意地悪い高城さんの声
文字数 970文字
高城さん・・・
りりしくてかっこいい女性 の声。
「いまね。二人分のディナーをいただいてる最中!」
「すみません」
「なんであやまるの?
君、なにも悪くないもん」
高城さんの声はいつになく明るい。
さっき、別れ際に
「洋ちゃん」
って呼ばれたこと、思い出す。
本当のこと言います。
ぼく、胸がドキドキした。
なんで高城さん、あんなこと言ったんだろう。
「君の先輩って面白いね。
突然、意味の分らないこと、長々言ったかと思ったら、下向いて黙り込んだり、涙流したり・・・
アタマおかしい人の見本じゃない!
吉本新喜劇にでも入ったらどう?大うけだよ!」
高城さんったら、先輩のこと、意地悪くほめたたえる。
「ただ許せないことがひとつあるの」
高城さんの口調は、いつも通り冷静過ぎる。
でも雰囲気がこわい。
「わたしがせっかく君にプレゼントしたパジャマ。あれはないと思う。
かわりに安物のダサいバーゲン品を君に着せて恩着せがましくするなんてサイテー。
君、どう思う」
ぼく、自分の顔から血の気が引いていくのを感じた。
だれかがぼくの顔見たら、すぐに救急車、呼んだって思う。
なんで高城さんが?
「まっ、蘭さんが余計なアドバイスしてたってことも分ったし、単細胞でおしゃべりな君の先輩に感謝ってとこね!
とんでもない留学生だった。
このままにはしとけないな。
可愛い洋ちゃんなら分かるよね。
太陽は毎朝上るけど・・・」
高城さんの笑い声。
「みんながそれをね。
見るわけじゃないってこと」
高城さん、笑いながら話す。
「君の先輩と仲いいって知ってたけど、大事なこと、蘭さんにも教えてないし、蘭さん通じて天然ボケの君の先輩の動きも分ると思ってた。
わたしの失敗!
ただ二度はしないってこと。
可愛い洋ちゃんなら分かるよね。
フツーの関係じゃないわたしがどんな人間かってこと!」
そうだ。どうしてこの部屋に高城さんがひとりで来たと思ったのだろう!
確かに部屋に入ったのは高城さんひとり!
だけど!
「かしこい君なら、もう気がついたよね。
確かめてごらん。
また電話するから。
後でね」
通話が終わった。
ぼく、あわててドアを開けた。
青いレンズが目に入った。
ブレザー姿の早智子さん。
いつものように真面目な顔。
この人に・・・
ぜんぶ聞かれてたんだ・・・
りりしくてかっこいい
「いまね。二人分のディナーをいただいてる最中!」
「すみません」
「なんであやまるの?
君、なにも悪くないもん」
高城さんの声はいつになく明るい。
さっき、別れ際に
「洋ちゃん」
って呼ばれたこと、思い出す。
本当のこと言います。
ぼく、胸がドキドキした。
なんで高城さん、あんなこと言ったんだろう。
「君の先輩って面白いね。
突然、意味の分らないこと、長々言ったかと思ったら、下向いて黙り込んだり、涙流したり・・・
アタマおかしい人の見本じゃない!
吉本新喜劇にでも入ったらどう?大うけだよ!」
高城さんったら、先輩のこと、意地悪くほめたたえる。
「ただ許せないことがひとつあるの」
高城さんの口調は、いつも通り冷静過ぎる。
でも雰囲気がこわい。
「わたしがせっかく君にプレゼントしたパジャマ。あれはないと思う。
かわりに安物のダサいバーゲン品を君に着せて恩着せがましくするなんてサイテー。
君、どう思う」
ぼく、自分の顔から血の気が引いていくのを感じた。
だれかがぼくの顔見たら、すぐに救急車、呼んだって思う。
なんで高城さんが?
「まっ、蘭さんが余計なアドバイスしてたってことも分ったし、単細胞でおしゃべりな君の先輩に感謝ってとこね!
とんでもない留学生だった。
このままにはしとけないな。
可愛い洋ちゃんなら分かるよね。
太陽は毎朝上るけど・・・」
高城さんの笑い声。
「みんながそれをね。
見るわけじゃないってこと」
高城さん、笑いながら話す。
「君の先輩と仲いいって知ってたけど、大事なこと、蘭さんにも教えてないし、蘭さん通じて天然ボケの君の先輩の動きも分ると思ってた。
わたしの失敗!
ただ二度はしないってこと。
可愛い洋ちゃんなら分かるよね。
フツーの関係じゃないわたしがどんな人間かってこと!」
そうだ。どうしてこの部屋に高城さんがひとりで来たと思ったのだろう!
確かに部屋に入ったのは高城さんひとり!
だけど!
「かしこい君なら、もう気がついたよね。
確かめてごらん。
また電話するから。
後でね」
通話が終わった。
ぼく、あわててドアを開けた。
青いレンズが目に入った。
ブレザー姿の早智子さん。
いつものように真面目な顔。
この人に・・・
ぜんぶ聞かれてたんだ・・・