警視庁特別会議～獅子内記者の報告！ドラゴンコンツェルンの野望～

　　　　　　　　　　　　　警視庁合同捜査本部特別会議報告書
　　　　　　　　　　　　　〇月×日　　午後七時開始　十時四十分終了
　　　　　　　　　　　　　出席者　略

　会議は山本警部を議長に開始した。

　「君たちもよく知ってる通り、『ドラゴンコンツェルン』についての秘密捜査については、民間より捜査協力員を招くこととなった。
　お名前はもちろんご存知だろう。
　『令和日報』の腕利き記者。警視庁に協力し、『殺人発明者事件』『姿ある怪盗事件』など多くの事件を解決してきた獅子内記者だ。
　　この度、内閣官房長官、警察庁長官、警視総監より特にお願いし、多忙な中、民間の捜査協力員を引き受けていただいた。
　国際的な企業であり、現在は日本に拠点を置く『ドラゴンコンツェルン』の違法行為を摘発するために、まず獅子内氏のお話を伺いたいと思う」

　獅子内記者が挨拶する。
　
　「ご紹介に預かりました獅子内です。
　『ドラゴンコンツェルン』について僕が調べたことを説明します。
　表向き世界的な複合企業を装ってはいるものの、この会社が違法な武器製造密売をはじめ、密輸、覚せい剤密売や人身売買、殺人などの犯罪行為を行っていることは間違いありません。
　要するに会社と犯罪組織、ふたつの顏を持っているのです」
　「質問です。
　現在、ドラゴンコンツェルンは、東京にアジア本社を置き、高会長も日本に住んでいます。
　これにはなにか理由があるんですか？」
　「簡単なことです。
　ドラゴンコンツェルンは、近い将来、日本の政治、経済の実権を握り、日本を支配下に置くつもりです」

　獅子内記者の報告に、出席者は騒然となった。

　「つまり日本の動向は、まずアメリカに大きな影響を与える。
　さらに日本と友好関係にあるベトナム、モンゴル、マレーシア、インド、トルコ、ヨルダンといった国々にも大きな影響を与えることになる。
　これらの国々は、世界地図を見れば一目瞭然ですが、世界の重要拠点に位置している。
　これがなにを意味するか、みなさん、お分かりですか？」
　
　出席者の間に、緊張した雰囲気が流れている。汗を拭いている人間もいる。

　「つまり、日本を支配下におくだけで、世界の重要拠点を押さえ、ドラゴンコンツェルンの世界征服計画を大きく前進させることになります。
　ドラゴンコンツェルンの最終目標は世界の征服です。
　これが、ドラゴンコンツェルンが東京にアジア支社をおいた理由です 」
　「違法行為の摘発は可能ですか？」
　「現在、ドラゴンコンツェルンに関係していると思われる組織を調査しています。
　ここが突破口になればというところです」
　
　獅子内記者が一同を見回す。

　「僕の協力者を紹介します。入ってもらってください」