリ以下の人間よ。
ゴキブリは殺さなきゃね!」
高城さんがどういう顔をしてるのか、ぼくには分らなかった。