獅子内記者の報告2

文字数 852文字

 獅子内記者に案内されてふたりの男性が入ってくる。

 「ご紹介します。公団出版の編集長の甲良さん、大賀さんです。甲良さんは僕の恩師のご子息で、僕の調査に進んで協力してくれることになりました。
 大賀さんは、甲良さんの後輩です。
 いま、ドラゴンコンツェルンの関連組織に、契約を口実に接触してもらっています」
 「公団出版といえば、大幅な人事異動が行われたと週刊誌などで騒がれていましたが・・・」
 「僕が流したフェイクニュースです。
 思った通り、ドラゴンコンツェルンは、ふたりの身元調べをしています。最初から編集長が契約の依頼に来ることはあり得ません。
 人事異動で編集員に降格したというフェイクニュースを信じたようです。
 公団出版でも総力をあげて僕の調査に協力してくれています。
 僕の調査への協力に、ハッキリ言ってメリットはありません。
 どうか、このこと、捜査関係者のみなさんに知っておいていただきたいと思います」

 山本警部が甲良氏に話しかける。

 「大変ありがたいことです。
 しかしあなたがたが、そこまで調査に協力して下さる理由とは?」

 甲良氏が説明する。

 「僕らは本をつくって売る仕事をしています。
 この仕事は、日本という国があってなりたっています。
 いま、日本が非常に危険な状況にあると獅子内君から聞きました。
 日本がなくなれば、本を読むこともできなくなります。
 それが調査に協力した理由です」

 獅子内記者が続ける。

 「事態は切迫しています。
 ドラゴンコンツェルンは、まちがいなく日本の警察、検察庁、裁判所を影響下に置こうとするでしょう。
 殺人という凶悪犯罪が人知れず闇に葬られる事態がすでに起きています。
 捜査関係者のみなさんには、危機感を持って捜査にあたっていただきたい。
 それが僕からの願いです

 山本警部が一同を見回す。

 「それでは、海外の捜査関係者にも参加していただき、交流したいと思う。岩上君。お呼びしてくれ」

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登場人物紹介

高城サキ 《たかしろさき》  名門女子校・王道女学園二年。『王道女学園振興会』会長。JK起業家。『JKカンパニー』会長。父親は有力国会議員。


「ごきげんよう。生徒会長。

 いいこと教えましょうか。

 基本、わたし・・・生徒会長のこと、大キライなんです。

 分かります?」

「IQの低いおじさん。

 分数分かる?九九は?

 可哀想なおじさんはね。

 もうすぐ死んじゃうんだよ」


井上明日香《いのうえあすか》 名門女子校・王道女学園二年。生徒会長。松山洋介の幼馴染。


「洋ちゃんはね。離れていたって家族と一緒。

 だから友だちといてもね。

 最後は洋ちゃんとこへ帰ってくるの」




蘭美莉《ランメイリー》 台湾からの留学生。父親は公安幹部。

「松山さん。純愛ドラマは、

 ハッピーエンドって決まってるんです。

 加油!我的最親愛的好朋友(負けないで。わたしの一番大切な人!)」

進藤早智子《しんどうさちこ》高城サキの秘書。眼鏡美人。

 「会長。松山君に暴力をふるうのはやめてください。

 松山君の言っていることが正しいんです。

 それは・・・会長が一番、よく知ってるはずです」

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