早智子さんとぼくの卒業・・・

文字数 1,782文字

「松山君。ごめんなさい。会長の命令だから・・・」

 早智子さんが口を開く。低い声。

 「でも大事なことは教えてない。
 松山君と井上さんがなにしてたか・・・」

 そう言って下を向く。
 ぼくが悪いんだ。早く気がつくべきだったんだ!

 「もうひとつ大事なことだって教えてないから」

 早智子さん、ポケットからSDカードを取り出した。

 「寮の近くにある外灯に設置された防犯カメラのカード。
 生徒が夜間に遊び歩いてるのが問題になって設置されたみたい。
 でもずいぶん前のことだし、ほとんどの人が知らない。
 会長だって・・・」
 
 早智子さん、ぼくの顏をじっと見る。

 「わたしが教えたら知るけど・・・」
 「なにか写ってたんですね」
 「井上さんが寮の敷地に入るところ。
 蘭さんに呼び止められて引き返してる。
 でも完全に敷地の中。
 高城さんに見せたら、すぐに学校に提出すると思う。
 明らかな校則違反って・・・」

 なにも考えなかった。すぐに頭下げてた。
 
 「進藤さん。助けてください」

 その場にひざまずいた。

 「なんでもします。お願いです。助けてください。お願いです」

 額を地面につけて繰り返す。
 甘い香りが漂った。
 早智子さんが中腰になって、ぼくの顔を見つめてる。
 すべすべした膝と太腿。その奥に水色のショーツが見えた。
 白いクルーソックスが、星空に映える。

 「部屋に入ろう」

 ふたりっきりで部屋に入る。
 スマホが鳴った。
 大きな音。
 高城さんの番号が表示される。

 「電源を消してね」

 でもそんなことしたら・・・

 「SDカード欲しいでしょ」

 スマホの電源を切る。

 「布団の上に座って」

 ぼく、不安になる。

 「なにするんですか」

 早智子さん、ぼくをじっと見る。
 青色のレンズの奥にある目。よく表情が分からない。

 「こんなこと言ってごめんね。
 言うこと聞いたら、ちゃんとSDカードあげるから・・・
 井上さんのためじゃない。
 わたし、井上さんがキライだから・・・
 だけど・・・」

 早智子さん、言葉を切った。
 大きく深呼吸。

 「松山君のために・・・
 会長じゃなく松山君にSDカードあげるから・・・
 言うとおりにして!
 お願い」

 さからえなかった。
 早智子さんが大きく見えた。
 ぼく、布団の上に座る。
 早智子さん、ぼくの方に来て膝をつく。

 「両手を後ろに回して。手首重ねて」

 なにするつもりなの?
 早智子さんの顔を正面から見る。
 早智子さんの呼吸、すごく速い。

 「早くしなさい。SDカード、どうなってもいいの」

 不安な気持ち。でも言うとおりにする。
 手首にロープが巻かれた。
 えっ?なにを!
 すぐに後ろ手に縛られた。
 腕にもロープが巻かれる。

 「なにするんです!」

 早智子さんに呼びかける。
 耳元で大声がした。

 「レイプするの。君を!」

 いきなり仰向けに倒された。
 早智子さん、ぼくのパジャマのズボンを下ろし始めた。

 「やめてください!」

 ズボンが足首のところまで下がる。
 そのまま、足首から引き抜く。
 
 「松山君は大好きな先輩を助けようってした。
 わたしがムリに松山君君の大事なものを奪った。
 松山君は悪くなんかない。
 悪いのはわたしだから・・・」

 早智子さんが、ぼくの太腿にキスしてきた。 

 「早智子さん。やめてください!」

 早智子さん、首を左右に振った。
 太腿をペロペロとなめられた。
 歯を立てられた。
 軽い痛み。痺れ・・・
 なんだか不思議な気分・・・

 「もっと強く噛みたい。ずっとわたしがね。
 松山君の中に残るように・・・」

 早智子さん、ぼくの顏見てつぶやく・・・
 ぼくのブリーフの縁に手をかけた。

 「だめ!やめてください」

 早智子さんがぼくのブリーフをゆっくり下ろす。

 「ぼく、井上明日香先輩が好きです。
 いつかふたりで、一緒に卒業しようって・・・
 お願いです。やめてください・・・
 先輩を裏切りたくありません!」

 ぼく、ハッキリ自分の気持ちを伝えた。

 「だからレイプするの。
 松山君は被害者。なんにも悪くない。
 だれも裏切ってない。
 いままでも・・・
 これからも・・・」

 早智子さんの唇が・・・
 ぼくの口をふさいだ。
 青色のレンズ・・・
 水滴がついてた・・・
 早智子さんの手って・・・
 すごくやさしかった・・・
 ぼく、抵抗しようってしたけど・・・
 だめだった・・・
 ずっとキスされてた・・・
 

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登場人物紹介

高城サキ 《たかしろさき》  名門女子校・王道女学園二年。『王道女学園振興会』会長。JK起業家。『JKカンパニー』会長。父親は有力国会議員。


「ごきげんよう。生徒会長。

 いいこと教えましょうか。

 基本、わたし・・・生徒会長のこと、大キライなんです。

 分かります?」

「IQの低いおじさん。

 分数分かる?九九は?

 可哀想なおじさんはね。

 もうすぐ死んじゃうんだよ」


井上明日香《いのうえあすか》 名門女子校・王道女学園二年。生徒会長。松山洋介の幼馴染。


「洋ちゃんはね。離れていたって家族と一緒。

 だから友だちといてもね。

 最後は洋ちゃんとこへ帰ってくるの」




蘭美莉《ランメイリー》 台湾からの留学生。父親は公安幹部。

「松山さん。純愛ドラマは、

 ハッピーエンドって決まってるんです。

 加油!我的最親愛的好朋友(負けないで。わたしの一番大切な人!)」

進藤早智子《しんどうさちこ》高城サキの秘書。眼鏡美人。

 「会長。松山君に暴力をふるうのはやめてください。

 松山君の言っていることが正しいんです。

 それは・・・会長が一番、よく知ってるはずです」

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